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少年の世界の狭間 in 女神はほほ笑む

AD.200X年…冬…。

珍しく雪が降るネオトーキョーシティには、摩天楼が美しく白い雪化粧をまとっていた…。

今回は珍しく、安息を得ていた女神隊は、久しぶりに雪のトーキョーシティを満喫していた…。

巴『今日は、流奈姉とユウキが非番…さて何をしているんだかね…。』

巴はほほ笑むとユウキと流奈を羨ましげに思いながら暖かいコーヒーを嗜んでいた…。

流奈『せっかくの街ですから、たまにはこう満喫しなくてはいけませんわ…例えばカフェに洒落込んで見るのと言うのも悪くはありませんこと?』
流奈は珍しい雪を踏みしめながらユウキの隣を歩く…。
片ややユウキはぼんやりとした返事を返す、どこか虚ろな眼差しを見せていた…。

流奈は、視線の先を見ると、高校生くらいの少年達がわいわいと談笑をしながら歩いている…。

ユウキ『学校か…あの頃に戦闘さえ無ければ…。』

独り言をぼやくユウキは数年前までは、立派な高校生だったのだ…それを突如として奪われて戦争の世界、戦闘の世界に放り込まれた…家を失い家族を失い…なにもかもを失い…救われた先が今の女神隊だった…。
その独り言を、耳に入った流奈はどこかやるせないような気持ちになっていた…。

流奈『ユウキ…結局、あなたはどうしたいの?人を守る力を得た今とその力の無い過去のあなた…そして、今それに葛藤しているのは分かりますわ…だから、結局何をしたかったのかしら?』

流奈はやるせない気持ちでいっぱいになりながらもユウキに痛烈な問いを投げかける…。
高校生だった自分が得た力に対価を払った結果が、今のユウキを動かしていたし地獄のようなあそこから助け出してくれた女神隊にも感謝をしている…。

女神隊は、ユウキと言う少年に対しておぼつかないながらも、過去の切なさを忘れるくらいの長い時間とささやかな幸せを与えてきたつもりである…。
本来は、機械である彼女達が精一杯に育てて行った人間の少年ユウキがある…。
時間は戻せないのも理解はしていた…。

ユウキ『僕は…。』

ユウキが言いかけると…流奈は、ユウキの口に人差し指をあてほほ笑むと首を横に振った。

流奈『答えを焦る必要はありませんわ…あなたがどのようにしたいのか…ゆっくり考えるのが一番でしてよ…。』

茫然としたユウキに一言言うと再び流奈は優しく語りかける流奈『あなたが今いる世界から元の世界に戻るならば、今のままでは戻る事は叶わないのどちらも互いの世界を忌み、嫌って居るの…だから代償として今のあなたが消え…元のあなたに戻るの…でも…失った時間や失ったものは元には戻らないの…それだけは良く考えてくださる?』

流奈は優しげにそれでも目には慎重さを見せていた…。
いろんな意味の含みを持たせて話すとしばらく二人の間に静寂が流れる…。

突然、その静寂を破ったのは、ユウキでも流奈でもなかった。

?『本物の上谷…ユーキ…だよね??』

ユウキを知る人物だ…名前は神野美紀…高校生時代に親しく仲の良かった女友達だユウキは、その顔を忘れる事はなかった…当然向こうも同じように再び顔を合わせる…。

ほかにも親しく仲の良かった悪友の安倍に中井、里田がつるんでユウキを見ると呆然とした…。

里田『おおっおおっ!ユウキっ!今までどこに行ってたんだよ!』
里田が嬉しげにユウキの肩をつかみ暑苦しい包容をする…。
神野も何故か安堵したようにほほ笑むと不意にユウキは、流奈が心配になり目を向けるとそこには、穏やかな表情をした流奈が立っていて…静かに振り向いてどこかへ歩いて行った…。

中井『ユウキ…今の美人は誰だ?!』
中井が興味心身に聞くとユウキは、笑ってごまかした。
ユウキ『いや…親戚の姉さんだ…一緒に買い物に来てたんだ…。』
いろいろな意味を含めてごまかすと神野一行に連れられ様々な所へ練り歩く…だが…ユウキには、みんなの会話について行けないようだ…ユウキの世界とみんなの住む世界がまるで違った…みんなの言葉が魔法に聞こえる。

暮れになり一行は、バスに乗り込む…。
ユウキは気になりみんなに行き先を聞くと一同はきょとんとしたやはり、みんなとユウキの時間はあまりにかけ離れている…まるで浦島太郎のような状態であった。
神野『これから停留所を四、五箇所くらい先に、行くと数日前にできたアクアリウムがあるの、そこが結構話題になっているの。』

神野が携帯の画面をユウキに見せて指を指すと画面をまじまじと見る…。
目的のアクアリウムは三階建てで神秘的な雰囲気を醸し出しているそうだ…神野他安倍に里田、中井らはそれを楽しみしていた。

ユウキ『それは、楽しそうだな…。』

神野『でしょう!ユーキ、アクアリウムで何が見たい!』
満面の笑みを浮かべて魚の写真を見せる神野を見て昔みたいに呼んで見る…。ユウキ『ミキッチ…サットン、ベーヤン、ナーサン…僕はみんなが楽しんでる顔を見ていたい…。』
それぞれの徒名で呼んでしんみりとそう言うと悪友の中で一番涙もろい安倍がぐずった顔をする…。
たまらずユウキは笑うと揃って笑った。
安倍『カミヤン…あのな…あの日にカミヤンの家が戦争で、爆発して家族が亡くなったって言われてな…その後、カミヤンが消息不明になっていたから…ミキッチは何ヶ月も引きずってたんだぞ…。』

親友共としての暴露に神野は顔を真っ赤にしてぐずった安倍を叩くと再び笑いがこみ上げてくる。
違った世界でもここは同じようなものなのかとユウキは嬉しく思った。

談笑を続けていると早い物であっという間に四カ所目の停留所に着き、バスが止まると作業着姿でリュックを肩にかけている、しょぼくれた中年の男が乗り込んで着た…。
神野『珍しいわね…下見した時は、ここってコノ時間じゃ人って乗らないけど…。』
気になっている神野を見てユウキは詳しく知らないため偶然だと軽く声をかける…。

他の乗客達もあまり気にしていない様子だった…。

しかし、突然の出来事だった…。
作業着の中年男は突然、運転手のこめかみに黒い何かを突きつけている…。
様子が変だとユウキはちらちらと伺う、そして、次の瞬間、バスは騒然とする…。
銃声が一発轟くと中年男は大きな声を上げて乗客達に拳銃を突きつけた。

男『貴様らっ!騒いだり警察に電話をしたりしようものなら命はねぇ!』

バスジャックだとユウキは確信すると体を動かして席を立とうとするが神野によって腕を引っ張られた…それに目を向けると不安そうな顔で神野は首を横に振る…。

今は動くべからずと思いユウキは、静かに席に腰をかけると様子をうかがった。

男『運転手!総理官邸に行け!早くしろ馬鹿やろう、死にてえか!』

注意は、運転手に行ってるようでこちらに視線が着ていない…しかしながら男はカンが鋭いようだ…誰かが警察に電話をしているのを嗅ぎつけたのか…視線が流れて来ると電話をしている奴を見つけたのか…その乗客をなんの躊躇いもなく射殺する…バスの中は悲鳴と血の匂いが充満しユウキは苛立ち始めた…。

様子を改めて伺うと右手には拳銃、左手には爆弾を持っていた…。
ユウキ『奴は、自爆テロでもする気か??』
小声で神野に伝えると恐怖のあまり彼女の握る力が強くなる…。

ユウキ『奴を止めないと…いずれにしても待っているのは死だ…そんなのはイヤだ…みんなを守るんだ…。』

小声で神野に守ることを話すと神野の握る手を振り払い…ゆっくり席を陰にして中央通路に出るとユウキは一気に勝負に出た。右からナイフを飛ばし男の左腕に刺すとすかさずもう一本のナイフで男の構えた拳銃を手首ごと上に切り上げて的を完全にそらす
ユウキ『右腕はいただいたっ!』
そのままの体勢から男の脇の下に深々と突き刺してさらに筋肉を押し切り、組み伏せる。

ユウキ『抵抗するなら、命の保証は無い!投降しろ!』

組み伏せた状態でナイフを喉元に突きつけて降伏勧告を男にするが男も意地になり抵抗し爆弾のスイッチを入れようとした瞬間…ユウキは男がしたように躊躇もせず首を掻き切り加えて頸椎を数回刻んだ

スイッチを押す瞬間に男は絶命する、念のためと爆弾とスイッチを切り離しユウキはスイッチの電池を抜き出して近くに置いた、遺骸となった男を見てバスの誰でも良いから警察を呼ぶように叫ぶ…。

それから、しばらくは友人達とはユウキは言葉も交わさなかった…。

警察が来ると、ユウキは警官に女神隊の隊章と軍所属証明手帳を見せ事件の説明をする…。

ユウキ『今から30分前に死体になった容疑者がバスジャックをしドライバーを官邸に行くように脅迫し被害者一名を拳銃で射殺、我々を監禁して官邸前に移動、爆弾を所持していたため驚異レベルの基準にのっとり手荒だか武装解除をしたが抵抗し自爆を敢行したため、驚異排除をした…容疑者死亡で事件は幕引きだ…あとは書類送検でもしておけば良い。』

