十字架  お題 〜 カメラ 〜



「っ・・・あっ・・・・・・んっ・・」

(・・・・・俺は、何をしてるんだ・・・・・)

「ん・・・あっ、きり・・・・しまさ・・・んっ」

久々の自分の家。
桐嶋とひよは正月のため実家に帰省している。
横澤も元旦は実家に帰省していたが、仕事のことで気になることがあり今日自宅に戻ったのだ。

誰もいない整然とした部屋
ひよの明るい声も
桐嶋の匂いも
なにもない
桐嶋家にいることが当たり前になっていた横澤にとっては、あまりにも寂しかった・・・・・・

(桐嶋さん、今頃何をしてるんだろうか・・・・・)

いつも囁いてくる桐嶋の声が、触れてくる指の感触が恋しくて

「桐嶋さん・・・・・っ・・ぁぁあ・・・んぁ・・・」

気付けば、横澤は桐嶋の感触を求めていた・・・・

「んんっ・・・・う・・・ッ・・・ああっ・・・きりしまさ・・・・」

「横澤ーいるかー?」

「!!!!!!き、桐嶋さんっ!!!?」

「ああ、いたのか。って・・・・・・・・・お前は正月早々俺を誘ってんのか。」

「いや、これは、ちがっ・・・・」

桐嶋を想いながら自ら上り詰めようとした瞬間、想いを馳せていた人物が横澤の前に現れた。
状況を全く把握できない横澤は、とりあえず人生で初めて死にたいと本気で思った。

「何が違うんだよ、こんなに濡らして・・・・・」

「いや、これは・・・・・・・・・・・・・・・・寂しかったんだよ・・・・・・・・」

「・・・は・・・?」

「だからっ!!!いつもあんたの家にいたから、一人がちょっと・・・寂しかったんだよっ・・・!!!」

いつもなら適当に流す横澤だが、今のこの状況で何を言ったところで桐嶋に敵わないと判断し、素直に本音を言うことにした。

「・・・やけに素直だな。そんなに寂しかったのか・・・悪かった。」

「いや、実家に帰るのは当たり前だし別に責めてるわけじゃ・・・というか、何の用ですか?」

「いや、お前に会いたくなって実家から帰ってきたんだよ。そしたらひよがお前に会いたいって言うから、写真でも撮って送ってやろうと思って。」

そう言った桐嶋の手にはデジカメが握られている。
自分も会いたかったとか、そのために帰ってきてくれて嬉しいとか、
思うことは沢山あったが写真を撮るなら身なりをきちんとしようと、
横澤は降ろしていたズボンをあげようとした。
その瞬間、桐嶋に手を押さえられた。

「なんだ、離せよ。」

「なに誘っといてしまおうとしてんだ。」

「だから誘ってはないって・・・・・んんっ!!」

桐嶋は反論しようとした横澤の頭を引き寄せ、深く口づけをした。

「ん・・・ぁん、ン・・・桐嶋さん、苦しっ・・・」

クチュクチュと淫靡な音に、横澤は全身がぞくぞくしてしまう。

「・・・っん、は・・・ふはっ・・・」

歯列をなぞられ、舌を吸い上げられると横澤の下半身は甘く痺れ、蕩けてしまった。

「暴れ熊も形無しだな。」

「こんな姿あんた以外に見られてたまるかよ・・・!」

「お前・・・そんな顔して俺を煽るなよ・・・」

そう言って桐嶋は横澤の上に跨がり、手に持っていたデジカメを構えた。

「・・・おい、なんであんたデジカメなんか構えてんだよ。」

「こんなに素直な横澤めったに見れないからな。記念撮影。」

「はあ!?写真とか撮んじゃねーよ!やめろ!」

「誰が写真つった。動画に決まってんだろ。」

「なおやめろ!!バカじゃねーのか!!」

「大人しくしろよ、ブレるだろ。」

桐嶋は横澤の言い分に全く聞く耳をもたず、デジカメ片手に横澤のズボンに手をかけた。

「ちょ、まじでやめろよ桐嶋さん・・・!」

「そんなこと言いながらここは嬉しそうだけどな。」

桐嶋が来るまで自分で慰めていたそこに触れられ、横澤は恥ずかしさと快感で背中をのけぞらせた。
正直このまま身を委ねてしまいたかったが、桐嶋の手にはデジカメがある。
自分のあられもない姿を撮影されるのは本当に勘弁してほしかった。

