エゴイスト小話





「お前って犬っぽいよな。」
「……なんですか、いきなり?」
「いや、なんとなく……秋彦はウサギっぽい感じ?」
「宇佐見さんなだけにウサギ……ですか?」
「ちげぇーよっ」
「じゃあヒロさんはネコですね」
「猫?」
「人にあまり懐かない感じとか。……あとは位置的にも……」
「位置?――ってオイ!押し倒すなバカヤロウっ!!重いっつーんだよ!」
「ネコさんです。」
「はぁっ!?」
「ずっと俺だけのネコさんでいて下さいね、ヒロさん」




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「お前の料理のレパートリーの多さは尊敬に値するよな」
「施設で教えてもらってましたし、一人暮らししてれば……」
「へぇ」
「あ、別に一人暮らししてても料理が上手くなる訳じゃないんで大丈夫ですよ!」
「オイなんの慰めだよ、それ」
「え……」
「俺だって作り方さえわかれば何でも作れんだよっ!!」
「じゃあ今晩のご飯は一緒に作りましょう!何作りますか?」
「適当に……」
「なんだかワクワクしますね!」
「ンなに喜ぶ事かよ…」



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「――っ!!」
「大丈夫ですか、ヒロさんっ!?」
「手切っただけだろ、騒ぐなよ」
「でもバイキンが入ったら化膿しちゃいますよ!手、出して下さい!」
「ちょっ!!? のわ――っ!!」
「……。」
「…………舐めるヤツがあるか、バカヤロウ……」
「応急処置です」
「別に自分でできる…」
「俺がしたいんです。……ダメですか?」
「…………勝手にしろよ。」



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「指痛くないですか?」
「お前……人差し指の先ちょっと切っただけだろ」
「でも利き腕です。お箸持ちにくいですよね?」
「平気だって」
「なんなら俺が食べさせ――」
「平気だっつってんだろっ!!」
「わかりました。……じゃあ口移しにします。」
「え、ちょ、野分――っんぐぐっっっ!!!!」
「おいしいですね」
「〜っっ!!!!味なんかわかるか、バカヤロウっ!!!!!!!!!!」



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ヒロさん家の食卓風景。