話題:夫婦の会話

重荷。
そう言われたのは、もう十年も前か。
あの時の主人は疲弊していた。
リストラされて、次の仕事も見つからなくて、行政は手を貸してはくれず、生きるか死ぬかだったね。
だからって、働けなくなった私に重荷はなかったんじゃないかなぁ?
あの瞬間、貴方が言い続けた愛は消えたんだよ。
やっぱり愛なんて偽物。気の迷い。都合のいい言葉。
仕事に就いてからまた愛を唱えだしたけど、もう騙されない。
貴方は自分の身に危険が迫ったら、簡単に私の手を離してしまう人なんだよ。
病気を酷くしたのは誰か?
今まで生きてこれたのは誰のおかげか忘れてね。
見事に自分の業績しか見ていない。私に助けてもらったことは忘れてる。さも自分がずっと尽くしてきたように振る舞う。
愛なんて信じない。
そういう私に、まだ信じられないの?って詰め寄るけど、十年前に信じられなくしたのは貴方自身。
あの頃の自分の考えなんてわかんないなんて誤魔化し。
自分の考えを覚えてないなんてあるわけがない。だって自分のことよ?
言い分けは私には通用しない。
都合悪くなると手放せる愛なんて、私には要らない。
私が欲しいのは一生変わらず捧げられる愛だ。
でも…この世には、そんな愛なんて存在しないことも知っている。
誰だって我が身が一番可愛い。
主人は私を愛してる尽くしてる自分に酔ってるだけだ。
私のためじゃない。
私を愛してくれる人なんて、最初から私しかいないんだよ。少しでも期待した私がバカだっただけの話。
愛が存在するなんて嘘、主人に信じ込まされただけの話。
でも、もう間違えない。
愛はない。
愛なんて信じない。
そこにあるのは損得勘定だけだよ。