もうあまり残っていない理性を振り絞って、横澤は桐嶋に懇願した。

「・・・禅さん、頼むから・・・撮るのやめて・・・」

「お前さ、そんな顔真っ赤で瞳うるうるさせながら言ったら・・・余計に俺を煽るだけだから。
もう逃がさねえから観念しろよ・・・?」

横澤の最後の願いは聞き入れてもらえず、変わりにすでにピンクに染まった胸の突起を口に含まれた。

「あっ・・・・んん、ンッ・・・」

思わず漏れた甘ったるい声に、横澤は恥ずかしくなり側にあったクッションで顔ごと隠してしまった。

「何してんだ、それじゃ撮れないだろ。」

しかしささやかな抵抗も虚しく、あっさり桐嶋に剥ぎ取られた。

「お前さ、撮れてるの興奮してるだろ。まだそんなに触ってないのにガチガチじゃねーか。」

いつの間にかズボンを脱ぎ、解放していた桐嶋の屹立と、
すでに張り詰めて滴をこぼしている横澤のそれを、一緒に握りこまれ扱かれた・・・。

「や、あ・・・っ、んン・・・また・・・おれ、ばっ・・・か・・・」

「いいんだよ、可愛い横澤を撮ってるんだから。」

「なに言って・・・っぁ!ぅン・・・」

「・・・悪い横澤、ちょっと我慢できそうにない・・・。」

桐嶋は自らのバッグからローションを取り出し、横澤に渡した。

「乗れよ。」

「!!!なんで俺がっ・・・!」

「デジカメ持ってるからに決まってるだろ。嫌なら・・・ここで終わりだな。」

さっきも上り詰める直前でとめられ、またここでとめられたら・・・横澤には選択肢などなかった。

「あんたはずるい・・・。」

横澤はそう呟くとローションを指で絡め取り、自らの秘境に沈めた。

「んっ・・・!うぁ・・・ふ、ぅん・・・」

「ちゃんとほぐせよ?」

そう言うと桐嶋は、デジカメを持ち直し、横澤の胸の突起つまんだ。

「ぁあっ・・・んん、はぁ・・・ぜん・・さん・・・」

「隆史・・・」

「ぜんさっ・・・俺、もう・・・」

横澤はそう告げた後、自らの窄まりに桐嶋の高ぶりをあてがった。
いつもと違い積極的な横澤の行動に、桐嶋は一瞬目を瞠ったが
すぐに何かを含んだような笑みを浮かべ、手に持ったデジカメを持ち直し横澤の腰を支えてやった。

「ほら、支えててやるから。・・・横澤、こっち見ながら挿れて。」

「やぁ・・・、撮らない・・・で・・くれっ・・・!」

嫌だと思っているのに、桐嶋に撮られていると思うと身体はゾクゾクしてしまう・・・
撮られているという羞恥心と与えられる快感で横澤は全身が蕩けてしまい、
桐嶋の高ぶりの先端をくわえ込んだところで動けなくなってしまった。

