「それじゃ、おやすみ有紀!また明日!」
「おう!おやすみリナリー!」
その日も、いつもと同じだった。
届かぬ手 君想う声:4.5
俺とアレンとかいう奴が会ってから数日。
身体の怪我もすっかり治って、鍛練も出来るくらいに回復した。
でも、ほんの少し変な事があった。
俺とアレンが会った時の話をすると、皆決まって驚いたり悲しそうな顔したり、同じ反応をした。
ラビにも「ホントにアレンの事わかんないんさ?」とか、真顔で聞かれたりもした。
……俺とアレンは、間違いなくあの時が初対面
……の、筈だ。
俺はあの時初めてアレンを見た筈なのに……何故か、心に違和感を感じた。
まるで、ずっと昔から知っているような……何かとても大切な何かが頭からスッポリ抜けてしまったような、もやもやとした違和感を。
なんでだろうと、どうしてか考えて…記憶を探ろうとしたら決まって頭痛が起きて邪魔をする。
コムイにその事を話したら、「きっと怪我の後遺症だからすぐに治るよ」って言った。寂しそうに。
「俺…何を忘れてんだろ……」
わからない。けど、それは俺にとって何よりも大切な『何か』なのだろう。
もやもやとした気持ちを抱えたまま俺は風呂に入ってからすぐにベッドに潜り込み、眠りについた。
「――――て…」
何……?
「――て―――さい…」
誰…?何言って……
なんで…泣いてるの……?
その顔の傷…お前…もしかして………
「思い出してください…」
え……?
「思い出してください…僕を……」
「――ッ!?」
目が覚めると、見慣れた自室の天井が見えた。
身体を起こすとどこか気怠くて…頭がぼうっとした。
「……思い出す……?」
夢の中で、『誰か』が俺に言った言葉。
一体何を?…誰を?
わからない。何も。
俺は、何も忘れてはいない筈なのに……
夢の中、真っ白な空間の中に居た『彼』……。
姿は覚えていない。思い出せるのはぼやけた輪郭だけ。
でも………
「アレンに…似てたような………」
そう思った途端、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。そして……
「――――…ッ」
何故か、涙が溢れた。
何故、君は俺の夢に出て来るの?
どうして泣いていたの?
「どうして……ッ」
君の涙を見るとどうしてこんなにも…切なく、悲しくなるんだろう……
俺が泣いているのに気付いたのか、メイが心配そうに俺の顔を覗き込む。
――俺とアレンは、本当にあの時が初対面なのだろうか?
この夢をきっかけに、俺はそれに違和感を覚え、俺の中からスッポリと抜けてしまった大切な何かを……捜し始めた。
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なんか連載と被っちまった…!!(笑)
記憶喪失だとか記憶関係のネタは描くの楽しくて好きだ…!!(笑←ぇ)
べっ、別にこのシリーズの最終章が早く書きたくて話の数少なくしたり短くしたとか、そんなんじゃないんだからねッ!?(←オイコラ待て)
次くらいに完結出来たらいいな〜♪←