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届かぬ手 君想う声:4

あの日から数日。
もうすぐ一ヶ月くらい経つんじゃないかと思うくらい長く感じる。

有紀の中で、僕はまだ思い出されていない。







教団の外、雪が降る中で僕は団服のコートのフードを被り、ただじっと雪空を見上げた。





有紀の様子は、相変わらずだ。いつも通り。

でも最近、たまにだけど寂しそうな顔をするようになった。

それも僕と目が合った時。

有紀の視線に僕が気付いて振り返って微笑むと、有紀は一瞬寂しそうに顔を歪めた後微笑み返す。


それがここ最近続いていた。









「僕…有紀に何かしたかな……」






頭をひねって考え始めるが、全くと言っていい程心当たりがない。

だからこそ、余計にわからない。


僕が再び考え込むと、僕の首元に隠れていたティムキャンピーが心配するように僕の周りを飛ぶ。

僕は「大丈夫だよ」とティムキャンピーに小さく笑って手を差し延べた。

ティムキャンピーはすぐに僕の手の上に乗って、僕と同じように雪空を見上げた。


僕の心みたいに曇っている雪空を。












「あ、いたいた!アレンくん!」






呼ばれて振り返ると、リナリーが居た。
リナリーは大きな声で続ける。






「任務だって!兄さんが呼んでるよ!」

「わかりました!すぐ行きます!」






僕はリナリーに答え、急いでコムイさんの所に向かった。



















*************

所変わって汽車の中。

僕はコムイさんの指示ですぐに任務に向かったんだけど……
















「いや〜俺とアレンの初任務だな!頑張ろうな!」













有紀とコンビだった。

「今までに何回も組んでますけどね…」と心の中で苦笑しつつも有紀に相槌をうつ。

無理に思い出させようとすると有紀に負担がかかるからだ。



今回の任務はイギリスのある町に大量発生しているアクマを全て破壊するというものだった。

最近アクマが増えてるな…と考えている時、ふと有紀の視線に気付いた。







「有紀?どうかしたんですか?」

「え、あ、いや……っなんでもないッ」






そう、また一瞬寂しそうな顔をしたかと思うとすぐに笑って、ゴーレムのメイをくすぐったりしながら僕から視線を外す有紀。


…あんな顔しといて、なんでもないってのが嘘だってまるわかりですよ……。


僕がじっと抗議の視線を送ると、有紀はごまかすようにあはは、と乾いた笑いをこぼした。






そうこうしている内に、汽車は目的地に着いた。















「わ…雪かなり積もってますね有紀」






ぼくぼくと、雪を踏み締める度に音がして足首まで雪が積もっている。



ふと、返事の無い有紀を怪訝に思って振り返ると、有紀はじっと俯き、立ち止まっていた。









「有紀?どうしたんですか?」

「………………」

「体調でも悪いんですか?最近変ですよ?」








有紀からの返事は、無い。


様子がおかしい有紀にいよいよ心配になって、僕は有紀に歩み寄った。














「ゆ…」

ガシッ

















話しかけようとした時、いきなり有紀に両腕を掴まれた。

いきなりの事に、僕は思わず首を傾げた。









「…有紀?」

「アレン……俺ら、ホントにあの時が初対面なんだよな?」















有紀の言葉に、思わず目を見開いた。
















「俺…最近変なんだ。
アレンとご飯食べたり、談話室やお互いの部屋で話したりする時、前にもこんな風に話したり笑い合った気がして……。
最初は気のせいだって思った!!でも俺の中の何かが…それは違う、確かに前にもこんな風に笑い合ったって言うんだ!!

夢にも見たんだ…誰かが俺に「思い出して」って泣く夢を。

なぁアレン…俺ら、本当にあの時が初対面だったのか?」




















――ドクン。
















鼓動が、大きくなる。

















「俺は何を忘れてるんだ?何かとても大切な…何にもかえられない大切な何かを!!
思い出そうとしたり何を忘れてるのか考えたりすると頭が痛くなって…。

アレン知ってるんだろ!?あの時、俺に思い出せって言ってくれたから!!

俺、思い出さなきゃいけないんだ!!もうアイツに泣いて欲しくない!!」











有紀が僕から視線を外さず、今にも泣き出しそうな顔で言う。

僕も、有紀から視線を外せなかった。


















鼓動が、大きく刻まれる。

















言ってもいいのだろうか。













有紀が忘れているのは、僕なのだと。
















僕が躊躇いながらも口を開きかけた時……



















ドンッ

「「!?」」

《エクソシストだァァァァァァ!!!!!》

《二匹もいるぞぉぉぉぉぉぉ!!!!vV》











アクマが現れ、僕達に向かって来る。

数は無数でわからない。



でも、わかった事はある。



この町は……















「アクマに滅ぼされていたのか…!!」











僕は唇を噛み締め、イノセンスを発動した。

有紀もイノセンスを発動したのがわかる。







僕らはそれぞれの武器を構えてアクマに向かって行った。


















*********

自動ログアウトされてて書き込めなかったから即再UP(笑)


有紀思い出しかけてるーーーーーーーッッ(笑)


これの有紀sideも書きたいな〜…今日時間あったらやろっと♪


ま、予定は未定っつー事で!(待て)
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