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丸1年以上振りの更新


……てへっ☆(ぉ



改めましてこんにちは。橘です。



今回は話題:二次創作小説の話。



今日はお仕事なのですが……そう、毎月恒例の24時間勤務。



しかし、今日はお休みの日なのでぶっちゃけ暇なんですよ。



それでいつもより時間があるので携帯弄ってたら……



橘「……あ、あった」



未公開分がちょくちょく見付かりました←



完結までのプロットまで作成しておきながらこの不始末……万死に値しますorz



少しずつ手直ししながらアップしていこうかなぁー……とか思ったり……



読んでくださってる方もいらっしゃる様子なのでもう一度頑張ってみようかなと思います。



頑張るか、俺!



……フラグじゃありませんよ?(ぁ



Vacancy of the Turn #05【激戦】


(あいつも、今の立場じゃなきゃ……来たかっただろうな)

 今頃あの頭の固い幼馴染みは何をしているだろうか。戦闘に区切りがついたからかついつい考え事をしていたユーリの思考は中断されることを余儀なくされる。


「大変だ!魔物が……街の中に!!」

「なっ……!?」


騎士団員の一人が叫ぶと同時に街の中から次々と聴こえる悲鳴。


「動ける奴は武器を持て!行くぞ!!」

言うが早いか真っ先にユーリは街中へと駆け出す。疲弊の色濃い騎士団とギルドの中で満足に動けるのは最早ユーリのみとなっていたのを自身で気付いていながら。




「くそ……一体どこから、沸いてきやがった!」

悪態をつきながら魔物を斬り伏せるユーリ。幸いにも騎士団、ギルド、そしてシゾンタニアの有志達で結成された自警団の奮戦により避難所の守りは破られてはいない。が、如何せん魔物の数が多い。

「ぐあっ!」
「おい、しっかりしろ!誰か、こいつに治療を!」

「もう……駄目だ……」
「……っ、勝手に、諦めてんじゃねーよ!!」


(くそっ……!!)


次々と傷付き、倒れていく仲間達。この守りが破られるのも時間の問題……最悪の状況が彼の脳裏を過る。


(こんだけ統率が取れてるなら率いている頭がいる筈……何処だ……!)

 この劣勢を覆すには魔物のボスを叩くしかない、しかしそのボスの姿が見当たらない。限界が近い中獅子奮迅の活躍を見せるユーリは闘いの最中、異様な気配を察知し振り向く。

そこにはユーリの探していたボスらしき魔物が佇んでいた。



「何だ、コレは……」

一瞬自分の眼を疑う。

そこにはエッグベアの様な魔物がいた。だが、通常の個体種よりも巨大で顔には紋様の様に血管が浮き出ている。ユーリの知らない魔物がそこにいた。

この異形の魔物は間違いなく強い。肌で感じる。

疲弊し、武醒魔導器のない今の自分では危険だと全神経が訴える。


だけど、それでも。



「……はっ、上等!」

ユーリ・ローウェルは愛刀を握り直し、異形の魔物へと斬りかかった。


(一撃で決める……!)

――狙いは眼。眼を貫いて脳へと達するならそれに越したことはない。よしんば貫けなかったとしても、眼を潰してしまえば後続の者達への負担は減る。

大上段へ構え跳躍。そのまま落下の勢いも加えた渾身の一撃が異形の魔物を貫くその瞬間。
「っ!?」

 異形の魔物は派手に、真っ黒な血飛沫を撒き散らしながら真っ二つになり、ユーリの刀は空を切った。


「間に合って良かったわ、ローウェル」

「……何で、ここに?」

 呆然とするユーリに話し掛けたのは先程の魔物の黒い血に全身を塗らした女。

ここシゾンタニアに来て以降、ユーリが足繁く通う小さい酒場を切り盛りする女。

アリス・マクガーレンが佇んでいた。


「貴方を助けにきた。その答えじゃ……不満かしら?」

ユーリの問いかけに微笑みながら答えるアリス。その仕草も、態度も、物言いも。酒場で会う時の彼女と何ら変わらない。

ただ、違うのは。


その手に、血塗れの刀を持っていたこと。


いつもの彼女を知っているからこそ。ユーリは今の彼女の姿に違和感を感じずにはいられなかった。

Vacancy of the Turn #04【望郷】


 見上げた夜空には双子月と沢山の星が宵闇の中、明るく輝いていた。

まるでこの場面を照らしてくれてる劇場照明の様に淡く輝いて――


「……ナイレン隊長、あんたの好きな酒、持ってきたぜ」


らしくない。あぁ、俺らしくない――そんなことを考えていた自分に苦笑しながら。黒を基調にした服装や長い黒髪、皮肉めいた表情を浮かべる顔の所々が土と魔物の返り血で汚れた格好のユーリ・ローウェルはかつての上官の最期を看取った湖の畔にいた。


