夜が明け春風とサヨナラの日が来た
早々に僕たちは厩舎の掃除と餌やりを済ませた
先輩が「なるべく春風にいてやりな」そう言ってくれた
春風が察してか、ソワソワ首や耳を動かす
獣医が来るまで後わずか
どうしたって涙が止まらない
春風に首をもたげられ
それを抱き締めるしかなかった
獣医が来た
厩舎の奥に幕がかかった
幕の中に入れるのは獣医と獣医学科と部員二名だけだ
春風を中につれていった
春風はもう冷静だった
幕の中に入るまで春風を思い切り抱き締めた
春風が逝った
初めて僕は声を出して泣いた
1ヶ月がすぎ
部室には今も春風の写真が飾ってある
春風は今は天国で
春の風の様に走っている事だろう
ありがとう、春風
完