ユウキは、遺体となった男をバスからずるりと引っ張り出して、運転手からブランケットを預かると死体にかけた。

多少は、手荒な方法だったがそれしかなかったためユウキは正当防衛の基準に満たした形で免罪となる…。
バスから友人達が降りてくると近づいたユウキを見て後ずさりをすると神野は、ユウキに罵声を浴びせた…。

神野『近づかないで!あなたなんか…化け物よっ!どっか行って!』

それにつられて、他の友人達も口々に罵声を浴びせる…。
ユウキは、助けた人からそう言われると思ってはいなかった…。
しかしながら、涙を流さずに振り向くと神野達を見てつぶやく…。
ユウキ『じゃあな…化け物はお前らの前から消えるとするよ…とっとと、上谷ユウキなんて忘れるんだな…。』

その後は、実にあっさりとした決別だった…とぼとぼと歩いてみんなの前から去っていた…。
そして、流奈の言っていた意味をようやく理解した、受け入れられる事はない互いの世界、結果はそのように訪れた…。
ユウキ『世界は…そんな物さ…。』
何かに決心がついたように独り言をつぶやく…。
ようやく、最寄りの駅に着くとそこには、流奈が待っていた…。
流奈『ユウキ…答え…聞かせていただけるかしら?』

昼間の質問の答えはすでに固まっていた…。
昔は親友だと思っていた友人達に軽蔑と侮蔑の言葉を浴びせられ、畏怖されたならそこには、ユウキのいる世界は無い…改めて思うと流奈にユウキはうなずいた…。

ユウキ『対価は相応だったかな…結局、もう戻れないのもわかったから…帰るよ…女神隊に…。』

流奈『そう…改めて言うわ、オカエリ…ユウキ…女神隊へ。』

流奈はユウキの背中に手を添えて軽くエスコートする…。
ユウキは、これで元の世界とは決別し…女神隊に帰る事にした…。

ユウキは、その後…女神隊に従軍し…学生時代の歴史は全て抹消される事になる…日本軍所属のエースパイロットのつらい傷だらけの歴史の幕開けでもあったのだった…。
少年の世界の狭間 END



それから…

ユウキは…ノートの間から滑り落ちた昔の写真を見て、鼻で笑うと、その写真をくしゃくしゃにしてゴミ箱へ投げ入れた…その写真は、高校生の頃の古い写真で神野や安倍、里田、中井とにこやかに取った写真だ…。
過去を振り返る気はとっくに失せた…その思い出の写真も捨てて巡洋艦アデリアの自室を後にした…。

正邪の境 in 女神はほほ笑む

AD.200X年後期…。

日本の国土の隅へ追いやられたアメリカ軍は、一大攻勢に打って出る…いわば日本の解放への戦火に終焉を迎えるような年だった。

米軍をクジュウクリ砂丘地帯に追い込んだ状態である…。

しかしながら、米軍は最強の戦闘部隊である…全土からここまで追い詰める事ができるまでに約六年の歳月をかけている…。
当然、日本軍の第一世代AG【流月】も旧式化が目立ってきている…。

投入されたRAですら製造から四、五年…も経つと戦闘データから攻略法なども解明されているだろう…がそこは、常に変化するのがRAの特殊な所である

アメリカ軍をようやく追い込むまでに日本軍も無事では無かった…度重なる戦闘からの疲労から罪悪感にとらわれて落ち込むものや不気味な笑みを真っ直ぐ飛ばし同じ言葉を繰り返しているものなど士気諸共心身を削ぎ落とされたのだ…。それでもそんな地獄絵と化したクジュウクリ砂丘地帯に未だ、士気を高く持ち勇敢にも最前線で戦い続ける部隊があった…。

巴『2時方向、距離1500mからM1戦車、2っ!対戦車ロケット、スタンバイ!』

烈月『対戦車ロケットなんて使う必要はねぇぜ!キャタピラぶったぎってから中に手榴弾放り込みゃ良いだろ。』

余裕綽々と烈月は、走って行くとユウキと蘭を連れて米軍の主力戦車に向かって行った…。
しばらくして向こうから激しく砂塵が舞い上がりガスタービンエンジンから上がる疳高いエンジン音が聞こえていた…
大分近づいたようだがまだ戦車の姿は依然として見えないでいた…。

しかしながら、向こうも近づいている…烈月はその先に見える砂塵をじっと見つめて神経を研ぎ澄ますと砂塵の中の1輌の砲塔がちらっと見えるとここだとタイミングを合わせて…横へ斬馬刀を振り抜くと見事にキャタピラーを切り裂き、戦車はバランスを崩してその場をクルクル回るだけであった。

烈月『もらった!』
さらに近づいて行くと戦車の機銃が烈月を捉えたのか激しく斉射を仕掛けると慌ててジグザグに走り、的を絞られないようにした。
ぴったりと戦車に張り付くとひとっ飛びで車体に飛び乗ると操縦席から顔を出した兵士の顔面にブーツのつま先で思いっきり蹴り飛ばした。

ミキッと音を立ててズルズルと中に滑り込んだ兵士を見ると烈月は笑った…。

烈月『ザマァねぇぜ!顔を出すからだ!』

笑いながら砲塔に乗るとハッチを開けて、手榴弾を入念に二、三放り込んでその場を離れるとしばらくして、手榴弾が爆裂したのか鈍い音が聞こえて戦車は動作を止めた…。

烈月『よっしゃ…あと一輌だ…ユウキ、ラン、報告しろ!』

ユウキ『ユウキだ、今、M1戦車に張り付いた所だ…エンジンをふっ飛ばす!』

ユウキは、どうやら戦車の後方に近づいたようだ…エンジンを爆破させようとしていた、プラスチック爆弾をこっそり持ち込んでいるみたいだ…続けざまに蘭が無線を流す…。

蘭『ユウキの援護をしているよ!機銃が、ヤバい!ヒャァッー、勘弁して!』

ランに機銃が集中しているのか彼女は必死に回避を続けているようで烈月は、走ってそちらに行くとランが踊るように飛んだり跳ねたりして見える…。

烈月『蘭公!てめぇ、そのまま注意を引いてろ!ユウキがエンジンを吹っ飛ばすからよ!』

烈月が近づいて行きながら指示を出しユウキがエンジンをプラスチック爆弾で派手に爆破するとハッチを開いて戦車の乗組員が出てきたところを烈月は、待ってましたとばかりに車体へ砲塔へと素早く飛び乗り出てきたばかりの乗組員に向かって斬馬刀を横にして振り下ろした、乗組員の丈夫なヘルメットを砕きその衝撃で目を回したところで彼の胸元にあった手榴弾の安全ピンを引き抜いて再び戦車の中に押し込んだ…。
ハッチは開いたままなので烈月は面倒くさいと思い、開いたハッチの上に斬馬刀を置いてその上に乗っかって動かないようにどしっと座った…。

しばらくして鈍い爆発音が聞こえて戦車は沈黙…生身で二輌の戦車を連続しての撃破はさすが、精鋭の女神隊のメンバーである…遠巻きに日本軍の喜ぶ声が聞こえると烈月は戦車からおりてユウキに目を向けた瞬間だった…。

烈月の横をユウキの体が宙に浮いた状態で横切って行くとドサリと後ろで音がした…。
今度は、後ろに目を向けると、先ほどまで戦車の後部にいたはずのユウキが前側にて倒れて居るではないか…。
烈月は慌ててユウキを抱き上げて防弾チョッキのいたるところを触ると胸のあたりからおびただしい量の血がでておりかなりの大穴が胸と背の先を照らしていた…。

烈月は、辺りを見回してキラリと光る光源を一瞬で認識すると大きな声を上げて自らの斬馬刀を盾にユウキを抱えて移動した。
烈月『11時方向、スナイパーッ!クソッタレ!ユウキ、ダウン!繰り返す!ユウキ、ダウン!ランコそっから出るな死にてぇのか!』

かなり、烈月は焦っていた…。スナイパーがそこに潜んでいたとは思いもよらなかった…。
戦車の影に移動するまでに何発かは斬馬刀に当たって激しい音を発てて衝撃が手に伝わって来た…。

戦車の影に入ると烈月はユウキを見ながら最初は、傷口をふさいでいたが途中から様子がおかしくなっていた…。

次第に無口になり呼吸が荒くなった…。
加えて獣のようにうめき声を上げて呆然と立ち尽くすのだった…。

蘭は、ユウキの傷口を押さえながら烈月を心配そうにみると目が赤に青に黒にと変化しているのを見て驚くと…しばらくして深呼吸をして烈月を大きな声で呼んだ。
蘭『キッちゃんっ!何やってるのっ!急いでユウキの止血して!』

呼んでも返事が無く…依然とユウキの血を見て獣のように呼吸を荒くしていた!

