話題:毒抜き
■ポウ・・・・・
その頃城では麗姫が里の行く末について神通力で先読みをしていた。
目を瞑って宙に浮く様は確かに神の力である。
しかし・・・・
”何か・・・不吉な気配が・・・・・里を覆って・・・・・・”
ソコまで感じ取った瞬間目の前に真っ白が手が現れて首をがしりとつかまれた。
「!????」
声にならない声が麗姫から発せられる。
ぎゅううと強く首を掴むその手の主は・・・・
(鬼似鷹・・!?????)
瞳を開くと目の前に緑のマスクで顔を覆った緑毛のスーツのソレが視界を塞ぐ。
”この瞳は・・・・・”
(”何者かに操られている・・・!?????”)
麗姫がそう思った瞬間であった。
「麗姫様・・・!!!!!」
不穏な気配を察知したのか白刃が戸を引き現れた。
(!?白刃・・・!!!)
振り向いた鬼似鷹の手元が緩む。
しかし・・・・・
”バサァ!!”
「なっ!!!!」
次の瞬間鬼似鷹は大きな鳥の姿に姿を変えるとそのまま麗姫を抱えて空に飛び立った。
「クソ・・・・!!!!」
”待て・・!!”
白刃が羽織を広げて追いかけようとした瞬間。何かが彼の足をつかんだ。
「犬鬼・・・!?????」
それは大犬の姿をした犬鬼と邪悪な気配を発する猿似魔であった。
***
「戒ー・・・・!!!!」
その頃。釣りをしていた戒と釣り上げられた蘭姫のもとに里利が現れる。
『大変なんだ・・・!里のみんなが・・・・!!!』
「・・・・坊ちゃん・・・・」
その声に戒が振り向いた瞬間。里利は戒の背後に回りこむと自分の能力を発動させる
『鬼喰い!発動!!!』
能力、鬼喰いは”他のエネルギーを吸い取って自分のエネルギーにする能力”である。
「あ・・・!戒・・・!!!!」
蘭姫がその名を呼ぶと戒派何事もなかったかのように腰をかがめてソレをかわすと里利の足をかけて川に落とした。
結構深い川である。
「あ・・・・」彼が我にかえった瞬間にはもう手遅れだった。
「川に落ちたな。」
何事も無かったかのようにそれを傍観する戒と蘭姫。
「どーなってんだ、こりゃ?」
ソコに白刃が現れた。
「戒ーーーーー!!!!!」
”大変なんだ!城の皆や三獣鬼がおかしいんだ!!!”
そして白刃は続けた。
「麗姫様が・・・・!!!!!!」
■NEXT■
話題:オリキャラ漫画
■ササメ編の挿絵用に使っている前の原稿のコピーより・・・・^^;
作画が酷い事には突っ込みを入れないで下さい^^;
この辺なんか好きです^^;
話題:毒抜き
■「え!?鬼似鷹さんもう行っちゃったの!??」
夜。城でつんだ花を一厘手に持った蘭姫が里利に話かける。
「あぁ・・・今日は随分急いで行ったみたいだね。」
人魚を匿っていたのは暫く前からの事なのか何事も無かったかのように平然と語る兄。里利。
「二人っきりになりてーんじゃねぇの・・・・?だって・・・あの”二人”・・・」
”結構いい感じじゃん・・・・!!”
***
犬鬼たちがそう言っていた頃水面ではパシャパシャと音がなりそれにあわせるかのようにハァハァと熱い吐息の声が漏れ出していた。
「ササメ・・・・!!」
ササメを抱きとめるように胸に仕舞いこみながら顔を赤らめてその名を呼ぶ。
それにあわせるようにササメが口を開いて彼の肌に触れる。
ハァハァと漏れる息の中鬼似鷹はそのまま意識を失った・・・・・。
「ふーん・・・・・」
城ではそんなこととはつゆ知らず少々ふてくされた顔の蘭姫が
「まぁいいや。後で花束持っていこう・・・・・」とつまらなそうに明日を待つことにしていた。
***
翌日。
「わ・・・!!!!人魚になった・・・!!!」
水中ではポンという音とともに蘭姫の足が魚の尾のソレへと変わり嬉しそうに驚いていた。
”花束の冠のお礼”
そう言って頭に花輪を乗せて微笑むササメ。”ね。一緒に水の中を探検してみない?”
「え!???」
一糸纏わぬ姿に尾ひれをつけたソレはちょっと恥ずかしそうに驚いたが「う・・うん。」と返しササメについていくことにした。
”ポゥ・・・・・・・”
「わぁ・・・!!」
キラキラと輝く水中は日の光や独自に光る発光体などの光でまるで別世界のようであった。
(キラキラしてる・・・きれー・・・・)
蘭姫がソレに見惚れるように眺めていると”ね、あっちの奥にも綺麗な岩場があるの!
一緒に行って見ない?”とコチラも生き生きとしたようにキラキラとしたササメが奥を指差す。
「え・・・でも息が・・・・?」
初めての水中体験に不安が隠せない蘭姫。
”今まで大丈夫だったんだから大丈夫よ?”と微笑むササメ。
「でも・・・・」
脳裏には
『お昼までには帰ってくるんですよ?』と指を立てて微笑む姉。麗姫の顔。
(姉さん・・・・・!!!!!)
蘭姫がそう迷っていると笹目は一瞬気分を害したような顔をしたが直後”蘭姫は私とお昼とどっちが大事・・・!???”と手を握って叫んできた
「え!??」
そ・・・ソレは・・・・・・・・
蘭姫がそう言って笹目から離れた瞬間。
クンっ!!
