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AGーO:zl(アナザーグラヴィテイオペレーション:ゼルベリウス)

とある街…

ボロボロになった服を着た少女が雨の街中をふらふらとおぼつかない足取りで宛のない道を歩く。


雷鳴が鳴り響き、ビルとビルの間には、繁華街のネオンが所狭しとひかり主張する。


暗い暗い街中を歩く

すれ違う人々は少女を見ると直ぐに目を背ける

(救いは…無い…いつもそう…)
彼女は、心にそう思い宛もなく街外れまで歩く
疲労と空腹…あげくには心に悪魔が囁く

(盗んでしまえ、邪魔なら殺してしまえ、お前ならできるだろう。)

彼女は、懸命に悪魔を払う…。
だが、冷たい雨と風が当たり意識もうつろとして悪魔の囁きを行動にしてしまいそうになる。
ついには、冷たく濡れたアスファルトに倒れそのまま意識がプツンと事切れた。

次に目を覚ました時には見慣れた建物の中だった。

『気が、付いたか…。』

少女が声の方目を向けると紅髪の女性が横に座っていた。

『えぇ…。』
少女は女性が何者かはわかっていたので彼女の手をスッと撫でると女性は少女の手を握り神妙な面もちで少女にそっと語った。

『アーシェ…もっと自分の体をいたわれよ…いつか、とんでもないことになる…必ずね…。』

女性は、少女の手をスッと離すと他の仲間を呼んで看病を変わる。

『あ…ともえさん…おはようございます…。』

ともえと呼ばれた女性が少女のもとに、寄るといきなり、額に向かって軽くデコピンを打ち笑った。

『アーシェ!あんた、馬鹿じゃないの雨の中ふらふらで街中歩くって…言っとくけど、あたしゃ…病人には優しくないからね…まぁ…見つけたあいつに感謝しなよ…夜通し診てたんだからさ。』

巴はうっかり紅髪の女が少女のことを夜通し看病していた事を口に滑らせた…。
アーシェは、紅髪の女になんて言って良いかお礼の言葉さえ浮かばないほどに嬉しい気持ちになっていた。
嬉しい気持ちが押さえられず照れ隠しにブランケットで顔を隠していたが直ぐに巴に引っ剥がされてしまった。

『照れるのはわかったから、ご飯食いなさいな…お腹に良い喫茶子ぎつねのお粥だからね…ちゃんとお食べな。』
巴は、そう言うとテーブルにお粥の入った茶碗と箸と梅干し、塩を用意した。