蘭『キッちゃん!ユウキが失血する!急いで、早く!早く!止血剤が足りない!止血バンドも間に合わない!ぼうっとしてないで見殺す気っ!聞こえてるっ!?』

今まで何とも無かった烈月が突如として急変し…まるで何かにとらわれているようにうめき声と獣のように呼吸をするを見て蘭はもはや打つ手は無かった、諦めかけていた時だった…。
巴『烈月っ!あんた聞こえてる!?ユウキが死ぬか死なないかはあんたにかかってるんだから、早くもとに戻んな!』

巴が烈月の胸ぐらをつかんで揺さぶると烈月は、懸命に何かを伝えようとしていた…。

そして、巴はハッとすると烈月の体の中の世界に引き込まれて行った…。

烈月『てめぇに、大事な仲間の…家族の血や魂なんぞくれてやる訳にはいかねーんだ!昔のオレいや、神崎よぉっ!』

烈月は、どうやら神崎(昔の烈月の名前)と口論をしていた…まるで何かの葛藤のように、巴はその世界を見守るように息を潜めて見ていた。

神崎『あ?何、言ってんだよ…昔みたいにさ、人間の血肉を喰らって、魂をオレに捧げろよ…あの壊れる快感をオレに捧げろ…昔みたいによぉ。』

烈月『バカかてめぇは…過去にそれで後悔してんじゃねぇのかよ?化け物が!今のオレにやそんな事する気もさらさらねぇっうの!』

同じ声、同じ言葉遣いの異世界で二人は口論が続き堂々巡りのなかしびれを切らしたのは、昔の烈月、神崎の方だった…。

神崎『埒が明かねえ、てめぇをぶっ殺して…器もらってそこに転がっている死にかけの野郎を喰ってやる!』

しびれを切らして力ずくで烈月の体を奪いに来た、元々烈月は…気短な奴であるが、コイツはさらに気短なやつだった…。
烈月は、昔の自分と闘う事に圧倒的な不利を感じていた…。
自分だからこそわかる…奴は、力こそ全て…今の自分には、無いものだ…技術の面でカバーが出来るかどうかだった…。

デカい斬馬刀同士がぶつかり激しく火花を散らす…。

両者は、一旦、距離を取ると素早く攻勢に出たのは烈月だった。

烈月『糞が!穴だらけにしてやるよ、このアバズレがっ!』

烈月の片手からユウキ謹製の45口径の拳銃【ルガーフェイク】が火を噴くと神崎は、ものともせず突っ込んで来る、一瞬、出遅れた烈月は、胴に深々と斬馬刀の一撃を食らい吹っ飛ばされる…さらに追い討ちとばかりに蹴り上げられると宙に舞った巨体を突き落とすが如く切り落とし地面に強く叩きつけられた…。
体中がメキメキと悲鳴を上げる…。
口からおびただしい量の血が溢れ出ると意識がぼうっとしだした…。
そこで巴は、突然として烈月の意識からはじき出され実世界に戻っていた…。
ハッとすると烈月の顔をまじまじとみるとぼうっとした虚ろな表情を彼女はしていた…。
巴、不意に烈月に声をかける…。
巴『烈月…動け、闘え…あたしをクソアマってつぶやけ…。』

自分でも何を言ってるかわかっていない…しかし、自然と口が回る…。
加えて胸ぐらをつかんだ手に力が入る…。

蘭は、いつも沈着冷静な巴の突然の言葉に呆然とした。
巴『動け…闘え抗え…このクソアマッ!』
何故か分からないが強い感情が入る…ユウキのためもあるのだがAIとしていた自分が変わっていくのだ…自然と今まで最も人間くさい烈月と人間のユウキと長く居たためか自然とその言葉を口にしていた…。
巴『烈月…動けッ動けッ動けぇぇぇ!闘えぇぇぇッ!ユウキを守るって言った大馬鹿野郎がっ!!れぇつづきぃぃぃっ!!!』

分からない…涙なんて流す事の無い巴は、自然と涙を流していた…。
胸ぐらをつかんだ手はこわばり震えていた…。

しかし、突然…銃声が数発轟くと…巴の腹から血が吹き出る…体中が痺れると…巴は、歯を食いしばって耐える…。
烈月の体が神崎に制御され拳銃の引き金を巴に向かって引いていた…。

烈月『と…も…え…。』
烈月の意識から彼女を思う声がか細く聞こえると二人は力無く倒れ込んだ、ところで巴は烈月の顔を覗き込んでにっと笑うと再び叫んだ…。
巴『お前は、そんな…馬鹿な奴か…立て…立ち上がれッ!闘え!抗えッ!あたしともケーキの取り合いの決着を付けるんだろ!目を覚ませ!!れぇつづきぃっ!』

繰り返し烈月の名前を叫ぶ巴の声が烈月の体に響く…。
その声が彼女の意識に届いて深く染み渡る…。

意識の中で圧倒的な力の前に倒れ込んでいた烈月は、不思議と力がみなぎってゆく…。
呼吸を整えようと大きく一呼吸をすると口から血が出るがそれでも呼吸を整えようとする。

烈月『がはっ…昔の…オレよぉ…お前は独りだ…独りっつうのは…寂しいよなぁ…オイ…。』

彼女はゆっくりとボロボロの体を起こして眼帯の位置を直すとゆっくりと大きな斬馬刀を構え直す…。
神崎『あ?てめぇは何、寝言吐いてんだよ、仲間とか家族とかよ…邪魔くさいだろ?あんな荷物抱えてさ…アホらしいだろが…つうか…さっさと死ねよ…クソアマ。』
神崎は、冷徹にも烈月を蹴り飛ばすとそれに弾かれて烈月は吹き飛ぶ、しかし、それでも頑として立ち上がる…。
立ち上がった瞬間に左腕を蹴られ骨を折られるとバランスを崩した所で再び切り上げられ宙に舞い上がる…今度は肩口から血が吹き出る…。
確実に片腕が使い物にならなくなった…。
意識も朦朧とする…。
それでも…巴の声で三度、立ち上がると大振りに横凪ぎが来る…。
首をハネるにはジャストな位置だったが烈月はそれに抗った、使い物にならないはずの左腕を目一杯上げてギチギチと音発てて上がった腕で凶悪な斬馬刀を力一杯受け止める、金属の手甲がギリギリと不気味な音を発てていた。
烈月『てめぇは…独りだ…だから弱え…守るものがないから…弱えんだッ!昔のオレは…邪魔だ!』

受け止めた斬馬刀を少し下にずらすとその上を転がって身を翻し神崎の驚いた顔を前に、お返しとばかりに切り上げる…さらに上から蹴り落とし、すかさず斬馬刀を胴に押し当ててスピードの乗った落下で神崎の胴をギロチンのように分断すると残った上半身に追い討ちをかけて粉々にする。

烈月『てめぇは…馬糞にでもなってな…クソヤロウが!』

烈月は…神崎の亡骸に血の混じった唾を吐きかけると…ようやく体の意識を取り戻した…。

そこには、涙目になった巴がぎゅっと胸ぐらをつかんで居た…。
烈月『おい…クソアマ…さっさとその手、離せよ…ユウキも運ばにゃならねぇだろうが…つうかアタシャめちゃくちゃ恥ずかしいんだよ!さっさとどけれ!』

戻った烈月の言葉に巴は自分の腹を押さえて笑うと烈月の顔を軽く殴ってからユウキの肩を持って移動を始める…。
スナイパー自身はどうやら…他の隊員によって排除されたのか撤退したのか…ひらけたところに体をさらけ出しても射撃は来なかった。

巴『烈月…まぁやっぱり…バカね…それが最高よ…。』
腹に開いた風穴を押さえながら烈月をけなすと烈月は一言、『うるせーアタシャ馬鹿じゃねぇ』と言うだけだった…。

蘭『しっかし…巴があんな、かぉご…。』

蘭は何かを言いかけると血のべっとりついた手で巴が口をふさいだ…どうやらこの事は内緒にしてもらいたい様だ…。

ベースキャンプに戻るとユウキと巴は…応急措置を施されユウキは内地の病院に運ばれて行く…。
重傷になったユウキを見て普段は寡黙でおとなしい奈都が特に尋常では無い騒ぎようをしたのは言うまでもなかった…。


正邪の境…END…


それから
数日の内に戦闘を無事成功に収めたあと病院にユウキの見舞いに女神隊全員が押しかけて行くと…。

横たわって居たはずのユウキの姿は無く…看護師達は皆、口を合わせて…『急変し未明に亡くなった』と言うのだった…。
身よりが居ないと言う扱い方で葬儀すら行わず…直ぐに遺体は…火葬したと主治医や看護師は皆、口々に言う…まるで何かのホラー映画のように…何かに取り憑かれたように…。

不死鳥艦隊攻略戦2 in 女神はほほ笑む

届けられたアサルターバックコンテナに手をつけた流奈は、30秒持ちこたえろと巴に声をかける…。

巴は、善処はすると早口で軽く答えるとライフルのマガジンを投げ捨て流奈を背負って再び後退する…一隊と成って襲いかかるM6クルセイダーの一軍は、容易に崩せる物ではなかった。

撃ち続けていた巴は切迫感が凄まじいほどに襲いかかっていた…。
カメラ越しにユウキは巴の手が微かに震えていたのを見ると少しだけ、腕に伝える操縦レバーをライフルよりに動かすと、スムーズにマガジンがライフルに装填された…。
巴は自分の感覚が少し切迫してズレていたのをフォローされたことに気が付いたようだ
巴『ユウキ、助かる…!』
礼を言うとユウキは何食わぬ顔で軽く答えると流奈が巴の前に飛び出した。

スマートないでたちをしていたかと思うと一転、攻撃的な機体に様変わりしており
右腕には35mm8門ガトリング砲を積載し、背中から腕にかけて補助アームを取り付け反動に負けない大掛かりなブースターを背負っていた…。
左腕には女性には似つかない大型のチェーンソーが折りたたまれており補助アームを肩に掛けて取り付けられており同様に背中へ伝って取り付けられているさらに肩にミサイルポッドが組み付けられさながらフルアーマールーンナイツと言った所だ…。