持参した酒を開けて湖へと注ぎながら、もう輝くことはないナイレンの形見である武醒魔導器に目をやる。シゾンタニアでの思い出が次々と浮かんでは消えていきながら――ユーリは思い出すのを止める。





ユーリにとってここがナイレンの墓だった。


帝都の共同墓地にナイレンの亡骸はない。彼の棺桶だというのに、中に彼はいない。





かつて正体不明の怪物がシゾンタニアを襲った凄惨な事件があった。結果としてその事件は解決したものの、ナイレンはここで命を落とした。


だからこそ、ナイレンの墓参りをする際はここへ足を伸ばすことを決めていた。



「…ふぅ。悪い、待たせたな」

「気にしないで。私も、ここに来たかったから」



空になった酒瓶を袋へ入れて振り返る。そこには久し振りにここに寄る切っ掛けとなった依頼人、アリス・マクガーレンの姿があった。


彼女との出会いは、今から1週間前まで遡る。


そう、あれは――









「これで、終わりだ!」


 振り下ろした愛刀が魔物の胴体を袈裟懸け気味に切り裂く。断末魔の悲鳴をあげることなく血塗れの魔物はその場に倒れ伏した。


(…やっぱキツいな、武醒魔導器が使えないってのは)


魔物が完全に息絶えたのを確認、荒い呼吸を整えながらユーリは小さく嘆息を漏らす。


あの日…そう、『星喰み』の脅威が去った日。


人々、否、この世界はエアルを失った―厳密に言えばエアルはマナへと変換されたのだが―。


それは全ての魔導器の核となっていた魔核も例外なくマナへとなった為に、魔導器はその在るべき役割を果たせなくなって。

腕に装着した武醒魔導器。主に騎士団やギルドで魔物と闘う生業の者に必需品ともいえる武醒魔導器のお陰で幾度となく窮地から脱することが出来たが今や単なる腕輪同然となったことに若干の不安を隠せない。


魔物と闘わない、大多数の一般人にとって最も痛手だったのは結界魔導器の損失だろう。魔物から人の住む場所を護っていた結界魔導器も機能を失った。それが意味するのは、以前にも増して魔物の襲撃がより脅威となったこととなる。


無論何も対策をしていない訳ではない。騎士団とギルド双方による街の防衛、定期的に魔物の殲滅作戦を行っている。だが人も物資も足りない。何より魔導器がないことが闘う者達の気力を左右しているのは明白だった。



この日のユーリも帝都から派遣された騎士団や他のギルドの人間と共同で魔物の殲滅作戦に参加していたのだが連日連戦の影響で顔に疲労の色が濃く出ている。


だが疲労を感じても、それ以上に気持ちがユーリを突き動かしている。


「何の因果かね、ったく…」


それは場所。


ユーリ達ギルドに所属する人間がこの地域の殲滅作戦の拠点としている街。



ユーリがかつて騎士として赴任した地。




そこは、シゾンタニアという小さな街だった。

Vacancy of the Turn #03【同行】


「…今回シュヴァーン隊長にはリタの護衛をお願いしてあるんだ」
「そゆこと。ま、群がる魔物の相手はおっさんに任せ「いらない、あたし1人で充分」…」

 無視されたからか、ぶつぶついじけて体育座りを始めたレイヴンをスルーしてきっぱりと同行を断るリタ。余程さっきのことが頭にきたのかレイヴンと目を合わせようとせずにフレンに直訴するリタだが


「今、僕や君は術技を使えない」
「っ…、分かって、るわよ…」

フレンの一言で返す言葉を失ってしまった。


 現在、この世界にエアルは存在しない。かつて世界を襲った事件の際に新たな存在、マナへと変換された。

魔導器を使用する為に必要な魔核はエアルが結晶化して出来たものであり魔核もマナへと変換された今、全ての魔導器は使用不能となっている。

その為、世界中の研究者達――当然リタも含む――はヨーデルの指示で現在代替エネルギーの研究を行っているのだ。


「ソディアからの報告書によるとシゾンタニア近くの魔物も数が増え、凶暴さが増しているみたいだ。そこに1人で…は流石に無理だよ」

「う…」


今や下級魔術すら行使出来なくなったリタでは魔物との戦闘はかなり分が悪い。一応、リタも武器は扱えるもののそれでもフレンやレイヴンには及ばないのはリタ自身知っている。

