性と金 後日談

その後、どうなったのか?
果たして父は100万円を手に入れたのか?
結果的に言えば…手に入れなかったそうですよ…
何故か?
それどころじゃなくなった…父が言う被害者である私がいなくなったから…らしいですよ。

何故、らしいのか?
自分のことだろ?と思うでしょ?

私には記憶がないんですよ…その後の記憶がね。

当時は、ただの家出として片付けられました。
が、
私は不安でした。
何故、記憶がないのか…
覚えのない傷跡が手首についてた…だから余計に不安でした。

その後も気付いたら知らないとこにいることがありました。
私は自分が怖かった…ずっとずっと怖かった。
私の知らないうちに私は死んでしまうのではないかと…ずっと怖かった…

精神科の医者から、それらは解離障害だろうと言われました。
私は思い出せない記憶が不安で不安で…それを医者に告げました。
医者は「思い出せない記憶は思い出さない方がいいから思い出せないのだ。だから無理に思い出そうとしてはいけない」と言いました。

あれ以降…私の腕に傷跡が増えたことはありません。
あれから云年…その時の傷跡は徐々に薄くなり…もうない。
だけど…心の傷跡はまだ消えない。

性と金

私の性嫌悪や性別嫌悪…ほか様々な嫌悪感の原因を追究していくと、実は、ある一つの事件にぶつかります。
その事件は、私が親に完全なる不信を抱くキッカケでもありました。
(それまでは、『あれ?』と思いながらも深く追究はしなかった)

勿論、個々の嫌悪感が増長したのは別々の要因があります。
また種は、それ以前から蒔かれていたのだとも思います。
だけど、その事件で一気に芽吹いてしまった…
ただの恐怖ではなく嫌悪。いや…もしかしたら…憎悪。
私が自分の肉体を大事に感じなくなった…むしろ、ぶっ壊れてしまえばいいと…無くなってしまえばいいと…
そう思うようになってしまった最大要因…



いつ…とは言いません。
ただ…その頃の私は、既に、女としての幸せなどに期待はしていなかった。
そして日ごと強くなる…遅かれ早かれ…私は更に穢れる…という漠然な不安を抱えていました。

だからこそ私は願ったのです。
せめて初体験だけは、自分が望む人に捧げたいと…

その願いは幸運にも叶えられました。
当時、私のまわりの女性の誰もが憧れていた…そんな彼…
私も彼に憧れていて…
とても幸せでしたよ。
私は果報者だと思いました。
だけど…それを親が知ってしまったんですよ…

うちの親…何したと思います?
勿論、ボコボコにされましたよ。
でも、それはまあいい。別にいい。私だからね。
だけど…

うちの親ね…相手に100万円要求したんですよ…
親は私の為だと言いました。
でも私は、そう感じなかった。
ああ…私は商品なんだぁ…人間じゃなかったんだ…
それが最初の感想。
次に襲われたのは、彼に対する自責の念。
そして最後に、それに関連する事柄全てへの嫌悪。

誰が何を言おうと…何をしようと…そんなに堪えないんですよ…
所詮は他人だからね。
だけど…
親が…性と金を結び付けてしまったら…終わり。

一度目の崩壊より破壊力ありましたよ。
私は何度か世界観を崩壊させてますけど…親の所業に勝るものなしですね。
というかね…私の経験的に言えば…所業の内容より、如何に血が近いかで破壊力が決まりますよ。
つまり、どんな些細でも、一番血の近い親の所業が一番辛い。
一歩間違えば、全てが終わる…
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