ユウキは、そのアサルターバック88(エイティーエイト)を纏った流奈を見て言葉を失うと流奈は、フッと一つほくそ笑み、まばゆい閃光が一瞬、走ると…35mmの強烈な弾丸は高速回転する銃口から凄まじいスピードで飛び出しその先に捉えたクルセイダーは瞬く間に花火に変わって行く。

そして、巴を通して体の芯に伝わる流奈のガトリングのリコイルショックと耳に聞こえて離さない小気味良い感覚の銃声は、ユウキの心を踊らせた。

ユウキ『すげぇ…。』
一言漏らすと周辺の危機は、流奈のガトリングの斉射によって瞬く間に形勢は逆転…数々の敵機が流奈のアサルターバック仕様の前に次々に撃墜されて行く…。
流奈の担いだガトリングだけでそこまであっさりと敵機が片付いて行く…。
レインの狙撃とイーティルの砲撃、加えてアデリアの砲撃もある周辺の制圧はもう間もなくのようだ…。

そこにようやく、近隣をパトロールしていた日本軍艦隊が合流する形になる…すると我先にと武功を立てんやとばかりに進撃を開始するミョウコウ級航宙巡洋艦が4隻、前に出ると待っていましたとばかりに敵旗艦フェニックスは砲撃を始めた、ミョウコウ級4隻は、飛んでくる砲弾に合わせて回避運動を取りながら対艦魚雷を2発づつ向かって放つ…。

真っ直ぐに飛んで行った魚雷は突然、何かに遮られると爆発し次々に誘爆を起こし、もうもうと立ち込める爆煙の中には…高速で直進航行する魚雷や砲弾を受け止める為に傾斜の利いた分厚い装甲板を艦低に持ちその装甲の下にはエネルギー砲を打ち消す防御フィールド発生器を持ったケディスバーグ級防盾駆逐艦が4隻も煙の中から姿を見せる…今まではレーダーにも視界にもその姿を捉えていなかった…。
突如、姿を現した、ケディスバーグ級防盾駆逐艦の存在を確認すると…巴は又、頭をフル回転させた…。

巴(防盾艦…そんな…馬鹿な…今まで居なかったはずなのに…)
巴は、深く思考すると状況の悪化だけは避けねばと、とっさの判断で自然と口が回った…。

巴『先行するミョウコウ級は回避運動続けつつ後退!パトロール艦隊の防御艦は?居たら部隊の前衛に回して緊急防御!アデリア、イーティルは砲撃可能火砲で応射急げ!ケディスバーグへのエネルギー砲は無理!実包で奴の堅い盾をふっ飛ばせ!』

巴は言えるだけの指示をありったけ口にすると火線を縫いつつボロボロになりはてた、烈月の鉄塊を拾って辺りを見回しながらアデリアの居る方向へ逃げる大分離れたのかその途中でこれまでに無い好転材料を見つけた…。

巴『ヒュ−ガ級戦載艦(航空戦艦)!?ありがたい…烈月…もうすぐだ…。』

大破し鉄塊の烈月を励ますように引っ張って戦載艦の着艦用甲板にたどり着くと烈月から強制通信が入り込む。

烈月『すまねぇ…てめぇに助けられるたぁな…借りができた…いつか返してやる…そいじゃあ…しばらくは休ませてもらうわぁ。』

痛覚の遮断…大破した各部へのエネルギー供給の遮断、ジェネレーターの負荷の軽減を同時にやった結果だと巴はユウキに話すと少し安心していた…。

巴は、状況を見計らってヒューガ級戦載艦以下全艦に指示を出す…。

巴『ヒューガ級戦載艦は艦載中のAGを発進…回避運動を続けつつミョウコウ級は、CE弾頭に切り換えた対艦魚雷で雷撃、ケディスバーグ級の距離3、4メートル手前で爆発するように信管をセット…フィールドジェネレータを焼く!。』

巴の指示で一斉に戦場が動くのが分かる、ヒューガ級から参式AG水月(スイゲツ)が飛び立つとフェニックスから再び続々とAGの反応が強く出た…レーダーの反応から察するにM6クルセイダーを小型化したM7コールセアだと巴は言うと流奈が大きな声で叫ぶ

流奈『コールセア!先手はもらった!手出しはするなっ!!』

多数のコールセアを前に、流奈は先行すると宣言すると先手として、ミサイルをばらまく…それから抜け出したコールセアに35mmのガトリングの弾丸を集中的にかつ威圧的に放つ。

遠巻きに見ていた巴は、彼女の下へ急いだ…いくら優秀な流奈でさえ、沢山のAGを相手にするのには無理がある…。
烈月のように墜落しては、戦力にも戦闘にも不利になる…。
とにかく急いでブースターを吹かす…。

しかしながら、水月の一群がそれでも援護はしている…いくらは持ちこたえるだろう…。
しばらくは、激しい射撃戦だったがついに距離の縮まった水月とコールセアが斬り結んだところで、流奈がコールセアの軍団を縫うように一直線に駆け抜けると通った後は花火が次々に見えそこだけ穴が空いた、流奈は左腕のチェーンソーを踊るように扱いながら敵を粉砕していた。

流奈『ぬるい…ヌルいッ!!ヌル過ぎる。』けたたましいチェーンソーの音と共に流奈は格闘を繰り返して大半を完膚なきまでに破壊する。
艦砲を蛇の様にすり抜け、狼のように敵を破壊し蜂のようにトドメを与え亡霊のごとく弾の当たらないその姿から死神の異名を持つ彼女に掛かれば大軍は、造作のないことだった。

巴は、遠巻きに状況を理解し流奈への不安を除こうとしたときだったユウキが、笑いながら声をかける。

ユウキ『烈月ほど無鉄砲じゃ無いんだ流奈は、すごく優秀だから落ちやしない…巴がそんなに不安がっても、さっきみたいに「ヌルい!!」って一言で片付けるだろう…。』

ユウキは、流奈の戦闘力の高さを知ってか楽観的に語ると巴は深く息を吐いてから笑った…。

巴『流奈姉!攻撃目標を変更!!ケディスバーグ級のウスラトンカチを攻撃!戦闘艦群はケディスバーグ級から後ろのふんぞり返ったデカブツに向けて長射程からの砲撃と雷撃、ミサイルもありったけ出し切るッ!!』

再び巴が指示を出すと…流奈は巴に合わせて行動する…粗方流奈が仕留めたコールセアは、数で言えばすでに半数弱…日本軍機水月でもよほどの事が無ければ全滅は無いと踏んだ巴は、流奈を呼んで一気にケディスバーグ級を潰しにかかった、ミサイルが流奈に向かって飛んでくるのをカバーしながら確実に距離を詰める…。

対空砲が手厳しく砲撃する…。

目の前で炸裂しドンパチと花火をあげる…ユウキは、空間と砲弾に目を凝らす…巴が回避しきれない物に関してスラスターをふかして巴の回避をサポートする…。
流奈に関しては、砲弾が炸裂した手前でバックブーストをかけるて完全に敵弾に余裕もって避ける…。
それでも肩に当たり、金属のはじける音がけたたましかった…。

対空砲火を避けケディスバーグ級防盾艦に張りつくと流奈は、砲に向かってガトリングとミサイルをばらまいて艦砲機能を喪失させると巴がトドメとばかりにガンズスピアーを凪いで艦橋を吹き飛ばしてケディスバーグ級、防盾艦一隻が完全に沈黙する…。
防御面では凄まじい力を発揮する防盾艦も懐に入られてしまえば艦砲力に乏しいためにあまりにも脆弱であると巴や流奈は理解していたために単騎でしか成せない技である。

巴『あまり、この技って披露したくは無いのよねぇ…危ないし。』
やれやれと少しばかり息を吐くと二隻目もあっさりと潰してしまった二人のコンビネーションは洗練されていたのを見てユウキがチラッと三隻目を見るとみるみる形が変わる…。

ユウキ『巴、流奈姉…気をつけて三隻目ッ!見てッ!。』

流奈・巴『はぁッ!?』

流奈『何ッ!?』

巴『冗談ッ…!!』

口々に驚きの声をあげると三隻目のケディスバーグ級防盾艦は、特徴ある分厚い盾で弾き飛ばそうと…加速してきた…それも単なるケディスバーグ級防盾艦を凌ぐ加速だ…。
巴と流奈は、この防盾艦の加速に驚きつつも適切にかつギリギリで避ける…巴の肩アーマーのスタビライザーがガリガリ言っている…。
それでもギリギリ避けた事に良しとして凄まじいスピードのケディスバーグ級防盾艦を流奈は、追うが…前線に出てきたところで防盾艦は砲撃力に乏しいのは先ほども巴が言った通りだからと追うを止めた…。
すると、前線に出たケディスバーグ級防盾艦は、瞬く間に手の空いた駆逐艦とAG水月に取り囲まれてエンジンを袋叩きにされ宇宙に浮く的になってしまった…。

巴は、それを見て笑うと残る一隻を無視して流奈を連れて真っ直ぐフェニックスに向かった…。

巨大な艦体に再び近づいてまじまじと見る、巨砲主義の現れと言わんばかりに林立する戦艦砲は戦載艦ヒューガのそれを凌ぐデカさであった…。

戦艦砲が二機を捉えさらに牽制として防対空機銃が再び、雨のように彼女等を捉え集中する…。
攻撃の手を緩めないことで近づいた者を引き離す不死鳥は、遠巻きには威圧感のように見える…そのため巴と流奈苛立ちを見せ始めた。

