――有紀と、喧嘩した。














喧嘩の原因は、僕にとっても重要な事で。





有紀との任務中、レベル2にスキをつかれ防御が遅れた僕を、有紀がその身で庇って怪我をしたという事。



有紀の背中には大きな傷。



有紀は「すぐに治るから大丈夫」と言って笑った。痛みを我慢しながら。















その姿に、僕は腹が立ってしまったんだ。



すぐに治るからって、女の子が…ましてや好きな子が怪我をする事を誰が許せる?

それが自分のせいなら尚更だ。



















「すぐに治るからって、有紀が僕の代わりに怪我をする必要ないでしょう!?
今回は致命傷は免れたけど、もし次に致命傷を負えば…!!」

「だって俺は!
…俺は、アレンを…皆を守りたいんだ!!誰も傷付いて欲しくないから…だからッ」

「その為なら自分の命も捨てるんですか?」

「違…ッ!!そんな言い方…ッ」

「自分を犠牲にするのが有紀の守り方なら、僕は……そんな守り方で助けられても嬉しくない。そんな守り方…嫌いだ。」

「……ッ!!アレンの馬鹿!!!」



















つい三日前の会話。

なんであんな言い方をしたのか、自分でもわからない。


ただ…僕は、僕のせいで有紀に傷付いて欲しくない。ただそれだけだった。






有紀は今、また任務に出ている。


有紀のあの大きな力はやはり皆に期待されてて、僕らより任務に出る数が多い。





…任務に出る時、いつもなら見送りに行くけど……あんな会話をした後だから、なんだか気まずくて……意地を張って、行かなかった。



そんな僕を察してか、有紀は任務に出る前に僕の部屋の前まで来て小さな声で「いってきます」と言った事は知っている。


でも、それでも意地が邪魔をして「いってらっしゃい」という短い言葉さえ言えなかった。




















――どうすれば良いんだろう…















答えは簡単だ。謝れば良いんだ。



ちゃんと素直に気持ちを伝えて、自分を犠牲にして欲しくない、ただ傷付いて欲しくないんだという事を伝えればすむんだ。



…このまま有紀と離れてしまうのは、嫌だ。



ちゃんと仲直りして、それでその後は一緒に食堂に行って。一緒にケーキでも食べよう。





僕がそんな事を考えていると……















ドンドンドンッ

「アレンくん!!アレンくん居る!?」










リナリーの声だ。
声からして、ひどく焦っているのがわかった。



僕はベッドから降りて、ドアを開けた。



そこには、今にも泣き出しそうなリナリーが。










「リナリー?どうしたんですかこんな時間に」

「ッ早く!!早く医療班に行って!!」

「え、ちょ、リナリー?ちょっと落ち着いて…」

「ッ有紀が…有紀が危ないの!!」














リナリーの言葉に、僕は思わず動きが止まった。














「さっき兄さんに連絡が入って、有紀がアクマに襲われてた子供を庇って怪我をしたって…」















僕はリナリーの言葉を最後まで聞かず、気が付いたら走り出していた。















――有紀……!!
















僕はただ、君が生きている事を祈りながら走るしかなかった。



頭の中は……有紀の事だけでいっぱいだった。





















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部屋に母が居て作業出来なかったので突発(笑)

続きは…読みたい方がいたら書こうかなとか思いながら(笑←オイ)

自由気ままが私なのだよ!!(ぇ)