それにレイヴンは術技を使える。彼の心臓は魔導器、本人の生命力で動くので生命力が続く限り―無理は禁物だが―問題ない。


「…分かったわよ、おっさんで我慢するわ」

「……そうか、ともかく頼むよ」


総合的に判断し、リタは渋々ながらもレイヴンの同行を承諾した。



「どぉーせ、おっさんはぁー、いらない子ー…」

「うわ…」


 フレンとの話を終えてレイヴンに向き直ったリタは、この世の終わりの如くいじけたレイヴンに声が出なかった。

彼は仲間に本性を知られて尚、今の道化染みた『レイヴン』でいる為それに対応して接するが見るからに痛い。


「…ほら、おっさん行くわよ」

「天才少女にはー、おっさんなんかいらないでしょー…」

「ちょ、ちょっと、おっさん…」


こちらを振り向くことなく俯くレイヴンに頭を抱えたリタ。だがレイヴンは何かを閃いたのか顔を上げてリタに問い質した。

「じゃあ…おっさんが必要なの!って言ってくれたらついていくけど?」
「はぁ!?」

「およよ?お顔が真っ赤になっちゃったね天才少女ー♪おっさんとしてはー、そんなリタっちも可愛くて可愛くて良いんだけどー♪」

先刻までの暗さが嘘の様に―いや、実際嘘なのだが―明るくなったレイヴン。その突拍子もない要求に顔を赤く染めたリタに更に詰め寄るレイヴンだが

「え、ちょ、何それ?何でここで鎖を取り出――ぐぇ!?く、首、絞まっ、」
「じゃあフレン、行くわね…」


「わ、わかった。2人とも気をつけて」

リタは武器として携行していた鎖でレイヴンを捕まえ、引き摺って部屋を後にした。時折助けを呼ぶ声が城内に虚しく響いていた。





 扉が閉まった後、フレンは自分の机に戻る。まだまだやらなければならない仕事が残っているのだ。


だが仕事が手につかない。フレン自身、その理由を分かっていた。

かつて騎士だった親友と共に配属された思い出の地。

そして上官の最期を見届けた因縁の地。


「シゾンタニア…」

フレンはその地の名を小さく呟いた。

Vacancy of the Turn #02【受諾】


「……目撃例が出ているのは事実だよ」
「っさい、言われなくても分かってるわよ…」


報告書を睨み付ける様に読み進めながらフレンの話に相槌を打つ。

 これまでの旅で様々な事を経験したリタだったが報告書を読めば読むほどにかつての幽霊船の一件を思い出し嫌な汗が出そうになるのを必死で堪える。


(でも、少し気になるのよね…)


読み進めていたリタの目はある一点で止まる。そこに書いてあるのは目撃情報の一例なのだが、何か漠然とした"何か"を感じていた。


「――いいわ、とりあえずシゾンタニアに行けば良いんでしょ?」
「助かるよ、リタ」

「べ、別に礼を言われるほどじゃないでしょ…」


しかしここで考えても埒があかない、と思考を止めたリタは少し照れながらも承諾する。
その返答を聞いてホッとしたのだろう、フレンにいつもの笑みが戻っていた。


ふと見るとフレンの目の下には隈が出来ていた。


―騎士団長に就任して以降、休みらしい休みを殆ど取らずに仕事をしているので数日間強制的に休ませたんですよ?フレンは無理し過ぎです―

(確かに、かなり無理してるっぽいわね…)


以前エステルと会った時、そんな愚痴を言っていたのを思い出したリタは心中で呟く。

仲間うちでもフレンは特に無理をする。それを知っているからこそ、依頼を受けようと思ったのもあったのだが。


「ちなみにリタ、出発までどれ位の時間がかかる?」

話がまとまった所でフレンが尋ねる。すると


「このまま行くわよ。早い方が良いでしょ?」
「…研究所に戻らなくていいのかい?」


このまま向かう、というリタにフレンは首を傾げる。今回の依頼は緊急の要請なのでリタに旅支度をしている余裕はないと思っていたのだがリタは事もなげに言い放つ。


「シゾンタニアの近くにもあたしの研究所があんのよ。そこを拠点にすれば大丈夫でしょ」
「そうなのかい?知らなかったな…」

「ま、誰にも教えてないしねー…それに、あそこはたまにしか使わなくなってたからあたしも忘れかけてたのよ―――「んじゃー、おっさんもついてく♪」ウヒャアアァ!?」

机の上に広がった書類から必要と思うものだけを選んでいたリタは突如耳元で呟かれて悲鳴をあげる。リタの背後にいたその男は全く気配を感じさせなかった、そんな芸当が出来る―否、こんなふざけた事をするのは1人しかいない。
リタはあらん限りの怒りを込めて拳を握りながら叫ぶ。


「…おっさん、あの世までぶっ飛ばす…」
「物騒なこと言わないでよぉ、リタっち♪」


 リタにウィンクしながらレイヴンは悪びれた様子もなく笑顔で答えた。


「あんたいきなり何すんのよ、ってか何でいんのよ!?」
「いやー、団長に呼ばれたから来てたんだけどね?ついつい久し振りにリタっちをからかいたくなった訳――へぶっ」


瞬間、リタの辞書がレイヴンの顔面目掛けて飛んだのを見てフレンはこっそり溜め息をついた。
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