しかしながら…不死鳥に対して伏兵がいきなりの攻撃を見せる…RAレインあらばその影にRA飛鳥、RAレイジランサー有りとばかりに対空機銃は伏兵たるレイジランサーが次々と破壊していく。

レイジ『ウチの出番なしは有り得んやろ!!』

レイジランサー…最も前衛的な機体であり…主力の近接格闘機ランに次ぐ高いポテンシャルを見せる古参のRAである、今までレインの影に隠れ姿が見えないと思っていたがどうやら…この機を伺い回り込んでいた…。

巴『レイジ!こちらが陽動する!そのまま、対空機銃を!!』

レイジ『おぉ!任された!機銃はもろうたで!』

巴の指示に動くレイジはランのようにひらりひらりと機銃伝いに艦体を進む…。
火力にむらが出来始めると流奈が先んじて前進する…。
図体のでかい艦の土手っ腹に流奈が足を付けるとアサルターバックのガトリングに火を付けた…。

バラまく弾丸は凄まじい勢いでレイジの後を追うように掃除が始まる…。
機銃、対艦ミサイルベイ、副砲、次々に爆煙があがっていく…不死鳥に取り付いたRAは凄まじい勢いである…。
しかしながら…不死鳥はそれでも堕ちない…。
艦体を動かし主砲が傾く、照準がレイジを捉えるとそのまま火を噴いた。

レイジ『あかんっ!かすった!』
砲弾は…レイジのつま先をかすりその先に、居た戦艦を一撃のもとに轟沈させた…。

レイジ『ぐっ…なんちゅう威力やっ!』

巴『戦艦を一撃…。』

流奈『まさか…っ!』

口々に再び驚きを隠せない…。
ユウキですら何も言えず開いた口がふさがらなかった…。

ユウキ『巴…あの高精度な主砲を破壊した方がこっちの艦隊にとって前進しやすいと思う。』

驚きを交えながらのユウキの提案を聞くと、それがいいと満場一致の結果が出る…。

レイジ『先に、主砲やな…あの主砲はあかん…!』

一気にトップスピードに加速できるレイジは…主砲を破壊しに前進…それを追うように流奈が出るとミサイルを次々に打ち込む…。
流奈『クソ、堅い…砕けろ!!』

流奈のアサルターバックで破壊できないほど堅固な主砲は依然として砲撃を続ける…。

流奈『クソがっ砲塔の装甲が厚すぎて話にならん!』

弾丸がダメならとチェーンソーが唸りを上げて砲身をぶった切る…それでも精度はなんぼか落ちたようで放たれた砲弾は、あさっての方向へ飛んでいった…。
レイジ『ナイスやっ流奈姉!』

巴『ほぉ…なかなかの妙案ね〜!』
砲身の破壊は、意外だった切り落とした砲身は斜め…できれある程度の精度低下につながりその後から砲塔を料理してやる…。
その先に待つ艦橋まで遡る…。
巴は、その大きな艦橋をしばらく眺めたあと思いっきりガンズスピアーを突き刺した。
深々と刺さるとスピアーを引き抜くそして、再び突き刺しけたたましい爆破音が聞こえた。
カッティングトリガーを引いたようだ…艦橋は、破壊力の増したガンズスピアーで粉々に吹き飛んだのだ。
そして…ついに、大半の主砲も破壊された不死鳥には残る火砲は少なく…出せるAGもつきたようだ…もはや死に体になった不死鳥は…艦隊の前になすすべ無く集中放火を受けることになった…。

集中放火に晒された不死鳥は、バイタルパートを撃ち貫かれたようで、大きな船体は至る所が風船のように膨らみ破裂し…胴体は分断、粉みじんになり長かった戦闘にようやく終止符がうたれた…。
戦いが終わり帰還する中ぼやきをレイジが巴にいろいろと質問をなげる…。

レイジ『いつものバカ相棒はどうしたん?』

巴『ア〜あいつはバカだからまんまと被弾しから戦載艦に置いてきた…。』

流奈『自分の火器の連射性と自分の火器管制を見くびってましたわね。』

口々に笑いがこぼれる…バカと言う肝心烈月は、戦載艦に置いてけぼりにされ…帰って来るまでに数ヶ月を要したのは言うまでもない…。

この戦いでの戦死者は3000人以上の小さくも大きな激戦になった…。
しかしながら…それだけ巨大な戦艦を建造するアメリカ軍は、衰退するにはまだまだであるが大打撃を受けたに違いないと巴は思った…。

世界は未だに先進国群の侵略、発展国群の侵略に終始圧倒され続けるであろう…。



不死鳥艦隊攻略戦 END




しばらく…して…

再び巴達に新しい任務が急遽舞い込む…。

巴の寝ぼけまなこに柿崎中将が笑顔で通信をながす…。


中将『はっはっは…先日の作戦は、ご苦労さん…巴…急ってわけなんだが、折り入って…。』

言いかけたところで巴は、通信を強制的に切り再び床についた…。

不死鳥艦隊攻略戦:1 in女神はほほ笑む

A.D.200X年某月

地球衛星軌道上にて、日本軍パトロール艦隊が突然、消息を断つ
それも…相次いでの事で…立て続けておこる事態に軍部は事を重く見ていたが悪戯に部隊を派遣し消耗するのを恐れ…会議では、各幕師や、諸将らは担当部隊の派遣をしたがらなかった。
口をつむいで、重苦しい空気が会室を包み込んで離れない…陸海空の幕師長(幕僚長)もほとほと悩む…。

そこに、沈黙を破って、柿崎・ジェームス・ダグラス中将が一人、挙手をして口を開いた。

柿崎『ここはひとつ…私が担当する女神隊を現地に派遣して見てはどうか?』

開口一番にそれを言うと広い会室はどよめき、納得をする将や不安げにする将様々であった

そこに、海軍の少将が立ち上がり異を唱える

海軍少将『柿崎中将、いくら女神隊だからと言っても損失を考えろ…女神隊は、我が日本軍の勝利の象徴!!失えばどうなるか分かっているだろ!』

その問いに、柿崎中将は、声を大きくし机を叩いて反論する

柿崎『見えない敵に対して悪戯に軍艦一隻、兵士数百余りの命を送り込むのと、軍艦一隻と四機のロボット兵器の損失、一体どちらが大事か!それは、数百名余りの将兵の人命ではないのか!』

人道的な言葉で反論する声には、女神隊の損失を考えてはおらず自信に満ちていた柿崎中将は、更に一呼吸置いて静かに声を発した。

柿崎『女神隊の隊長…彼女ならばそう言うだろう…。』

この言葉が決め手となり会議は満場一致で女神隊の派遣が決まった。

数日後…。

巴『あ゙ぁ゙〜だっるい…朝っぱらから何さジェームス…。』

柿崎中将からの通信によって安眠を阻害された巴は少し機嫌悪そうに整えていない髪をボリボリと掻きながら話す…。

柿崎『すまん、すまん、巴…朝早くに申し訳ない…申しわけついでに早速、移動方面を修正してそちらを最優先してくれ…。』

笑いながら、寝ぼけ眼の巴にどんどんと情報を柿崎は送りつけその膨大な量に巴は目が覚めるといきなり立ち上がった…。

巴『ハア!?最優先事項更新?詳細資料!?部隊派遣先、地球衛星軌道上…ポイントC(チャーリー)!?』

キョトンとした柿崎中将は慌てて笑ってごまかそうとしたが宙に浮かんでいる膨大な資料を払って巴は、柿崎中将に怒鳴り散らし始めた…。

巴『いきなり、私への相談も無く派遣先を確定させるのはどういう了見ッ!チャールズ(父ダグラス)なら一つ聞いてから派遣先を確定するでしょう…。』

怒鳴り散らされた柿崎中将は笑いながら謝意を示し巴はため息を吐いて冷静になると椅子にドカッと腰を掛けて資料を読みはじめた。

巴『はぁ…どのみち、私等が行かなきゃ行けない訳だし…NOとは言えないしむしろ…言わないし…やりますから…。』

柿崎『すまなんだ…埋め合わせはしよう…。』

柿崎中将の言葉に期待していないようで軽く返事をすると通信を切り、宙に浮かんでいる資料に目を通す…。

巴(仮説5…米軍最新兵器の運用の可能性…仮説3…突然発生の重力歪曲による被害…仮説1、当該宙域への遠隔攻撃…仮説ばかりで確信の有るものは無い…どうかな…。)

目覚の一杯の温かなコーヒーを用意して下ろしっぱなしの髪の一部を指でくるくるといじりながら資料の内容を目に焼き付けて行く…。
仮説については、レポート形式で1〜10までの様々な仮説が並べられ写真付きもあった…。
巴は、並べてある資料全てに目を通してから時計を見ると寝間着から着替え、コーヒーを飲み干すと全自動食洗ボックスにカップを投げ込み自室をあとにした。
ブリッジに到着すると朝も早くからシンナー系のキツいツンとした匂いが立ち込めて来る…さすがにたまらず鼻を押さえて怒る。

