もう、これで、おしまいだよ。
手を離せば、真っ直ぐに、空に向かって飛んでいった。
待っていれば、いつか会えたのかもしれないのに、ときみは泣いた。
でもねちがうんだよ、これは、きみの方へ歩むための一歩なんだ。
きみに、会いにいくための。


何も見えないぼくに、きみが光を教えてくれた。
だから、ぼくは光の方に進むことができるよ。
こわいものや、恐ろしいものから、ようやく遠ざかることができるよ。


「きみは、ぼくに会いに行こうとしたんだね。」
そうだよ、いまのぼくには、きらきらした陽がどこから差しているのか、目を瞑っていてもすっかり分かってしまうんだ。
「きみは、ぼくを待つんじゃなくて、自分の力で、ぼくに会いに来ようとしてくれたんだね。」
そうだよ、ぼく、きみが教えてくれる光に触れるには、どうやったらいいのかって、ずっと考えていた。そして、ある朝、導かれるように、突然気付いたんだ。
「ぼく、きみのこと、誇りに思うよ。」


高く、高く、飛んでいく。
それはね、離れていってしまうということではないよ。
信じてね。
離れていってしまうということではないんだ。

幸せが、ゆるゆると穏やかな日々をもたらすことなのだとしたら、
ぼくらはちっとも、天使になれないな。
それでも優しさを追いかけて、日が暮れても、疲れて歩けなくなっても、いつまでも追いかけて、
たくさんのひとを傷付けて、それだけだったような気もするけど、
最後まで忘れないでいてくれて、どうもありがとう。

(それは、とある、晴れた日のこと。)


きみのこと、覚えているよ。
いつまでも、覚えているよ。