それを、見てアーシェは、茶碗と箸に手を伸ばすと一杯のお粥をあっさりとたいらげてしまった。
『大した回復力だよ…あんたって子は。』

巴は驚き混じりに笑いながらアーシェの茶碗を受け取るとおかわりを茶碗によそって再びアーシェに返すと笑わないはずのアーシェが少し笑ったように見えた。

『ありがとうございます…。』
静かに答えるアーシェは茶碗を受け取るとお粥をサッと流し込んで立とうとしたが足が多々良を踏み。

ドスンとその場に、しりもちをついてしまった。
巴が笑いながらアーシェを起こすと背中をバシッと叩いた

『バッカだねぇ…あんた!自分の体を気にかけなって…まだ、体力も戻って無いんだから。』

『〜ッ…すいません…。』

巴の平手打ちが効いたのか表情を歪める…アーシェは彼女らがまるで家族のようだった…。

毎日では無いがまるでいつものように、変わらずに接してくれるSencoの連中である。

アーシェは、巴に礼を言うと再び眠りに就いた…。

眠りに就いて何時間経ったのだろうか…。

頭の中に、ざわついた声が微かに聞こえて来る…。
【コノ連中ヲコロセ…コイツラヲコロセ、オマエがコロサレル…シニタクハナイダロウ…サァ、サァ!】

その声に、驚きアーシェは飛び起
きると呼吸は肩でし、汗が頬から落ちる…。

『な…何…嫌な…夢にも程が…。

起きた時には、既に窓から日の光が差し込み空は藍色に染まっていた…。

アーシェは起き上がると自分の体の調子を見る…。
しっかりと、動けるのを理解すると部屋を出る…。

目の前のソファーで横になっている大女を起こさぬように歩くがそれは直ぐにバレてしまい大女は、ムクリと体を起こした。

『よう…体はもう良いのか?』

『はい…とりあえずは…もう大丈夫…です。』

『あぁ?とりあえずは…?オイオイ、アーシェ、冗談はやめろ…顔色が真っ青だぜ…それで大丈夫って言えんのか?』

『烈月さん…私は、大丈夫…大丈夫なんです…だから…行かせてください…。』

『行くって…何処だよ?場所は?目的は?場合によっちゃ…ッ』

烈月が言いかけた途中でアーシェは、無理に押し通してそこを後にしようとしたが彼女の前に烈月の大きな体が立ちはだかった…。

『オイ冗談は大概にしろよ…テメエのその顔面蒼白を見りゃわかんだ…完全なコンディションじゃねぇってな、それで…どっかほっつき歩いて、勝手に野垂れ死んじまったら…コッチの後味も糞悪りぃし、どっかの誰かさんに対して裏切ることになるだろうがよ!』

烈月の言ってることにも筋が通っている…看病してもらって体がまだ本調子でも無いのにアーシェは、そこを出て行こうとした…目的は、理解している…某製薬会社をつぶして、最愛のリクを救う…ようやく手に入れた情報をもとにたどり着いた世界…それが…今までに訪れたことのある世界だった…。
だが、アーシェには時間が無い…それでも烈月の言った言葉を無視して小さな体は、烈月を押しのけて進もうとした…。

その瞬間、グイッと肩を掴まれ強烈な力で引き倒されて烈月が見下ろしていた。

『オイ…テメエ…言ってる事が理解できてねぇのか?ノータリンでも分かるように簡単に言ってやるよ、体が悲鳴あげてんのがわかんねーか?…それでも行くってんだったら…力ずくでぶちのめしてでもテメエを止めてやる…!』

烈月は、語調を荒らげ止める気も無いくらいに強烈な殺気を放つと頑固になるアーシェは、腰のポーチに納めた短剣を取り出しすっくと立ち上がり身構えた…。
『行かなきゃならない…どうしても、やらなきゃいけない事が、ある…だから邪魔、どいて!』

アーシェもまた負けじと、語調を強く啖呵を切って睨んだのが烈月に響いたのか烈月はニヤリと笑みを浮かべ、しばらく沈黙が二人を包み込んでまもなく、一呼吸を置いた途端にアーシェの眼前に迫り寄り、そのまま拳を振りぬいた…。

ドタンッ!
ガラガランッ!
激しく、体が床を叩いた音と金属が床に落ちる音がエントランスに響き巴や眠い目をした紅髪の女が何事と飛び出してくる…。
その光景を見た二人は、理解が一瞬遅れた…どちらが悪いのかもまた同じだった。

『ユキ!烈月を抑えて…!あたしゃ、アーシェをベッドに連れ戻す…!』

『わかった…烈月!落ち着け…!落ち着いて…何があった…!』

紅髪のユキは、烈月をなだめようと前に躍り出て彼女を制止すると烈月は、大きく深呼吸をし荒ぶった拳をゆっくりおろす。
『あぁ…オレは、冷静だ…落ち着いてる…。』

『わかった…なら向こうで話そう…。』
ユキは、烈月を喫茶子狐の席に連れていき腰を掛けさせると対面にすわり訳と経緯を問いただす…確かに烈月の話にも筋が通っている…だがしかしやりすぎたと言う事を口にすると珍しく烈月はシュンとしてしばらく沈黙していたが烈月は珍しく弱ったような顔をしてユキに向かって口を開いた…。

『なぁ…ユキ、アーシェは何者なんだ?あいつは作られた人間なのか…?』

烈月は、アーシェからにじみ出る何かを感じ取っているようで彼女が普通では無いことを口にするがユキは、首を横に振った…。
ユキでさえアーシェの本質的な存在が何者なのかを理解できておらずただ、アーシェが人間であると思い続けたいと口にする…。
『アーシェは、アーシェ…わかりきったこと…普通にただ、普通に向き合って居れば良いだけのこと…何一つ変わらないよ…。』

