ある日
僕たちは夕方の餌の調合をしていた
すると
「おーい!誰か来いー!!」
と場場からコーチの声がした
異様なコーチの声に、僕たちは、なんだなんだと急いで駆けつけた
すると、なんてことだろう
春風が横になっていて左関節あたりから血が出ていた
どうしよう、どうしよう
思いながら
その場にいた10名で
板を使い「春、がんばれ!」と声を出しながら、やっと春風を立たせた
なんて事だろう
春風の左関節がブラブラと振り子の様に揺れていた
春風が頑張って
僕達みんなで馬房にやっと入れた
コーチがとりあえずの処置に包帯でぐるぐると春風の足を圧迫した
厩舎の掃除と餌やりを早くすませて
僕は横になったきりの春風の馬房に入りたかったけど動物は病気や怪我をすると狂暴化してしまうため叶わなかった
獣医師がやって来た
原因はコーチが練習時に駆け足を試みた瞬間、衝撃に耐えられなかったらしく
結果
安楽死
僕の頭の中は真っ白と
真っ黒が交差した
まさか まさか それしか浮かばなかった
安楽死は春風の痛みを考慮して、明日の午前中になった
僕はまた今日、部室にとまる事にした
それぐらいしか春風にしてやれる事が無かったからだ
春風にヘイキューをあげても食べない
特別に馬のおやつというアップルフレーバーのビスケットをあげてみた
食べた
夕食も食べれていない春風に何個もあげたけど
涙で何個か分からなくなった
「ごめんな、ごめんな」
そう言ってやるしかなかった