『夜の散歩』

道が暗い

空を見上げれば

たくさんの小さな輝き

月は休んでいる

風が澄んで気持ち良い

足音が響く

眠る世界で

起きている楽しさ

踊りだしたくなる

後ろをついてきた

影に手をさしだし

ともに

夜の散歩を

『君がいない』

いたはずなのに

確かにいたはずなのに

傍にいたはずなのに


『君がいない』


さみしくて

さみしくて

苦しくて

君をさがして

泣き叫んでしまう

どれだけの時が経っても

忘れられない

忘れたくない

戻ってきてほしい

近くにいてほしい

独りは怖い

君がいないと

世界が壊れていく


君にあいたい

『遠君』

君が遠い


好きで好きで大好きなのに

君は遠くで泣いている


どんな言葉も意味がない

深く何かに傷ついて

深く静かに涙する


手をのばしても届かない

救いあげられない


君の悲鳴が

突き刺さる

『世界と君の終焉で』

「死ねばいい」

君は笑ってそう言って

赤に染まった


『世界と君の終焉で』


晴れた空は

どこまでも青く

白い雲のひとつさえ

存在できない

風が流れ

鳥が羽ばたいていた


ふとしたことが

きっかけで

ふとしたことが

あって

気がつけば

世界は壊れ始めていた


崩れて

崩れて

崩れて

終わりが

止まらない


逃げる場所は

どこにもない

安全な場所は

どこにもない


あてもなく

君と

どこかへ

行こうとする


不意に

君は

動きを止め

おもむろに

歌いだす

世界へ

別れの

言葉を


さようなら

さようなら

次は

もうない


手にした

輝きが

君を

貫く


死んだ

もう

生きていない


冷たい

君を

抱きしめて

涙を流し

すべての

終焉と

眠りにつき

消える

『落ちる』

空が落ちる

青の世界は一人きり

彼方を呼んで

暗闇に眠る

赤い炎に包まれて

最後は消える

遠い過去と

近い未来が

永く続く

雨が降れば

音が聞こえる

風が吹いたら

草木が揺れて

苦しいと泣いた日々は

忘れてしまった

鏡にうつる

光が眩しくて

天罰が降る

痛みを与えたまえ

呪いは完成した

明日はこない

夜の神に祈れ

罪深き存在に

涙を流して
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