ユキの言葉は釈然としないが存在は存在と烈月は納得せざるおえなかった…。

一方で巴に付き添ってベッドに向かうアーシェもまた表情を変えずに言葉に切なさを口にしていると巴は優しい眼差しでアーシェをあやした…。

『無理もないさ…あんたの事を思う気持ちが強く出て烈月もやっちまった事だし…。』

『ごめんなさい…烈月さんの事を思えなくて…ムキになって…。』

アーシェはどうやら反省はしているようで口にする言葉に弱々しさが出ていた…巴は、アーシェベッドに寝かせるとすぐに救急箱を用意し、殴られた跡に湿布を貼り笑ったがすぐに真剣な眼差しをし唐突に切り出した…。
『アーシェ…あんた…先が長くないんでしょ…あとどれくらいなの…?』
唐突すぎる質問にアーシェは驚いた…自分の命が短いとすぐに巴に看破されたのだ…アーシェは視線を落としゆっくりと答える…。
『あと…1ヶ月…1ヶ月しか…。』

1ヶ月の寿命をもってアーシェの存在がこの世界から消える…非常に短命である…彼女の事をおもんぱかって巴は、何か出来ないかと思案するがそれはすぐに解決する…。

『なんだ…アーシェ…てめぇ…゙1ヶ月も゙生きれるのか…。』
部屋に入って来た烈月はちょうどその話を聞いていたようで安堵した顔を見せた…。

『兵士っつうのは戦場に出て…生きれて、たったの5、6分だ…その中で1ヶ月も生きれるんだ…十分じゃねえか…。』

何か希望の有るような含みを持たせて烈月は戦場での凄惨さを語りそして、先ほど殴ったことをわびると巴が部屋を後にする、そして、何をするためにこの世界に入って来たのかをアーシェはゆっくり語り…烈月は、頷いて耳を傾けていた…。
アーシェが寝つくまで…烈月はアーシェが大切な人の為に某製薬会社と飽くなき戦いに戦っていることなどを全て受け止め、自分がこの華奢な少女のために何ができるのかを考えしばらくしてアーシェが寝付いたのを確認したあと…その隣でゆっくり目を閉じる…。

しばらくしての事だった…ウトウトとしていた烈月の肩をポンポンと軽く叩く誰かが居る…すぐに頭が回りだし眼もしゃっきり、その方向へ目を向けるとユキが立っていた…。

『交代…しばらく寝てて…。』
ユキがそう言って近くの椅子に腰を掛けて本を開いて目を通し始めた、烈月は軽く返事をするとアーシェが起きないように部屋を出て行った…。

しばらくは沈黙が続き比較的早いスピードで本をめくる音だけが部屋に通る…。

しばらくしてのアーシェは目が覚めると本をめくる音の方向に視線を向け薄暗い明かりに目を凝らしぼんやりとした明るさの中にユキが座って本を読んでいた…。

『目が覚めたみたいね…。』

『ユキさん…それは?』

アーシェは、ユキの読む本に興味を持ちそれを聞くとユキは本を閉じてアーシェに表紙を見せた…。
大分痛んでいる所を見るにとても古い本である…。

『その昔、ヨーロッパっていう国の集合体が有ってね…そこに実在したとされる怪盗紳士、アルセーヌ・リュパンの伝記…作者はモーリス・ルブラン。』

『リュパン?』

『そう、リュパン…ミステリー小説だったり、冒険小説だったりする作品ね…結構、私は好きなの。』

リュパン伝記の冒頭を簡単に語るユキ普段からいささか物静かで堅い雰囲気のユキが柔和な表情を見せアーシェを落ち着かせていた…確かにアーシェは先日から堅い表情をしていたためそれを和らげるつもりも無く嬉々として語るユキ、二人の関係は少し近づいた気がした。

『さて…もう少し寝て…体の状態もよろしくはないしね…お話はここまでだ。』

ユキはアーシェを寝かしつけるとまた再びリュパンの本を開いて読み進め…静かな時間が訪れる。

日も上り昼間ともなると喫茶子狐の店内は注文を取る人間の声、客の談笑が聞こえアーシェは目が覚める…その横には、巴が座っており…書類に目を通しているのが伺えた…。

『ともえさん…おはようございます…。』

『あぁ…おはようさん…顔色も良くなったわね…なら…今晩か…。』

意味ありげに一言言うと少し部屋を後にししばらくすると暖かなオートミールを運んできた…。
『これ食ってまた寝る!』

有無を言わさず、オートミールを用意し再びベッドに寝かせつけられる…アーシェはこの動きに戸惑いながらオートミールを完食し巴に半ば押し倒されるように、毛布を被せられた…。

