「レンー!!朝だよ起きてつか起きろー!!」




翌朝。

レンの自室の扉をドンドンと強く叩きながら呼び掛けるリン。


苛々とした様子で呼び掛け続けるリンに、つい声を掛ける。




「どうしたのリン?」

「あ、マスター!おはよう!」

「おはよ。…レン、まだ起きてないの?」

「うん…鍵閉めてるから中入れないし、返事もないし……」




レンを心配し、シュンとするリン。

そんな弟思いなリンの頭を撫で、にこりと笑いかけた。




「私が起こすから、リンはあっちで待ってて?ミカンでも食べながら」

「はーい!」




リンはパタパタとリビングに向かい、それを見届けてから控えめにレンの自室の扉をノックした。




「レンー?朝だよ起きてー!」

「………………」

「レン…?もしかしてどっか調子悪」
「うるさい!!マスターなんか大嫌いだ!!あっちいけ!!」




レンの怒鳴り声に、思わず目を瞬かせた。

レンの声は、泣いているのか震えていた。



レンの様子がおかしい。



ユキは急いで自室にある棚からレンの自室の合い鍵を取り出し、レンの自室へと戻って鍵を差し込み、その扉を開いた。




「レン…?」




部屋の中は、朝だというのに暗かった。

カーテンは締め切られていて、かすかに朝日が差し込んでいる。


ベッドの上には、膝を抱えて俯いているレンが。


ユキは迷わずレンに歩み寄り、床に膝をついてレンの顔を覗き込んだ。




「レン。」

「……………」

「レン、何かあったの?私…何か怒らせるような事したんなら謝るから話して?」




ユキの優しい声に、レンは少しの間黙った後、口を開いた。




「…マスターが、」

「ん?」

「マスターが昨日友達と話してたの、聞いた」




レンの言葉に、つい目を見開いた。

まさか聞かれていたとは…。

だが、これでやっと繋がった。




「…レン。まさか私がリンとレンを捨てるって思ってる?」

「………………」

「言っとくけど、それ勘違いだから。私、二人を捨てる気なんかさらさらないし」

「……嘘だ」

「ホントだってば。私が捨てようとしてたのは……」




ユキはポケットを探り、あるモノを取り出した。それは…




「……マスターの彼氏がマスターにプレゼントしたネックレス…?」

「そ。私が捨てようとしてたのはコレ。
ちなみに『元カレ』だからね」




ユキの言葉に、レンは驚いて顔を上げた。

その顔は涙でぐしゃぐしゃで、ユキはつい小さく笑ってしまった。




「マスター…アイツと別れたの?」

「うん。だってアイツ、レン達の事馬鹿にしたしガラクタ呼ばわりしたから一発ぶん殴ってやったら逃げてった。
アイツにはもう愛想尽きてたし、アイツが貢いできたもん全部捨ててやろうかと思って友達に手伝ってもらってたワケ」




ユキの言葉にレンはただ目を瞬かせた。


確かにユキの元カレにガラクタ呼ばわりされて傷付いた事があった。

ボーカロイドは機械だから心が無いと決め付けてそういう発言をする奴はたくさんいる。


だがまさか、ボーカロイドである自分達の為にそこまでしてくれるマスターがいるなんて思ってもみなかった。




「まぁ私もアイツがしつこいから仕方なく付き合ってただけだし、なんも関係ないしね。
私の大切な家族を馬鹿にするような奴はフルボッコにしてやんよ!ってね」




そう言ってはにかむように笑うユキ。

そんなユキを見て、レンはまた涙が溢れた。




「マス、ター、ごめんなさっ…俺、マスターに酷いことッ…」

「へーきへーき!私もまぎらわしい会話してたのも悪いし…不安にさせてごめんね?」




レンの頭を撫でながらそう優しく言うユキに、レンは思い切り抱き着いて大声で泣いた。


それは嬉しさからあふれる涙。


捨てられるかもしれないと思った時、胸が張り裂けそうに苦しくて痛かったのに、今は優しい気持ちでいっぱいだった。















ずっと、ずっと。

(いつまでも一緒にいたいよ)







俺達の大好きなマスター。


















END







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…わっけわかんね!!これわっけわかんね!!(笑)

息抜きにUPしてしまった突発レンSSでした♪


さて、今からまた作業に戻りまーす!