※VOCALOID 鏡音レンSS





















怖い夢を見た。


内容はあんまり覚えていない。







ただ、はっきりと覚えているのは……





















――マスターが、俺を置いてどこかへ行ってしまった夢だという事。



















真っ暗な空間で、マスターは扉を開いて眩しい光が溢れる真っ白な世界へと行って、俺がどんなに叫んでも、涙を流しても…マスターは振り返らずに光に溶けて消えた。






















――ボーカロイドと人間には必ず辿る運命がある。

















それは、『別れ』。



理由は、

1.人間がボーカロイドに飽きてアンインストールする

2.ボーカロイドが壊れる

3.マスターがいなくなる。または死。










きっとこのどれかを、俺達ボーカロイドは必ず辿るのだろう。






そして…俺が見た夢は、その中でも最悪な3番だ。








「…最悪。」








マスターが死ぬ夢を見るなんて、最低だ。


夢に、自分の中の不安を見るなんて思いもしなかった。







ボーカロイドは永久に生きられる。

だけど人間は違う。





それを知った日から、夜な夜なこの夢を見るようになった。








「……マスター………」







今すぐ会いたい。

名前を呼んで、安心させてほしい。


マスターは、ちゃんと生きてて俺の側に居るのだと。








壁にある時計を見れば、ちょうど夜中の3時を指していた。



…マスターは、既に夢の中だろうけど……











俺は自分の枕を抱えて、隣にあるマスターの部屋に向かった。

双子の姉・リンを起こさないようにして。








マスターは、やはり寝ていた。


その寝顔はあどけなくて、普段大人ぶっているからなんだか可愛く見えた。

















――少しくらいなら、いいよね?













俺はマスターを起こさないようにマスターの隣に潜り込み、ピッタリとその華奢な体に身を寄せた。







トクン、トクンとマスターの心臓の音が聞こえてくる。


一定のリズムで聞こえてくるその命の音に、俺は自然と安堵して落ち着いていった。



あたたかい。



人間ってこんなにあたたかいのか……。


















「……ん……レン……?」






ふと、頭上から聞き慣れた声が聞こえた。

マスターだ。

どうやら、俺がピッタリとくっついてるせいで寝苦しさから目を覚ましたようだ。







「ごめんなさい…起こしちゃった…?」

「ううん…へーき……つかどしたのレン。怖い夢でも見た?」

「………………」






図星を突かれ、つい黙る俺。


そしたら、マスターが俺を抱き寄せて頭を撫でてくれた。

すごく、優しい手つきで。








「マスター…?」

「大丈夫、だいじょぶ…マスターが居るから大丈夫だよレン……だから安心して寝な?怖い夢なんかマスターがぶっ飛ばしてあげるから」






マスターの言葉に、なんだか胸があたたかくなって。


俺はマスターの胸に顔を埋めた。


マスターの優しい匂いと体温と、命の音が俺を優しく包んでくれた。








「うん。…おやすみマスター」

「ん。おやすみ…」











その日から、俺はその夢を二度と見る事はなくなった。















の安定剤




(俺の場合、それは貴方です)















END







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…何が書きたかったんだっけ?(笑)


えっとね…

ボーカロイドはほぼ永久に生きられます。でもマスター…人間は違う。

それを知ったボーカロイドの、マスターを想う気持ち…的な?(聞くな)


いつかちゃんと書いてUPしたいです(笑)