次第に意識が遠のく…まどろみが襲う…そして、意識がぷっつりと途切れた…。


気が付くと、そこには再び、巴がいた…。
『アーシェ、早く起きる!出るわよ!』

出ると言われこれまた、無理やりに起こされ、今度は慌て壁にかけられたポーチを手に部屋を出るとそこには、整然と整列をしたSENCOの面々がたっていた…。

『傾聴せよ…これより作戦の概要を説明す!』

巴が整列した面々の中心に立ち淡々と概要を説明を始めアーシェは、これに理解ができていない状態になる。

『多摩にある某製薬会社の支社は、まず警視庁で上がっていた一連の人物の失踪事件に深く関与している…だがしかし、警視庁は国営に近い特別扱いの某製薬会社に対しての捜査が入れられずじまいとなっておりこちらで゙強制捜査゙の依頼が入って来た…これにより、我々女神隊の預かりとなり強制捜査に踏み切る!』

どうやら警視庁から特別捜査令状発布のもとで、舞い込んだ捜査のようだ…巴は、それも見込んでいたのかもしれないし、それを根回ししたのかもしれなかったがアーシェは大分理解してきた…。

端的に言えば、某製薬会社に乗り込むと言うことだろう…。
『総員…装甲車に乗り込み多摩に向かう…車内で作戦の子細を通達する…流奈、予定装備の搬入は?』

巴は、容姿端麗な流奈に装備を確認する。

『問題なし、ですわ…それと、例のアレも積載済みでしてよ!』

例のアレと言うのがアーシェは今一理解できなかったが、ユキが考えるなと首を横に振るためアーシェは深く考えずただ、女神隊の面々についていき…車両庫に足を運ぶと堅牢な装甲を纏った装甲車がエンジンを唸らせて待っていた…アーシェが最後でそれに乗り込むとハッチは閉められエンジンは大きく唸りを上げ多摩に一路走り出したのだった。


Zl2へ続く

黙々

いやはや…

スナイパーって難しいなぁという正直な感想

黙々と打ち続けて
一旦休憩

さらに黙々と

ぐぅぅ…

ガンバルマンターゲットに当たらない当たらない…

ガンバルマンターゲットっていうのは
金属製の立体のマンターゲットで芯を捉えると崩れ落ちる仕様のターゲット

これがまた難しい…距離をしっかり取ってあるから
ゥンメートル程度離して置くと十数メートル近いターゲットに当てるのと同じ感覚なのだ


それに当たらない
当てにくいともすると
狙撃の腕はまだまだ上達には程遠い…

新銃導入

いやはや!

新規導入したガンがいくつか…
おじさんの中では物欲マックス!

さて
どんなのかというと

ドイツのDSRー1

実銃ではとても強力な.308ラプアマグナムを打ち出すブルパップボルトアクションライフルなんですネ

重量も6キロとがっつり

ガスボルトアクションだからって田中のボルトアクションを想像していたが…S&Tはがっつりオリジナリティの機構…
ボルトを閉鎖するには良いんだけど
完全閉鎖でボルトを下げるときが堅いの何の

ついでにマガジンが重いの何のとタイトさ故に抜けない…

ただし、物欲の塊…

ボルトアクションライフルの扱い方の熟練度はまだまだだが
やっぱり使いたい訳だ…

おじさんはやっぱりスナイパー向きじゃないけど…

狂気の戦姫編2 in女神はほほ笑む

あらすじ ある日突然、女神隊隊長の巴が豹変し狂気に満ちた表情を見せ、ユウキに襲いかかり、しまいにはユウキに拳銃を撃ち放ち瀕死に追いやると敵として相対していた奈都が激昂し反旗を翻して巴に噛み付き激しく戦闘を繰り広げるのだった。

