普通にとらえられるものとは違う、もうひとつの物質世界がある。そこにはあの人の心も転がっている。そしてあなたの心も。あるいは、浮いているかもしれないし、誰かに蹴られているかもしれない。そこは言葉が花びらのように散っていく世界で、時間がフィルムのように巻きとられていく世界だ。そこにはたくさんの「本当」があって、それを知ってからようやくこの世界が思っていた以上に「嘘」だらけだったことが分かる。そこには終末も始まりもない。だから、その世界を物語としてあなたに語ることはできない。