気づいてほしいけど気づかないで。
近くに来てほしいけど離れて……。


「あいり!優知らない?」

「え?知らないよ。翔はいつも一緒じゃん」

「なんか最近あいつ授業サボってどっか行ってんの。まったく」

「そうなんだ。きっとサボりだよ」

「まさか俺らに内緒で彼女出来たとか?」

「え?」

「んなわけないか。わり、俺行くわ」


去っていく翔の背中観ながら
私の心臓は速くなっていく。
昔からそうだった。
翔が言った何気無い一言は結構当てはまっちゃったりする。
だから……今回も。


「あいり?なにしてんの?」

「え?あっ、優」

「え?なに?俺に用事?」

「いや、翔が探してたよ?」

「まじで。翔ちゃん最近勉強勉強うるさいからな〜」

「ねぇ」

「ん?」

「あのさ………やっぱなんもない」

「なんだよ。気になるじゃん」

「いや、大丈夫。また明日ね!」

「お、おう。弁当忘れんなよ〜」

優の顔見たら聞けなかった。
いや、多分聞かなかった。

優に彼女が出来たら私どうなるんだろう。
そう考えるだけで涙が出てくる。

私いつからこんなに弱くなっちゃったんだろう…。

誰よりも近くにいるのに
手を伸ばせば届く距離なのに
優はいつもそうはさせてくれない。

好きだから…大好きだから……
その人の気持ちはわかっちゃう。



でもそれでも私は前を向いて想い続けてく。
ひまわりみたいに太陽のあなたをずっと見つめながら。