奈都と巴は、激しくぶつかり合い…互いに磨耗していく。

奈都は、巴の放った一撃で頬を切ったようで血が滴り、巴は奈都のガンブレードの爆振で煤だらけとなりSENCOの防刃・防弾ベストの左腕には浅い割にはと言う位におびただしい量の血がにじんでいた…。

奈都『蘭…ここは任された!撤退して…!』

奈都は、蘭とユウキを逃がすために巴に向かって腰のポーチから取り出した煙幕を発火させ投げつけると噴射音と共に煙が吹き出て巴の周りの視界を遮った。
蘭は、煙が辺りを包んだのを見計らいユウキを抱えて扉へ急ぎ開閉ボタンを押す…。
蘭は、なんとか逃げおおせたと安堵したのもつかの間、扉が開いたと同時に目つきのよろしくない小さい巫女服が立ち尽くしており蘭は、その姿に驚き後ろにユウキを抱えたまま飛び退いて空いた片手でトンファーに備え付いた銃口を向けた。

『待って…撃たないで!味方だって!それより、早くこっちに!』

小さい巫女服は、驚いた蘭を見て慌てながら軽く弁解を述べて手を差し伸べる、ひとまず蘭はその言葉に半信半疑のまま応じて小さい巫女服のそばに小走りで寄る。

『もう、大丈夫…あたし達が居るから…。』

小さい巫女服が放った言葉に一瞬で蘭は、引っかかりを覚え肩で息をしつつもその引っかかりを訪ねた。

蘭『わ、私たちって?何っ!?何のこと!?』

若干、声を荒らげながら訪ねた蘭に、小さい巫女服は微笑をし口元を緩ませるとそのまま…煙の立ちこめる先を指差し蘭はその先を見つめた。

先ほどまでもうもうと立ちこめていた煙が晴れていき、ゆっくりと巴の姿が現れる…先ほどまでの狂気じみた笑みもなく焦りと苦悶の表情を顔に表しているではないか…。

蘭『えっ…ウソっ!?何があったの?なっちは?』

ボソッと言葉を発すると蘭の近くに達していた煙の中から傷ついた奈都がよろよろと息を切らした状態で姿を現し蘭の近くに座る…。

奈都『もう…一人…いる…。』
『そう!もう一人!とも姉キラーが居るのさ!』

奈都も煙の中を指し示し小さい巫女服は自信満々に声を発するとその姿がはっきりわかる…。
煙の中から巴を追うように飛び出て薙刀を使い、まるで巴にそっくりな顔立ちの巫女服が巴と戦っている…。
しかし、良く見ると巫女服が優位に立ち回り巴は、それに振り回されて防戦一方に立たされている明らかに、巴以上の手練れである。

巴が袈裟に振り下ろした槍を半身でかわし一歩、踏み込み、柄を踏みつけてそれを伝い薙刀で横一線に斬りつけようと振りかぶるが巴は、槍からすぐさま手を離して体勢を整えようとした瞬間…間合いを多少詰めていた巫女服が横一線に薙いだ、あっという間の出来事に巴は、そのまま上体をそらして薙刀の刃を紙一重によけたのもつかの間、巫女服が上から…体ごと降ってくるように胴を廻しながらの浴びせ蹴りがすでに繰り出され、さらにおまけに、先ほどやり過ごした長柄の薙刀が彼女に釣られてその上から円を描いて降りかかる…。

巴は、上体をそらしたままの体勢ゆえに隙が生まれていたわけだ…巫女服はそれを見越しての浴びせ蹴り+αだった、巴は、よけられない体勢なはずが巴は、接地していた足を浮かせ床に背中を預け、すぐさまに横転する…その動きはまるでゆっくりとしりもちを付くような光景だが…回避がこの様になるのは当然、巫女服は、体が地面につきズシンと重い音を訓練所に響かせ素早く立ち上がると巴はすでに槍を構えていた…。
二人の一連の動きが二まばたきくらいの凄まじいスピードである…。