「っ、もう・・む・・り・・・。」

「お前にしたら、上出来だな。・・・肩、しっかり持っとけよ。」

横澤の腰を支えていた桐嶋の手に力が入った。
言われた通りに横澤は桐嶋の方につかまったその瞬間、
大きく突き上げられ横澤は桐嶋の高ぶりを全て飲み込んだ。

「ぁぁああぁ・・・!うぁ・・・やぁ・・・ん・・・。」

「・・・っ、隆史・・・そんなに締め付けるな・・・。」

「む、り・・・言うなっ・・・!ん・・ぅあ・・・」

激しい圧迫感とゆるゆると与えられる快感に、ほんの少し横澤が保っていたの矜持も、
もはや保てなくなっていた・・・。

初めはゆっくりだった桐嶋の律動は次第に激しくなり、横澤の身体を揺さぶった。
容赦なく何度も奥を突き上げられ、限界が近かった横澤に桐嶋が声をかけた。

「おい、横澤。いいもの持ってんじゃねーか。」

桐嶋が顔を向けた先には、横澤が毎朝身だしなみをチェックするための姿見があった。
その姿見を桐嶋はこちらに引き寄せ、横澤の前に設置した。

「あんた・・・まさか・・・。」

「なんだ?これの前でやってる横澤を撮ろうと思ったんだが。」

「ちょ・・!!嫌だ!やめろよ!ほんと何考えてんだよアンタ!!」

「そんな風に恥ずかしがってるお前を撮るのが楽しいんだろ・・・ほら、これならお前がよく見える・・・。」

いつも使っている姿見に、今まで見たことのない自分の姿が映っていた。
思わず目をそらし、顔から火が出るというのはこういうことか・・・などと考えて誤魔化そうとしたが、
それも再開した桐嶋の律動によって打ち砕かれた。

目の前に乱れた姿の自分が映っているだけでも羞恥でおかしくなりそうなのに、
さらにそれを録画されているのだと思うと、それだけで横澤は高みに上り詰めそうになった。

「はぁ・・ん・・・あっ、ン・・だめだ・・もう・・・っ・・」

「なんだ、カメラと鏡で興奮したのか。」

「っ・・誰が・・・っ!あ、ン・・・ふぁ・・ん・・!」

「ああでも・・・俺も、もう・・・」

桐嶋の動きが早くなり、一番奥を突き上げられた横澤は一気に高みに上り詰めた。

「ぅぁあ、ぜ・・ん・・さっ、ぁあ・・んンぁ・・・!!」

桐嶋の腕の中でびくんびくんと身体を波打ちながら、横澤は白濁を吐き出した。

「・・・っ、たか・・ふみ・・っ・・」

絶頂と同時にきつく締め上げられた桐嶋も、横澤の中で自身を大きく震わせ欲望を爆ぜていた。







「横澤ー、一緒にDVD見ないか?」

「ひよと見ればいいだろう。」

「ひよならとっくにゆきちゃん家に出かけたぞ。」

「そうなのか。・・・ところでなんのDVDなんだ?」

翌週の休日、横澤はいつも通り桐嶋家に来ていた。

特にこれといってやることがなかったので、家中を掃除していたらひよはいつの間にか出かけていたらしい。
しかし掃除も大方片付いたので、横澤は桐嶋の申し出を受けることにした。

「AV・・・かな。」

「昼間からAVかよ・・・付き合いきれん。一人で見てくれ。」

「まあそう言うなって。とりあえずここ座れ。」

気分は乗らないが、ほかにすることもなかったので
とりあえず座るだけ座って読書でもしようと横澤は桐嶋の横に腰掛けた。

桐嶋がリモコンで再生ボタンを押した次の瞬間、横澤は目を疑った。
TVに映しだれていたのは・・・・横澤だった。
正月に、横澤の家でした情事の一部始終がそこには映っていた。

「いやーいい出来だろ?ノーカットで編集もしてないけどな。」

横澤は沸きあがってくる怒りと羞恥心を桐嶋にぶつけるが、
顔を真っ赤にして怒鳴る横澤の姿があまりに面白く可愛かったため、
桐嶋が一通り笑った後、再び同じ目に合うことになるなんて知る由もなかった・・・・。





☆☆☆END☆☆☆











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