白と桃色の花々が咲く丘。
うさぎのような形をした、翼を持ったふわふわの知らない生き物がたくさん舞っている。
それは、天国のように見えた。

これは、
生まれて来なければ良かった、と
いうことなんだろうな。
背中の羽根と
きらきらした、素晴らしい景色。
考えてみたところで、どうしようもないことなので、
ぼくは心に蓋をして
あなたとは分かり合えない。と、
思うことにした。


夜の街は静かで
このまま深く落ちたら、どこまで行けるのだろうか。

悲しい気持ちになると
ぼくにはいつも天国が見えた。
それはどう考えても余計な力だったし
美しい景色は、美しかったけれど
一度生まれてしまったぼくのことを
特に救ってくれるわけでは、なかった。


(優しい手のひらが、ぼくの身体を、引き寄せようとする。)
(ほんとうの心を通そうとすれば、切れてしまうであろう、ささやかな糸。)
(結局のところ、誰かを傷付け、犠牲にして、踏み台にするような形でしか、人を愛せないのだ……。)


夜の淵を深く落ちたら、人は、どこまで行けるだろうか。
問いかけに、あなたは答えない。
恐ろしいものには蓋をして、見えないようにした。
終わりのない暗闇の中で
いつかやってくる終わりの日を、怖がりながら。