巴『誰だい!!マニキュアを塗って居るのは!!ブリッジで化粧やマニキュアはしないって約束したでしょう!』

一室隈無く見渡すと流奈が爪にマニキュアを塗りながらフーフーしていたのが見えるとため息をついた…。

巴『流奈姉…マニキュア禁止!さすがにブリッジは仕事場だから!片してっ!こぼしてもみなって、コンソール壊れるから!つうか臭い!!臭う!!換気すれって!!』

巴はあれこれ言って流奈のマニキュア塗りを止めさせると早速、空気を張り詰めさせるように朝礼を始めた。

巴『今日のブリーフィングを始める…夜番のユウキとランと〜烈月はって〜烈月は?』

ユウキ『烈月ならサボってとっくに自室で寝てるけど…。』

ユウキがしらっとサラッと言ったものだから巴は、またため息をついてまぁ良いかと朝礼を始める。

巴『あいつは放っておき…現時刻08:30時をもって哨戒、遊撃任務を完了して衛星軌道上ポイントCにて調査任務に就く…資料の確認…チェックメール…。』
巴はまとめた資料をみんなに送りつけると全員が一斉に『グッドメール』と言うと再び口を開く。

巴『約〜10日前からポイントCにて駆逐艦三編のパトロールが五個部隊、潰されている訳で現地へのその調査をあたし等が請け負う形なんだけど…。』

と言いかけると何時ものごとく奈都が質問する。

奈都『詳細情報が無い…情報開示を要求…。』

単刀直入に聞くが巴は奈都に謝ると言葉を続けながら操艦準備を始める。

巴『奈都、ごめんね…パト艦の全滅が相次いで詳細情報が得られて無い状態なの〜ミッションレコーダとかログも全く無くてね…せめてあるとしたら偵察ドローンが自艦を映し出した瞬間にドッカーンって映像位なのよ…。』

それを言うと奈都は理解したようで作業を続けていた。

一通りのブリーフィングを終えると夜番のランとユウキは自室へ戻り睡眠をとる。

宇宙に行くために一路タネガシマベースへ巡洋艦アデリアを運ばせた…。

巡洋艦アデリアでの一時間クルーズは非常にのんびりとしていた…。
通信手である奈都がラジオを流し軍規約を80パーセント無視…残りはマルチタスク化されてバックグランドに主回線を動かしていた。
意外な事に、この強襲巡洋艦アデリアは全長150メーターにしてたったの4人、最低でも2人で操艦ができるほどに簡略化されており担当を割り振ってしまうと作業効率は上がる。
通信手でさえ担当する奈都、1人で最大で五回線も開いて作業できるほどだ…。

タネガシマベースへ近づくや否や奈都が副艦長席にてあれこれいじり始め何かを準備する、それに合わせた巴がタネガシマベースに通信を振った。

巴『タネガシマ管制…こちら日本軍女神隊所属CR(巡洋艦)アデリア…着陸指示を乞う。』

しばらくして通信の応答が管制から返ってくると着陸指示を管制官が言い渡す…ベテラン管制官のハスキーな声が回線を通り巴、以下面々の耳に届く。

管制『こちらタネガシマ管制、CRアデリア…着陸を許可…ポートNo3へランディングされたし、繰り返す、ポート3へランディング。』

巴『了解、タネガシマ…ポート3へのランディング許可及びガイドビーコンを確認した…ビーコンに従ってポート2上空より進入するが安全よろし?』

管制『安全よろし、進入されたし…オーバー。』

一連のやりとりにピンと緊張した空気が張る…どんなに小柄な巡洋艦と言えど着陸は巴でさえ手に汗を握る位に難しい…更に極めつけは、国内一の難度がある宇宙港タネガシマベースだ…。
重苦しい沈黙がよぎっている…。

慎重に着陸コースへ進入を始めたほんの一瞬に沈黙がタネガシマ管制官の緊迫した声に破られる。

管制『CRアデリア、進入高度を下げよ!上空よりポート1へ他機の進入あり…高度を600メートル下げよ!繰り返す、高度を600メートル下げよ!』

管制官が慌ただしく言うものだから巴は、操舵管を一気に前へ押し倒し急速下降するとその上空をゴォーっとエンジンの轟音がブリッジを包み、超ド級の何かが通り過ぎていく…。

巴は、顔中が冷や汗まみれになり真っ青だった…。

巴『このエンジン音は…陸奥級航宙戦艦…225メートル級大型艦…あんな物までここに来るなんて…。』

巴が言った陸奥級航宙戦艦とは全長225メートル級の巨艦で日本軍の主力艦だ…かたや150メートル級の強襲巡洋艦アデリアとは桁違いのサイズの主砲や武装をもっており船速もまずまずの高速船でもある。
まともにぶつかればアデリアは無事ではいられない。
巴はそのため血相を変えていたのだ…。

高度を調整しその後は難なくポート3まで近づくと丁寧に着陸した後の出来事がまた早かった…。
メカニック達が一斉に大気圏離脱用のブースターをエンジンへ組み付けて行く…
取り付け作業から約3時間後…。
意外な事にこの大気圏離脱用ブースターの取り付けはデーター信号の異常も無くすんなりと取り付けが終わった…。
本来ならば、プログラムメンテナンスを含めて6時間かかるこの一連の作業はたったの3時間で納めてしまったのは先ほどから副艦長席にてコンソールを叩いている奈都の力でもある…。
プログラムメンテナンスの面でコンソールから全てのプログラム差異を修正しメカニック達の負担を軽減することで時間を短縮したのだ…。

管制『管制塔よりポート3、アデリアへ予定を早めて1400時よりランチ4にて発進せよ』

管制官の声に反応した巴は応答を返すと一息ついてコーヒーを用意した…。

時間が経ち14時に自動的に船体はポートごと打ち上げランチに移動すると、落ちるものに関しては全て取り払うように指示をし簡単にしまった…。

再び管制官から通信が入るとそれは、発艦の指示だった。

巴『ブースターイグニッション…計器問題なし、ランチャーカタパルト正常加熱…圧力正常…カタパルトリリース。』

リリースの声を発した巴の合図で巡洋艦アデリアはその巨体を発射台で滑らせスキージャンプのように発射台から飛び出すとブースターの強烈な推力で船内の全員が椅子に押し付けられる。
無論夜番をしていたユウキやランは就寝中に発射の重力を受けて居るので起きたら無重力の世界にいる…寸法だ…。

発射から三分…。

ブリッジからカメラで船外の様子を見ると地球が丸を描いて居るのがわかって来た…。

巴『地球からの重引力圏脱出後速やかにブースターのパージ…エネルギー配分の再調整よろしく!』

奈都『了解、まもなく一分後に重引力圏脱出…エネルギー配分の開始…人口重力装置の起動準備…パージまでカウント…30秒。』

奈都のカウントが始まるが船体は今だ、引力に引き込まれて居るようで、それに抗うように激しく振動していた…。
カウントが5秒前をつたえるころには船体は振動が止み無事、地球の重引力から完全に抜け出していた…。

奈都は、タイミングを見計らってコンソールを操作するとブースターが外れたようでゴゴンッと音がした…。

巴『重引力圏から離脱を確認…運用動作を航宙仕様へ変更、これよりポイントCへ移動…2日間のクルーズ…しばらくは楽しんでね…。』

巴は、マイクを切ると深くため息をついてどっぷりと椅子に腰掛けた…。
昼御飯とばかりに流奈、カリカリに焼いたトーストを用意するとみんなに振る舞った…。
結局、打ち上げ自身は短日のうちに終わりポイントまでのクルーズは2日、非常に単純な物だった…。
のんびりとしていることが悪いわけじゃないが哨戒任務にはある程度の暇がつきまとう…。

これがまた、面倒な事だ時間を哨戒に当てつつも食事から整備何から何までを含めないといけない…。
そういう具合で哨戒任務ではとある席は毎回、居住区を飛び出してそこが居住施設になり果てる始末だ…。

そんなダラダラな2日が過ぎていよいよポイントチャーリーにさしかかった…。

巴『全員、第二警戒配置へついて、全周囲索敵…熱、電探、磁場の索敵ハイトを上げて全力索敵…幽霊の正体をつかむわよ。』

巴の一声でその場がピンと緊張の空気が張りつめ出す…。
突然、撃沈される謎に関しての調査であるその原因を今掴もうとしていた。
巴は、船体の速度を見るとゆっくりと速度を落とした。

巴『速力微速前進…低音航行…全周囲の索敵ハイトを300(キロメートル)から500へ移行…熱源と磁場に最注意…ポイントCのど真ん中だよ。』

熱源と磁場は最も重要だった…磁場に関してはビーム砲撃する際の弾頭の発射速度を与えたり無線やその他電気機器の動作を司る。
熱源は、エンジンの熱やビーム砲のエネルギーチャージなどで発生する熱を感知するためである…。

その2つを重視しながら警戒をしていると…ユウキが大きな声を出した。

ユウキ『上方!!熱源と電磁場を確認…距離1500キロメートル…何だこりゃ要塞かっ!』

ユウキが要塞と叫ぶと巴はその2つからデジタル映像に解析してその方向へカメラを向けると大きな物体から光が見えると巴は、何も言わずに全速力で近くに浮いていた小隕石へ船体を隠そうとする…。
すると鋭いビームの砲撃が降り注いで来るではないか…。
船体を左右に振ってギリギリのところで回避する…。
やっとこさ、隕石に船体を隠したところで様子をまとめると、巴は一計を考えた。

巴『全員、第二戦闘配置へ…巨大要塞への攻撃準備…奈都…HQへ緊急打電…「我、原因ヲ解明セリ…至急部隊増援求ム…敵ハ、巨大要塞ナリ」と、急いで…近隣の部隊でも長く見て一時間で来るか!?』
巴は、奈都へ指示をするとブリッジの席を後にする…。

巴『第一戦闘配置へ移行、RA本体で急速接近後に一気に叩く、あたしが戦闘指揮を執る…流奈姉、烈月…援護して!』

巴は、自身で前線に出るつもりで、巨大要塞を相手にするにはアデリア単艦ではあまりにも戦力的には無力とわかるため前線にて敵の出方を直接見て増援の時間稼ぎをしようとした…。