蘭は、一瞬で何が起こったかは理解できなかった…目で追っていくのにやっとであった…。

『さて…あたしは…助けに行かないとね…。』

そばにいた小さい巫女服は、そう言うと独特な鉄の板を腰から二枚取り出して大きな巫女服に向かって走り出した。

巴と大きな巫女服の間には、殺気の渦巻く沈黙だけが渦巻いており…互いに目で牽制している…ほんの一秒の沈黙…。
しかし、すぐに動いたのは巴だ、腰に収めたドイツ製の骨董品拳銃を素早く抜き、銃弾を数発、発射するがその間に、小さい巫女服が割って入りそれらすべてを手に持った独特な得物の鉄板で受け止める…。

大巫女『エイコ…良いタイミングですっ次行きますよ!。』

小巫女『はいっ姉さん!』

二人の巫女服は息を合わせ大きな巫女が薙刀を床に当て小さい巫女はその柄に足を置いた途端大きな巫女が薙刀を振り回し小さい巫女を投げ出す姿はさながら人間カタパルトのようで一直線に小さい巫女が巴に向かって飛んでいきそのまま両手に持った得物を矢尻のように組むと腕を振り上げ巴を打ち上げる…すかさず、落下点を見据えた大きな巫女が先回りしており小さい巫女が再び、薙刀の柄に足をかけ打ち上げられ巴と同じ高さに位置すると腕を振り下ろし巴を地面に叩きつけ彼女は、自重で落下した際に得物の先で追い討ちとして叩き込み巴を地面めり込ませた…。

蘭『す…スゴッ。』

ボソッと蘭がつぶやき奈都はあっけに取られたが彼女の目に入ってきたのは、卓越した戦闘能力ではなく二人の巫女服の後ろの襟元にある代紋(マーク)、八つの菱形のマーク…。

奈都は、瞬時に自分の頭の中にあるデータベースをめぐらせこの代紋を探す…答えはすぐにわかった。

奈都『八菱重工…もしかして私設部隊…。』

『ご明察…でも、ちょっと違いますね。』

奈都が開いた口に挟むように言葉を放ちドアから現れたのは少しどことなく巴に似た雰囲気を持つ女がそこから入ってきた。

蘭『うぇっ…また巫女服…なんかの趣味か仮装パーティー?』
『それより…早く彼を医務室へ運ばないといけないでしょう。』

女に急かされるように蘭は慌てて担いだユウキを医務室に運ぶために訓練室を後にした…。

巴と二人の巫女服はいまだに戦闘を続けている奈都と入ってきた巫女服はそれを眺め続けていたが改めて中くらいの背だけの巫女服が口を開く。『妹の巴がお世話になってます…私は八菱重工の榊原樹…巴の姉です…。』

巴の姉…言い方を変えれば八菱重工が最初に作り出したRAだと言う事だ…奈都は、直ぐに理解する、この女達は、巴をよく理解している連中であると…ゆえにあの狂った巴ですら押し返される訳だと。

樹『大きい方は、風子、お団子頭の小さい方が衛子です。』

奈都『風子と衛子…理解…した…それで…。』

奈都は、聞きただそうとすると樹は、巴とは違うやさしい笑みを浮かべ奈都の頭をポンポンと軽く叩きゆっくり歩き出し巴に向かって歩を進める。

樹『ユウキさんに、助けてと言われたので飛んできた訳です…。』

奈都は、ハッとする…ユウキが呼んだのは紛れもない強力な助っ人であった…そして、樹が巴との距離をほどほどに置いてどしっと威風堂々と構え始める…。

ゆっくりと彼女は左手を上げ胸の位置でピタリと止め手の甲を、巴にさらけ出す…そして、風子と衛子を呼ぶ…二人の巫女服はそれに合わせるように自然と互いの役割と立ち位置がピタリと重なり立ち上がった巴と真一文になる…ボロボロになった巴が樹に飛びかかると、すぐさまに衛子が巴の前に立ちはだかりなぎ払いの一撃を左手に構えた盾のような得物で軽くさばき、右手の同様の得物で横一線に払い巴がそれをよけるために後ろに飛び退くとそこを狙ったかのように風子がタイミングをぴったりと合わせて巴の凪いで戻らぬ腕の反対から袈裟に切り上げる…それにも巴は姿に反応し横へ飛ぶが今度は、衛子が右手の得物をもう一枚連ねて長さを長くした得物で袈裟に振り下ろし殺意のこもった異音が空を切ると共に音を発てるそれでも、巴はかわす姿がさながら追い立てられるうさぎのようだった…。
関心の樹は未だにそこに立っているだけではあるが、風子と衛子に、攻め立てられ巴は近づけずにおり縦横無尽に身をかわす事に精一杯と言うような光景がしばらく続く…。

