ずっと、ということばが、如何に安易的で、如何に重くて、如何に呪縛性を伴うかを、やつは知らない。


ずっと一緒にいよう。


そのずっととは、いつまでなのか。
高校が終わるまでなのか、大学が終わるまでなのか。はたまた三十路に至るまで?まさか。

そんな先のずっとが、存在するはずがない。

俺は今まで、何度も各方面からずっとという言葉を貰ってきた。
ずっと仲間、ずっと恋人、ずっとメンバー、ずっと、ずっと。

そう、その紡がれた言葉たちは、ほんの数ヶ月で滅んでいった。

だので、ずっとなんて言葉がこの世で一番信じられないと思っている。
どうせいつか終わる縁なれば、ずっとなんてあやふやにせずにいつまで、なんて有限にしてもらった方が気が楽だ。

しかし、俺がそんな気持ちをいだいているなんて知る由もないこいつは、いとも容易くずっとという言葉を使いやがった。


「ずっとって、いつまでだ?」

俺が眉間にシワを寄せて問い掛けても、すんと澄ました顔で首を傾げてこういう。

「ずっとはずっとだ。それ以外に何がある?」


わかってない。

わかっていない。


俺の気持ちが爆発するまで、多分あと少しだろう。


ずっとなんてものはない。

そうキレるまで、あともう少し。