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ネイル

爪を塗りました。
姉に借りた、紫色のツヤのあるマニキュア。
塗り立てのときこそ、自分の爪ではないようでドキドキして、キラキラしているムラサキに心を躍らせたの。
明日はこの素敵な爪を、お友達に見せるんだ、!

そう、思ったのに。

翌朝起きて見た私の爪は、自然にそぐわない色をして、私のどの部分よりも主張をしているように見えて、今すぐにでも落としてしまいたい恥ずかしい爪に思えてしまった。
でも、朝には爪に構っていられる時間なんてないから、そのまま仕事へ行くしかなかった。

職場では、爪をバレないように手をなるべく上げず、なるべくグーの形で目立たないようにした。
私にとってその爪は、最早コンプレックスでしかなかった。
誰も気づかないで欲しい。その一心だった。

「爪、綺麗ですね」

後輩くんが、気付いてしまった。

「へ?」

きっと顔も引き攣っているだろう。そんな私によく話し掛けれるものだわ。
その後も色のことや塗り方、色々な質問をされた。
私はこの爪を忘れたくて思い出したくもないのに何度もなんども掘り返されてイライラしかしなかった。何故私の爪には気付けて、このイライラには気づかないんだ、!


結局私は、家に帰った途端に姉の部屋から除光液を借り、全てを落として元の私に戻ったの。

少し桃色な爪、白でなぞられたライン。
これが本来の私だ。
爪からの強烈な違和感からの解放は、私の心を和らげた。

もう二度と爪なんか塗るもんか。

私はそう思いながら、そっと姉の部屋に除光液を戻したのだった。


言葉を捨てた少年。

ある日少年は、誰かの言葉で傷付いた。

暫く引きずり、少年は正しく日本語を使おうと学んだ。

ある日少年は、誰かを自分の正しい言葉で傷付けた。

辛そうに苦しむ誰かを見て、相手を思い遣る柔らかい言葉を使おうと意識した。

ある日少年は、誰かが誰かを罵声する声を聞いた。

なんて醜いんだろうと、その誰かを自分の反面教師にして、自分はそうなるまいと決意した。

ある日少年は、弱音を吐いて親友に心配を掛けてしまった。

心配することがどれだけ心を落ち着かせないものかを知っている少年は、申し訳なくなって弱音は吐くまいと決心した。

ある日少年は、弱音も吐かず罵声もせず、正しく柔らかな言葉で会話をしていると、怪しい、何か企んでいる。本性が見えないと次々に陰口を叩かれるようになった。







その日から少年は、言葉を発することをやめた。

寂死

さびしいよ、ねぇ。
さびしいよ、ねぇ。
さびしいよ、ねぇ。
聞いてよ。これが僕の心の本音。

さびしいよ、ねぇ。
さびしいよ、ねぇ。
さびしいよ、ねぇ。
ねぇねぇきみがいない、どこにもいない。

起きたいよ、ねぇ。
起きたいの、ねぇ。
起きたいの、に、起きないの。
きみがいない、世界がいらない。

薄れていく意識。

嗚呼、僕はもうすぐ君のところへ。

好きな色

どんないろーがすき!



「お母さんが居なくなって初めての朝

お父さんが慣れない手付きで作った朝ごはん

しかしトーストは見事に焦げており

照れたように焦げを削っている

見るからに空元気なお父さんの表情の色。」




………ごめんどこから突っ込めばいい?

絵を描く少女

私は絵を描くのが好きだ。

画家、とまではいかないけれど、なんとか絵で食いっぱぐれない程度には設けている。

描きたいもの、が、浮かぶ時もある。
あれを描こう、こう描こう、

あ、こんな色の動物も面白いな。

そんな調子だ。

リクエストを貰うより、自分の中に浮かんだ世界をアウトプットする方が得意で、だからイラストレーターと呼ばれるには少しだけ図々しい性格な私。

もちろん、ぺーぺーにだって舞い込んでくる仕事はある。
こんな感じ、あんな感じ。
大まかなリクエストを、私の見える世界にしてキャンバスに描き出すのだ。

最近の絵描き仲間達は、パソコンを使って鮮明な色や線を表現することに長け始めた。

それでも尚私はアナログで、目の前の真っ白な紙に表現する。

鉛筆の走る音、消しゴムの摩擦熱、ポロポロ生まれる消しカスに、揺れる机。
私はよくコピックと呼ばれる着色料を使っているのだけど、それで着色するときはキュッキュッと鳴る。

この全てのシチュエーションが揃って初めて、私は絵を描いている、となるのだ。

その間は興奮する。
奮闘する。

いつの間にか時間は過ぎていて、なんなら翌日になっているときもある。

私はそれだけ、絵を描くことが好きなのだ。

気分が乗らない日は外出をする。

ネタが尽きれば誰だって何も出来なくなるでしょう?

そうしてまた、集めてきたワクワクやドキドキ、不思議をキャンバスに吐き出すのだ。

これが私の生き甲斐。

そう呼べるのって、なんだか素敵だって、
貴方もそう思うでしょう?



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