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大掃除


「さあ、始めましょうか……」

「何を〜?」

「年末にやる事なんて、決まってるじゃない」

「……大掃除だ」

「あぁ、嫌だな……」

「へえ〜。どの世界でも同じなんだね〜!」

「ミユが居た世界でも大掃除するの?」

「うん! 面倒臭いんだよね〜……」

「大丈夫よ。あたしたちは見てるだけだから」

「えっ? 掃除しないの〜?」

「二人がやってくれるわ」

「はぁ……」

「オマエらも少しは手伝えよ……」

「あら。あたしたちじゃ役に立たないじゃない」

「そーだけどよー……」

「えっ?! 私、役立たずなんだ……」

「……違うよ! ただ、掃除は、ね」

「見てれば分かるぞ……」

「う〜……」

「じゃ、やるわよ。アレク、そこの埃落として」

「ん」

──ブォン!

「クラウ、そこに水掛けて」

「うん」

──バシャン!

「凄〜い! 魔法で掃除してる〜!」

「ね? 楽でしょ?」

「うん!」

「オマエらなぁ……」

「俺たちは疲れるんだよ?」

「頑張って〜!」

「おい……」

「……ミユが可愛いから頑張る」

「それで良いのかよ……」

「何でも良いから、早く終わらせてね」

「ふぅー……」

「後で美味しいご飯、作るから」

「……しょうがねーなー」

「それで良いんだ……」



「二人とも単純で助かるわ」

「……」

家出?


「アイツ、一日戻ってこなかったな……」

「まだ、たった一日じゃない」

「大丈夫かなぁ……」

「心配しなくても、そのうち戻ってくるわ」

「でも──」

「そんなに心配か?」

「ちっ、違うよ〜っ……!」

「ふふっ。ミユ、可愛いわね」

「ひゃぁっ……」

「それにしても……アイツ、しぶといな……」

「そうね。こんなに頑張るなんて思わなかったわ……」

「……」

「どうしたんだ?」

「後ろに……誰か居ない?」

「えっ?」

──バタン!

「きゃっ!」

「アイツだ……」

「そうね……」

「?」

「素直に出てくれば良いのに」

──キィ

「単純バカだからな」

「単純バカじゃないっ!」

「あ〜っ!」

「!」

「やっぱりな……」

「お帰り〜っ!」

「……」

「今まで何処に居たんだ?」

「……カイルの所」

「それってよー……」

「家出っていうより……」

「ホントの家に帰ってただけよね」

「俺、家出するなんて言ってないし……」

「ただ、ホントにいじけてただけだったのね」

「格好悪いな……」

「うん……。心配したのに……」

「……」

雪遊び その後


──バタン!

「……つまんなかった」

「きゃぁっ! ちょっとアレク! 大丈夫?!」

「あー……」

「もうっ! ここまでやらなくたって良いのに〜!」

「だってさ、アレク弱いし……」

「アレクが弱いんじゃなくて、クラウがバカなの〜っ!」

「バカって……」

「アレクの顔、真っ赤よ?!」

「反省しなさいっ!」

「……ごめん」

「オマエ、覚えてろよー……」

「アレク。あなたも反省しなさい。考えればわかる事よ?」

「何でオレが……」

「クラウが単純バカな事くらい知ってるでしょ?!」

「そーだけどよー。ここまでバカだと思わねーし……」

「単純バカ……」

「もう……付き合いきれないよ……」

「皆、そこまで言う事無いじゃん。ミユまで……」

「原因を作ったのはクラウよ?」

「だからって……」

「だからじゃないのっ!」

「うっ……。もう……嫌だ……」

「えっ?! 何処行くの?! 」

──バタン!



「アイツ、家出か?」

「言い過ぎたかしら……」

「でも、あれくらい言わないと効かないよ〜?」

「言って直る性格じゃないわ」

「別に良いんじゃねーか? ミユが居れば戻ってくるだろ?」

「ひゃぁっ……」

雪遊び

「暇だ……」

「暇ね……」

「うん……」

「はぁ〜……」

「アレク、何かないの?」

「何でオレなんだよ……」

「何となく」

「思い付かねーよ」

「……役立たず」

「何ー!? じゃーオマエは思い付くのかよ?!」

「雪合戦は〜?」

「何だ? それ」

「雪玉作って、ぶつけ合いするの。雪玉に当たった人が負け」

「面白そうだな」

「ミユにはぶつけられないから駄目」

「え〜っ? ただの遊びだよ〜?」

「駄目」

「つまんねーなー……。だったらよー、オマエとオレと二人でやらねーか?」

「それなら良い」

「じゃ、行くぞ!」

「うわぁっ! 引っ張らなくても良いじゃん!」

──バタン!



「あの二人、始めたわよ」

「ホントだ〜。でも、あれって反則だよね〜?」

「ええ。でもあれは、こうなるって考えなかったアレクが悪いわ」

「あれじゃ、勝てる訳無いよ〜……」

「そうね。無理だわ」

「魔法でいっぱい雪玉出して、投げてるんじゃね〜……」

「アレク、戻ってきたらボコボコね」

「可哀想だね……」

「ええ……」

「戻ってきたら、また喧嘩だね……」

「ええ……」

「はぁ……」

プレゼント


「……おい。外見てみろよ」

「何?」

「変なの……増えてるぞ……」

「雪玉の隣りにまた雪玉……。すっごく大きい……」

「え〜っ? 何〜?」

「あの雪玉、緑の目に緑の魔導石だわ……」

「またオマエが作ったんじゃねーのか?!」

「違うよっ! あんなの作れない〜! 木と同じくらい大きい雪だるまなんて……」

「じゃあ、誰よ……」

「……『さんたくろーす』じゃない?」

「えっ?」

「だってさ、プレゼントくれるんでしょ? 子供に」

「いや……まさか……」

「サンタクロース、こっちにも居るのかな……」

「んな訳──」

「かもしれないよ?」

「……おい」

「見てくる〜っ!」

──バタン!

「……オマエが作ったんだろ」

「何で?」

「あんなの作れるのなんて、水の魔法使えるクラウくらいしかいないわよ」

「ミユには秘密だよ?」

「……おい。アイツ、雪玉に抱き付いてるぞ?」

「よっぽど嬉しかったのね」

「可愛い……」

「子供扱いされた事、気付いてなかったわね」

「バカだからな!」

「バカじゃないっ!」
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