話題:毒抜き
■「妖魔一せん!桜吹雪・・・・!!!」

”ああああああああああああ!!!!!!!!”

桜吹雪のように細かいきらめきとなって散るその妖魔。
大きな声が湖にこだまする中鬼似鷹はわれを取り戻した。

はっ!??

「私は・・・・・」

ササメ・・っ・・・・!???そうして湖の真ん中へと視線を向ける。

と、オレンジ色の髪をなびかせ空を見上げる蘭姫が丁度振り向こうとするその瞬間であった。

そして。
「ごめんなさい。だけど、こうするしかなかったんだ・・・・・・」
そう言ってこちらを向いて蘭姫はかすかに苦しそうに微笑んだ。


『涙をこらたその表情に私は一瞬固まった。』

美しい。心を持ったそれに囚われるように、ふらりと体の力が抜けた。



ドサ・・・っ。
そして気絶する鬼似鷹。

ソレが戦いの終わる合図となった。


---
”鬼似鷹さん・・・・・”

夢の中でササメが自分に手を伸ばす・・・・・・

しかしソレを抱きしめたと思った瞬間。それは綺麗なきらめきを持って桜吹雪のように散る。



「・・・・・・」


夢の中で見開いた瞳は暫く元には戻らなかった



***
”その日、私はササメの夢を観た。」

そして朝起きた私は水辺に小さな墓を作った。

「・・・・・」

キラキラしたこの世界、もっと彼女に見せたかった・・・・・・・。


もしかするとそれは”初恋”のソレだったのかもしれない。物心ついたころから城の護衛として育てられ今は主君である鬼長。月代の元から第二子の里利の護衛へと切り替わった。

そんな折に初めて感じたこの感情。彼はどうすればいいのか分からなかった。


しかし・・・・


「鬼似鷹・・・・」

里利と他の三獣鬼たちが現れた。
そしてなにかを慈しむように微笑むその瞳に何かを悟る。

”そっと微笑むその表情を見て”あの方”と兄妹なんだなと改めてそう思った”


本当に良く似ている。

悲しみを帯びたソレを隠すように。そして愛しさを込めて微笑むその姿。


”ごめんなさい。だけど、こうするしかなかったんだ・・・・・・”

その言葉が脳裏によぎる。

そして改めて私は忠誠を誓った。今の主君である若・・・・もとい里利様に。
そして・・・・

遠い未来。”あの方”が鬼長になるその日まで・・・・・・・




***
「結局・・・・」

”人魚に見えたソレは人魚じゃなかったんだね・・・・”

「・・・・」

ココは喫茶きびだんご。お茶の湯のみを手に空を見上げる白刃の横で蘭姫は団子を咥えていた。

”せっかく友達になれたと思ったのに・・・・・”


でも。里の皆も助かったんだし。コレでよかったのかな・・・・・?


蘭姫がそう思いかけた瞬間


「おーい・・・!!」
目の前に戒が走ってきた。

「蘭姫!友達釣ってやったぞ!!!」


「え!??」

---

どん!!!!
という効果音とともに目の前に出されたのは良く分からない物体であった。


「河童だ・・・・!!!!」
と。鼻息を高らかに自慢げにそう語る戒。その隣で白刃が苦い笑顔を浮かべていた。


そして、

「いるかああああああああ!!!!!!!!!」



と戒はその後蘭姫に殴られるのであった。



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ソレは小さな鬼の話。
”鬼世界”の物語。




【破邪鬼伝*乱鬼】

※鬼似鷹の気持ちがササメ→蘭姫に行く話。
でも雪笹・・・もといこの二人をカップル化させるのが好きなのでこの話の後もなんとなく絡ませて描いてましたが・・・・(確か)ココまで読んでくださりありがとうございました。ありがとうございます^^;