何かが彼女の髪飾りに引っかかった。
そして
ザバー・・・・・・!!!!!!!!!と水面から顔を出す蘭姫。
「お・・・・?」
”何やってんだ?お前。”
なんと人魚姿の蘭姫を戒が釣り上げたのだ!!!
何してんだ。お前」呆れ顔でコチラを見つめる戒に
「何って戒!!!お前・・・!!!」
蘭姫が反抗する。・・・・・・・・・とふと気づくと自分の服が元に戻っていた。
”アレ・・・・?”
服が元に戻ってる・・・・・・?
■NEXT■
話題:毒抜き
■『涙をこらえたその表情に。私は一瞬固まったー・・・・・
美しい。心を持ったそれに囚われるように、フラリと体の力が抜けた。』
ここは鬼の里。華桜。
異空間に浮かぶ鬼達の楽園である。
【破邪鬼伝*乱鬼/短編集〜鬼の翼と人魚の哀歌〜】
『私の名前は華桜蘭姫(かざくららんき)!破邪鬼の里月代城で姉を守り鬼と戦う無等角(むとうかく)の鬼である!!!』
***
今日も麗姫からの任を聞いた蘭姫は戒と離れ白刃を探してやってくる。
「お・・・!蘭姫じゃないか・・・!!」
城の書記官である白刃は今日も沢山の資料を持って城を歩いていた。
「白刃・・・!!」
彼の名は”白刃”他の里からやってきた妖交じりの混血種。
羽織を使って空を飛べる・・・・・・
”主人公(わたし)の好きな人ー・・・・・”
パァァと蘭姫の顔に輝きの差すのが目に見える。大好きな彼に会って喜ぶ蘭姫は今日も彼を団子屋に誘おうとした。
「あ・・・あのね・・・!!」
もしよかったら・・・今日・・・・!!!!!
蘭姫がそう言おうとした瞬間「らーんき!」
とお約束のようにやってきたのは華桜里利(かざくらさとり)。彼の兄でシスコンのその男である。
「ね。蘭姫。見せたいものがあるんだ。一緒においで?」
そう言って蘭姫の袖を引く里利。
「え・・・でも・・」
脳裏には店を開いて待ち構える喫茶きびだんごのおばさんの姿。
私は白刃と団子屋に・・・・・・
どこかで見たパターンである。いつものようなこのやり取りの後。やはり彼女は兄についていく事になる。
「あ。白刃さんも来ますか?もし良かったら?」
「え、いいのかい?」
その言葉に蘭姫が叫んだ
「やっぱり私もいく・・・!!!!!」
(白刃がいくなら・・・・!!!!)
何度も見た光景である。毎回このパターンに弱い蘭姫は彼らに連れられやはり裏山へと足を運ぶ事になる。
そして・・・・・・・・・
「じゃん!!!!ごらん遊ばせ。人魚にございます・・・・!!!」
と湖の真ん中で岩に腰掛ける人魚と対面する事になるのであった。
***
「ええええええええええ!???????」
鬼似鷹の紹介に蘭姫の声がこだました。
周りにはいつものように三獣鬼の犬鬼と猿似魔。そして言いだしっぺの里利と白刃がいる。
そしてその真ん中に取り囲まれるように”人魚”はそこに存在した。
【人魚】:ソレは人間界に住むという海の秘宝。
透き通る肌に尖った角がこの世界の特徴である。
そう。この世界の特徴”角”
「・・・・・釣りをしてたらたまたま見つけたんですよ」
にこりと笑顔で語る鬼似鷹に「釣りで見つかるものなんだ・・・・」
と突っ込みを入れる蘭姫。
だが、
「とにかく蘭姫の事を話したら”会ってみたい”って言うから連れて来たんだ。」
里利のその言葉にきょとんとした瞳の人魚がこちらを覗いている。
「へぇ・・・・・」
その愛らしさに惹かれた蘭姫はすっと手前に手を伸ばす。
「・・・・可愛い・・・・」
"透き通るような瞳。綺麗な髪の色・・・・・・・”
「本当に・・・宝石みたい・・・・・・」
蘭姫の手が隣の白刃を越えて人魚に近づく。
と人魚は何かにはっとしたように身体を震わせる。
”怖い・・・・”
声の出ないソレはまるで神通力のように直接頭に声を放つ。
響きのいい透き通った声が頭に聞こえてきたかと思うと人魚は傍に居た鬼似鷹の袖をつかんだ。
”鬼似鷹さん・・!!!”
「おー・・・・・」とほほえましい様子でそれを見る里利の声が上がる。と、ここで
「どうやらこの人数にはまだなれてないみたいですね」
人魚を抱きとめて鬼似鷹がそう語る。
ソコで彼らが人魚から離れようとするとおずおずとしたように人魚は少しだけ顔を出してこう言った
”らん・・・・き・・・・・”
”今度は一人出来て・・・・・?”
「え!?」
「・・・・・いいの!??」
驚くように。そして嬉しそうにそういう蘭姫に人魚はこくりと頷いた。
「嬉しい・・・!!!!!!!」
外の世界を知らない蘭姫に友達が出来た瞬間であった。
***
白刃はソレを不穏な目で見つめていたが何もいう事はしなかった。
「あ。そうだ!人魚ちゃんの名前!!!聞いてなかった!!」
帰り際。何かを思い出したように言う蘭姫に鬼似鷹は「ササメというそうですよ。」
と。そう微笑んだ。
「食事の時間は”私達”の役割なので今夜一緒に行きますか?」
そう笑顔を向ける鬼似鷹に蘭姫は「うん!!」と頷いた。
「そうだ・・・・!”明日は花束を持って会いに行こう・・・・!!!」
嬉しそうに先にと城に戻る蘭姫。
しかしその晩、彼女がササメに会う事はなかった。
■NEXT■