話題:眠れない夜
ああ、安定しない。
潰すより摘む方がきっと、私の理想像。優しい心を持つ人が傷つき易く、脆い。だが同時に、強くもあれる。
私には、それはない。偽りにまみれた私にもう、そんな輝かしいものはない。
知っている。知っていた。わかっていた。わかっている、つもりでいた。実に、悔しくもある。
もしも私が優しい人間だったのならば、きっとかける言の葉があったろう。それすらも思い付かない程には、落ちぶれている。
やさしいだけでは、生きられないのだ。私には、出来なかった。羨ましいと、心底思う。
綺麗で、綺麗な、人の心を摘みたい。見てみたい。本当に、心が綺麗なものならば、私はそれをこの目で見たい。見えないのだ。信じられないのだ。何も、もう。もう、何も。
僅かな亀裂が見えた。信頼、情、絆? なにそれ。必要なもの? 信じたかった。信じたかった。信じる力を、私は持てなかった。強い心なんて持てなかった。
残りカスの私には、ダメだったんだ。
朝が来て、目が覚めたら私はまた、ただの法螺吹きに戻る。今だけ、お願いだから今だけは、あの日の輝きを思い出したかった。
夜は、不安や迷いを、涙を隠してくれるけど、寂しいね。少しだけ、そう思った。