ユウキは、巴が心配になるので彼女を追いかけると廊下で巴は、ストレッチをしながら笑っていた正直意外な風景に見えた…圧倒的な戦力との戦闘の前に、笑っていられる巴の図太い神経にユウキは、少し驚いた…。

巴『超久々の大物…相手はどこの部隊かしらねぇ…しばらく本体を使ってないからなぁ…。』

烈月『しかしよぉ…バカでけぇアレ相手に本体か…使う以前に蜂の巣確定じゃねえ?』

巴が余裕の笑みにあわせて烈月がきつい冗談をかませると巴はまた、笑って軽く作戦を立案したのを見て巴がどこまでも肝が座っているのが垣間見える…指揮官の貫禄が有りそこまで考えて居たのかもこの瞬間にユウキは、理解した…。

巴『まぁ今回は、一撃離脱の反復としつつ、じわりじわりと敵を削る…接近はマーメイドブースターで高速接近…距離20で切り離して余力で最接近して攻撃…って寸法だからその間のマーメイドでだったら蜂の巣じゃなくて一撃粉砕ってところよ…。』

流奈『マーメイドブースターをそんな使い方するのは意外ですわね…。』

烈月は笑っていたが流奈が、マーメイドブースターの意外な使い方に驚くのも無理がない…。

元々、マーメイドブースターとは、AGやRA機体を安全な超長距離から超高速で戦闘域へ運ぶための使い捨てブースターであるが巴は、敵弾の弾幕が予想できる要塞に向かって接近するために使うのだ、さらに超高速で機体制御がまともにできる訳がないと誰でも思い常人なら考え付かない…むしろ自殺行為なのだ…それを巴は笑いながら実行しようと言っている…。

流奈や烈月はあまりに突飛な話に開いた口が閉まらない…。

ユウキがたまらず「無理だ」と口を開くと巴は、どこか自信に溢れた目を見せた…。

巴『さて、マーメイドブースターの積載に15分はかかるから…作戦開始はだいぶかかるねぇ…その間に機体装備いろいろと改めておかないと…ユウキも行くかい?』 と言いつつ無理やりユウキを連れてハンガーに向かうとそこには整然と機体が納められていた…。
機体メンテナンスは全て全自動で補修作業から何から何までできるできないとしたらオーバーホールくらいだ…。
実弾の装填、兵器の積載、追加装甲の脱着一連の作業も全自動だ…。
巴は、コンソールを叩くとAGライフルを5.56pから7.62pへ変更…胸肩部の弾倉充填、腕部機銃の弾倉充填を指示する他に胸部装甲に追加装甲板を施すとボディあたりが防弾チョッキを着込んだ姿へ様変わりをし、加えて腰部マウントラッチに対艦ロケット砲を乗せるとRA巴機は頑丈に見えた…。
そして、コンソールに加えたプログラムは、マーメイドブースターである、彼女は冗談ではなく本気でブースターを使うのだ…。
ユウキは、その本気度にどん引きした…。

時間がたちマーメイドブースターを取り付けた機体は、下半身をすっぽりと大きなブースターで囲い見えない状態にしてありそのブースターの形からまるで人魚の様なのでマーメイドブースターと呼ばれている元々の使い方とは違った使い方をするのは巴が初めてでもあった…。

ユウキは、巴機に乗り込むと電源が入り各計器が動き始める…どうやら巴は、機体のシステムとリンクしたようだRAの特徴として機体と一体化する事ができる、言い換えれば彼女が居ないと機体操作はかなり難しくなるのだ…。
ユウキ『…システム正常…ブースターリンク、エネルギーライン問題なし…機器固定異常なし…いつでも行ける…。』

ユウキの心拍数はこの上ないビートを刻んでいた…。
もちろん、ユウキはマーメイドブースターの凄まじさを経験はしているが戦闘域で接近するための使用は初めてなのだから…なおさら嫌に鼓動が大きく聞こえる…。
機体は、ブースターの都合上、カタパルトではなく、ゆっくりと船体の下部に水平に吊された…。

宇宙の闇がユウキの目にゆっくりと入ってくると…ヘルメットとカメラ越しに、暗闇の先にあるコロニーの識別灯や星々できらめいていた…。
綺麗な宇宙(ソラ)だが…その上には巨大な敵が今もなお攻撃をしている…いつ船体を隠した小隕石が割れてアデリアが破壊されても可笑しくはない厳しい状況だ…。

奈都から、要塞の位置を確認してもらうと巴は、ブースターにはまだ点火せず小出力のスラスターで前進すると機体の体勢を変えるアデリアから出てきた烈月達もそれにあわせてマーメイドを点火せずに前進すると隕石越しに要塞を視認、方向を決めた…。

巴『各機…接近するまでに敵弾は苛烈過ぎるほど苛烈だから当たらないようにしっかり回避しなさい!』

烈月『むちゃくちゃ言うな…撃墜必死だっつうの…!!』

烈月が文句を言うが巴は笑ってその文句を蹴ると…ブースターに点火を始めた…。

巴『ブースター点火!接近まで15分!行くよッ!!』

そう言った瞬間だった…。
ユウキの、体には凄まじい重力が加わった…。
シートに押し付けられ自由が効かない…パイロットスーツ越しでもかなりの圧力を感じ操縦桿を力いっぱい握る…。
強烈な圧力に15分も耐えねばならない…ユウキはそれでもまだ耐えられる。
歯を食いしばり体中に力を入れた…。

ふと巴が大きな声を上げる…。

巴『敵弾ッ…回避!!』

回避せよと大きな声をあげると巴は動かせるスラスターを最大限に噴射する…。
コクピットでは突然、見ていたカメラは360゚回転するとどうやら巴は機体制御が難しい中でバレルロールを敢行したのがわかった…。
スレスレで向かって来た敵弾の防空魚雷を無事に避けることにつながった…。

それでもまだ5分も経っていない…どうやら初手でどう動くかを見られた様だった…。

要塞は、その魚雷を皮きりに凄まじい火力を三機に向けて撃ち込んでくる…。

途中で砲弾が炸裂したりミサイルが向かってきたりする中、巴は、その火砲の状況に嬉々としていた…。

烈月『火砲は予想通りってか糞アマ!!』

烈月は必死に回避を繰り返しながら文句を言うとそこ流奈が割って入った!!

流奈『回避に集中しろ馬鹿者がッ!撃ち落とされたいのかッ!!』

烈月に一喝すると自分だけ長射程武器を携行していたのか回避と同時に要塞に撃ち込む!
着順にミサイル発射器を狙って撃ち込んで行くとミサイルの弾幕は薄くはなるがあまり効果が見えない状況が続いた。
10分がたちそれでも苛烈な対空砲火は、止まる事を知らないようで巴達を阻もうと苛烈を極める…。
ユウキは、その中でそれでも必死に意識を保とうとしていた…。
苛烈な対空砲火を巴が避けるとそれが搭乗しているユウキに取って多大な負担になっているつまりは、失神しそうになるのだ…現に、マーメイドブースターを使用した際のパイロットの失神率と言うのは比較的高いのだ…。
そんな苦痛を耐えるユウキはさすがだ…。

しばらくしてほんの一瞬だった…。

巴が、大きな声を揚げると隊は一気にバラバラになり…方々へ散開…それに続いて巴達の向こう側にきらめいた星が三機に合わせてバラけた。

巴『敵AG!!来るぞッ!!全機散開!!』

烈月と流奈が返事を返すと距離を置いて数十メートル離した途端…流奈が射撃をする…。
どうやら、向こう側も気づいたようで回避運動をし弾丸を回避する…。

烈月『手練れか!?おもしれぇ!!』

向こう側と距離が一気に近くなる…烈月は、やけに上機嫌になっていた…。
敵の姿がはっきりわかった瞬間に勝負は、決まった…烈月に積載された斬馬刀が敵機の芯をとらえて分断しそのまま機体は全身がバラバラに砕け散った…。

文字通りの粉砕であり…刃の鈍い烈月の斬馬刀だからこそできる技だ。
このすれ違い様の勝負に勝った烈月はさらに上機嫌になっていた…。

烈月『いやっほぅ!ぶっ飛ばしてやったぜぇ!!とっととあのデカブツもぶっ壊しちまおう!』

巴『落ち着けって…状況が見えないから…。』

巴は喜ぶ烈月を制止させると周りを見渡した撃墜したのは一機だけで他にいた複数の敵機を見失ったのだ…。

巴『居なくなった!?』

流奈『そんな馬鹿な!良く探せ…かなら−−っ。』

流奈が怒り混じりに言った声が途中で途切れると巴は、流奈のいた方向へ視線を送ると流奈は回転しながら明後日の方向へ離れて言った。

流奈『あ…がっ…左部ブースターに被弾…推力のバランスがっ…!』

通信は、必死にバランスを立て直そうとする流奈の声が響くと巴は、焦らずにすぐ対応策を考えて切り出す…。

巴『流奈姉!ブースターをパージして回収可能な距離で待機!出来ない様であれば烈月!!あんたが強制ターンをして流奈姉を回収!!急いで!!』

烈月『お…おぉ…スラスタ推力MAXで急旋回して流奈姉を助けろってか…了解…。』

流奈『くそが置いていけ!!作戦を重視しろッ04ッ!このダメ指揮官ッ!!うすらXXXッ!』

被弾して何十回転もロールをしたせいか…随分と機嫌が悪くなった流奈(戦闘モード)は罵声以上に汚い言葉を吐いて巴を罵倒するとカチンと来たのか巴は、『あぁそうかい!!』と一言言うと前進を続けた…。