その攻防もしばらくは続いていたのもつかの間、今度は、樹から金切り音が突然、放たれ、その光景は傍目で見ていた奈都は理解ができなかった。

樹『これで…王手です…巴…。』

奈都は、金切り音を放つ樹に目をやると…左手の先から所々きらめく光る筋が目に入る…それもかなり細い鉄線のようで…それが巴の四肢のいたるところに絡みついてほどけない状態になり、巴は振りかぶった状態でまるで巴だけ一時停止したかのようにそれはがっちりと絡まっていた…。

巴『い…樹っ!貴様っ!』

明らかな不意打ちで自身の体を拘束された巴は、今まで見せたことの無い表情と眼差しを実姉、樹に向けると樹が口を開く…。

樹『あなた、巴じゃありませんね…誰です?』

手が巴のもがく力に負けじと震えながらも言葉に余裕を見せる…樹は驚くべき質問を投げつける…実妹のはずの巴を誰呼ばわりする事にそれを聞いた奈都はおかしな気分になる…。

樹『誰、何です?あなたは…?』

巴『おやおや…姉様…実妹の…あたしを、忘れた…訳じゃ…無いでしょう?』

樹『いいえ…?あなたの事は、知らないですね…妹の巴は、そんな言い回しはしないですし…【姉様】なんて言わないですから…あなたは誰ですか?』

間違いなく、巴の姿をしているはずなのに明らかに様子がおかしかった…奈都ですら気が付かない所を樹が指摘する…やはり、姉妹の仲だ…と奈都は関心する…。

しかし、次の瞬間、巴が摺り足で樹に近寄り張り詰めていた四肢に絡む糸をたるませ、体の自由を多少得た途端、樹に飛びかかる…衛子や風子は、その出来事に一瞬、出遅れたために槍の刃は確実に樹の体の心を捉え、巴はその長柄の得物を突き出す…樹が死ぬ…奈都は目を背け悲しみがこみ上げたのもつかの間だった。

金属のけたたましい音が周囲に響くようにつんざき、奈都は驚いて樹と巴のいる方向にむき直す…。

樹が、右手に隠した鉄扇で巴の槍をはじいたようだ、更にそれは織り込み済みと言わんばかりに半身で槍撃をかわし、巴の顎と首筋に鉄扇を一瞬で叩き込んだ、確実に普通の人間なら、一発KOなくらい一撃が二発も入る訳だからよしんば、巴が耐えたとしてもかなりのダメージなのだろうが…姉の実力は、すさまじいものだった…あれだけ打たれ強く先ほども風子と衛子の攻撃を何度も受けて立ち上がっていた巴が、樹が放った、たったの二撃を受けただけで…ビクビクと体中、痙攣を起こし失神している…奈都ですら、その振るった姿が一瞬のことで理解ができなかった…。

樹『私がこれを持ってるのを知っているのは、風子と衛子、そして、巴だけですから…今のを回避できなかったのは…全く別人ですね…。』

そう言いながら樹は鉄扇をハタハタと扇ぎ、糸の絡んだ巴だった何かを引きながらに未だに、余裕の表情をしつつ…奈都に歩み寄る…。

風子『姉様…彼女は良く耐えてくれました…から。』

衛子『ボロボロだけど彼女が居なかったら全滅してたかもしれない…。』

衛子と風子は、奈都を示し、樹にその事を話すと樹はうんと頷き奈都の頭を改めてなで…奈都は少し満悦そうな顔を見せると樹はおもむろに口を開いた。


樹『あとは…私たちに任せて…あなたは…休息とってください…良く頑張りましたね…。』

すれ違いざまに言われた、流奈とは違う優しさを奈都は感じ普段見せない笑顔を榊原四姉妹に見せそのまま大の字に寝転ぶ…そして、戦いに疲れていたようで安堵がこみ上げ緊張の糸が切れそのまま、笑みを浮かべたままぷっつりと意識が途切れた…。






狂気の戦姫2 END

狂気の戦姫3へ続く…
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