初婚物語(2)

私が何故、身代わりと言われたか?
彼には婚約者がいたらしいですよ。
だけど、私と出逢う半年前…喧嘩して別れてしまったらしいです。
でも、新居にする住居を既に借りていて…それをキャンセルするわけにはいかなかった。
とりあえず代わりの人(彼の祖母)を入居させたものの、その人の住居も既に押さえてあった。
だから私と結婚させた…と。
要はキャンセル料を払うのがイヤだったんですねぇ…

でも、それだけなら、私も彼の否定の言葉を受け入れていたかもしれません。
けど…彼は、事あるごとに、私と前の彼女を比べました。
結婚前…私と付き合ってる間に、前の彼女に会った…彼女の家に行ったことも彼本人から聞いています。
そして極めつけ…彼の母親が再婚し本家に引っ越さなくなった時…私、見ちゃったんですよ…
倉庫に眠る数々の彼女との思い出の品…彼の部屋にある彼女のアドレス…写真…彼女の名が入ったグッズ…交換日記…
そして、それを私の前で平気で使い続ける彼…
一応、捨ててくれと頼んだんですけどねぇ…ダメでした。
だから…ああ、この人は前の彼女が好きなんだなぁ…と思いました。
私は彼女の身代わり…
それ以来、私が彼に笑顔を向けることは、なかったですよ。
いつも軽蔑した目で見ていたと思います。

そうだなぁ…欲しい物を買ってくれた時くらい?
私が笑顔になるのは。
何故か彼は物だけは買い与えてくれたんですよ。
要らない…と言ってもね。

後にそれは、彼が私の笑顔を見たかったからだと知りました。
彼が泣き叫ぶような声で言ったんですよ。
「お前は他の男にばかり笑顔を見せて、俺には見せてくれない!」って。
当時は、この人バカか?と思いましたけどね。
だって、私から笑顔を奪ったのは、他ならぬ彼だったわけですから…
(厳密に言えば、彼を取り巻く人間のせいでもあります。特に姑…)

初婚物語(1)

もしも、元旦那の睦言が言葉通りの意味だったら…私は酷い奴なのかもしれない…
もしも、元旦那の睦言が本当の気持ちだったとしたなら…彼を追い詰めたのは私かもしれない…

私は元旦那の睦言をこれっぽっちも信じていませんでした。
付き合っている時も結婚している時も、私が言葉通りに受け入れた彼の言葉は侮蔑を含んだものだけでした…


彼は、こき下ろしと睦言の差が激しい人でした。
ある時は、私を小馬鹿にした言葉を投げかけ、ある時は愛を熱心に囁く…
私は一貫した言動をとらない人間を信じませんし、彼は7つも上の人間でしたから、子供だと思ってバカにしているんだろうと思っていました。
だから、彼が結婚を仄めかした時も本気とは受け取ってませんでした。

だけど…逃げられなくなった。私は結婚するしかなくなった…
でも、その時…少しは考え直したんですよ。
もしかしたら…この人は、本当に私を好きなのかも…本当に私を望んでくれたのかもしれないってね。
だけど、それは淡い期待でしかありませんでした。

私と元旦那との亀裂は、結婚して直ぐ…親戚の集まりの席のことでした。
その席で彼の母親は言いました。
私は身代わりなのだと…
勿論、親戚一同ざわめきましたよ。
かなり同情も受けました。
その時に知ったのです。
彼には結婚しなきゃいけない理由があったこと…
そして私は利用されただけだと言うこと…

でも彼は最期まで、それを否定し続けました。
だけど私には信じられなかった。
常日頃から私を小馬鹿にしている彼をどう信じれというのでしょう。
私は敵の真っ直中にいた…一人っきりで…
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