烈月と流奈を置いてさらに前進してその要塞に近づくと全貌が見えユウキと巴は、ようやく理解した…。今まで要塞だと思って見ていた一部はとてつもなく巨大な宇宙戦艦の船体だったのだ。

ユウキ『戦艦…にしちゃあデカすぎる…何なんだよこいつは!!』

巴『最新鋭の航宙攻撃戦艦のクラスはゆうに超してる…烈月のオンボロ艦ガルバグラスでさえ300m級よ…。』

ユウキと巴は、あまりのでかさにボヤくと強制通信が入り無理やり通信回線をひられると、軍の制帽を深くかぶった偉そうな女が無表情のまま現れた…。

シェーン『接近中の日本軍に継ぐ、こちらは、アメリカ宇宙軍、第8艦隊である!速やかに武装解除し投降せよ…さもなくば撃墜もやむなし!繰り返す投降せよ、さもなくば撃墜もやむなし!』

巴『「投降せよ」って言ったって、こちらを警告射撃も糞もなく攻撃したり我が軍のパトロール艦隊を壊滅させといてね…言ってる筋が違うじゃ無い!っつうかあんた何様…名乗りなさいよ…。』

シェーン『貴様…ッ!!アメリカ第8艦隊と聞いて知らないのか…私は第8艦隊司令…シェーン・エライアス少将である…我が艦隊に舐めてかかると遺体じゃ済まないぞ…。』

巴のキレ気味に言った一言は、相手に圧力をかけるには十分だった…戦艦に近づくとマーメイドブースターを捨てて惰性で近づくと手近にあった艦砲にライフルの弾丸を浴びせるとその向こうから8本ばかりレーザーが飛んで来ると巴は、それを回避するために船体に体を近づけるとユウキが途中で巴の操縦桿を急に引いた。

ユウキ『巴ッ危ないッ!!』操縦桿を引いてペダルを踏み込んで急速後退とあわせて斜め上に急上昇をすると巴は、ハッとした…。
もう少し前に機体を近づけていたら防空機雷の餌食だった、巴は気づいたユウキに礼を言うと深くため息を吐いた。

巴『遺体じゃ済まない…奴らここに腰を据えてるって感じねぇ…。』

ユウキ『確かにだが…いくら機雷って言っても哨戒のための穴なんてあるんじゃないか…。』

ユウキが言った一言に巴は気づいたようで笑った…。
この巨大戦艦を叩く方法論の一つを思いついた訳だ。

方法はこうだ、機雷探知に神経を集中しながら敵艦をじわりじわりと攻撃しつつ移動し…機雷の穴を縫い敵艦を集中攻撃…する…だそうだ…。
普通の戦略上では機雷探知機をする前に機雷を爆破し細かく縫って攻撃するのだが…そんなに時間はないために急遽、ユウキ案を採用し攻撃を開始した…。

進めば防空機雷の探知音がキンキンと音を立てる度に巴が深呼吸をして必死に集中力と冷静さを取り戻そうとした。
ふとした時だった。

新手のAGが発進するカタパルトを偶然発見すると少し様子を見たAGが数機発進し機雷源を縫っていく…。

巴は笑みを浮かべるとそれを録画していたのだ…。
確かに巴の記憶力は、並みの人間より記憶する事ができるのは機械のなせる技とは言えなぜ録画をしたのかがいまだにユウキは疑問に思っていた…。

先ほど出撃した敵機が6機編隊で現れると攻撃を仕掛けにかかってくる、巴は、その攻撃を巧みかわしながら、機体全体を使い相手へ激しい牽制を掛けながらに手持ちのライフルで着実なダメージを与えようと、彼女の持てるだけの技術を駆使しては居るが決定的なダメージへはつながらなく膠着していった…。
弾薬を互いに消耗する事を恐れいつしか、接近戦オンリーの泥沼戦になった。

長い削り合いはついにその状況を打破する事になる。
巴は、この部隊に周囲を取られ背中には大きなデブリを背負ってしまい逃げる事もままならなくなったのだ…。

そこで巴は、一計を案じるとユウキを無理やりコクピットシートから放り出し掴むと敵機に突き出して言葉を発した。

巴『誇りある米軍兵士にお願いする…あたしはどうしても良いから…若い彼の命だけはどうか守って欲しい…!!』
巴がしたのは命乞いではなく自己犠牲のもとでのユウキの延命だった!もちろん巴は、それでどうにかなるとは思っていない、ある種の掛けのような物だとわかっていた…。

米軍機のライフルは、下がらずむしろ急所に向けられた瞬間だった。

『タァァァリホォォオッッッッ!!』

いきなり、叫び声と共に乗り込んで来て米軍のAGを場外にぶっ飛ばし現れたのは先ほど流奈の救助に向かった烈月だったそれに合わせてもう一機が突然…切断されるとその向こうに流奈の姿が現れると巴は慌ててユウキをコクピットに押し込んで背負ったデブリから離れるすると流奈が開口一番に怒鳴った。

流奈『大切なユウキをネタに命乞いかッ!貴様それでも隊長か!?』

怒鳴る流奈を後目に残りのAGは撤退しようとしたところ遠方からの狙撃によって貫かれて爆散する、弾が飛んで来た方向を確認するとそこには、アデリア級巡洋艦二番艦イーティルが到着しており甲板の上にレインが立っていたのを望遠で確認するとレインが無線をかけてきた。

レイン『援護射撃するから敵は任せて〜目標の破壊をよろしく〜。』

鋭い一撃に反してほんわかとした物言いは相変わらずのレインだ…射撃に迷いが無い。
これを機として見た、巴は攻撃に注力する、巡洋艦二隻での砲撃にレインの援護射撃で戦況は変わるかと思ったが強固な艦体に加えてアメリカ軍はお家芸の物量戦へシフトしたようで凄まじいほどの機数のAGが発進してきた…。

艦砲射撃で撃ち漏らした敵をレインが撃ち落としても間に合わない状態だ…その事で烈月はひどくぼやいた。

烈月『間に合わない…囲まれっちまう!』

言ったそばから烈月は、すぐに敵機に囲まれその流れに揉まれて姿が見えなくなり悲鳴が無線を通じて流れ巴は、たまらず烈月との相互通信を切った。
この撃ち漏らしたAG[M6:クルセイダー]の編隊はまるで一つの生き物のように空間を飛び回り…烈月の四肢を食いちぎり胴と左肩と頭4分の1を残して残骸と化した烈月を切り離すと、すぐ近くに居た流奈に襲いかかった…。
流奈は、身構えデスサイズの刃がキラリと光り、緊張感と今まで感じた事の無い恐怖感が高まると共に荒くなっていく呼吸を繰り返していると大きな声で巴が声をかける

巴『流奈姉!落ち着いて!たかだかAGなのよ!』

その後、巴が流奈の前へサッと踊り出るとすぐさま、背中で流奈を押して、一塊の怪物と化したAG部隊にひたすら後退しながらライフルの弾丸をありったけばらまいた…。

もちろん退く方向は、味方艦、イーティルのいる方向だ…。

巴は、必死に流奈を押しながらばらまく…自らの恐怖心を押し殺すように叫び声を揚げ、流奈はハッと反応して我に返ると巴の肩をつかんで身を乗り出し巴に合わせてライフルを撃ちだした。
流奈『えぇいッ埒が空かない…アデリアッ!データを送る!指定ポイントにアサルターバック88を5分以内にリリース急げ!』

流奈の怒号混じりに通信をすると奈都が至って冷静に返事をしたかと思うとデータを確認したようで…三分後にアサルターバックと呼ばれるコンテナが十数メートル後ろに届いた…。
流奈は、巴の肩を軽く叩き離れるとそのコンテナに手をかけたのだった…

女神はほほ笑む 予告編

20XX年…爽やかな風に合わせてさえずる鳥の鳴き声…。
混ざって、走る車の音や人の喧騒が心地よく耳に入る…そこは、ネオトーキョーシティ、昔はカスミガセキと呼ばれたエリアで天皇陛下の住居、皇居も綺麗に残っており一部は、歴史館として一般解放されている…。

カスミガセキには有名所として
築百数年ばかりの国会議事堂がある…。
そして、警視庁ビル…。
そんな名だたる建物に混じって小さな建物が別の意味で有名だった…。

警視庁ビルのすぐとなりに位置する何でも屋senco…。
政府組織からも依頼の来る何でも屋なのだ…。

秘密は、表沙汰では何でも屋としての生業だが裏沙汰として、日本軍の特務部隊として機能するれっきとした軍隊だ…。

しかしながら、軍隊所属とは裏腹に軍務もなく書類整理の日々だが今日は静かだった。
今日の静さは嫌な静さだ…。

つらつらと静かに精算済みの書類にTOM・Sのサインを書いて済みの棚に投げ込む…巴は、ふと息をついてコーヒーを飲もうとカップに手をかけた直後だった…。

入り口に気配も無く日本刀を携えた高校生くらいの少女が立っていた。

巴『宗善院っ!?』

宗善院『榊原巴…殺してやる!』

宗善院と呼ばれた少女は、いきなり殺してやると大きな声をあげるとカウンター越しに座っている巴をその日本刀で切りかかった!



予告編 END
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