日暮れや夜更けでなくとも、鈴虫の声がする。日がな一日どこかしらで鳴いている。
真夏の蝉よりも疎まれないのは、声が美しいからか…。

商業施設(中型くらいのスーパーです)のエレベーターにて、苦々しく悲しい気分到来。

自分の他に5〜6人の男子中学生、老人♀と青年♂が乗り合わせ‥中学生グループは2階のフードコートで降りる相談をしていた。

腹が減った、喉が渇いた‥と各自欲求を発露する中、1人の少年が

『気持ち悪い…早く降りたい』

と渇望している。
具合でも悪いのかと、少し気にして眺めている間に2階到着。少年らが降車し、扉が閉まる…かと思いきや‥“気持ち悪い”と訴えていた少年が突如、エレベーター内を振り返って恫喝…!

『お前や。気持ち悪いのは。お前やからな…!』

と‥エレベーター内に残る青年に対して、言い放った。
周りの友人達はニヤニヤするか、苦笑いだった。

いきなり見知らぬ少年に罵倒された青年は、肌が荒れていて、少し野暮ったい感じの人だった。

一瞬にして、重苦しい空気が充満するエレベーター。
彼と私と老人は、地下の食品売り場で降りた。青年は扉が開くと真っ先に降りて、そのままトイレの方へ消えた。
エレベーターの“開延長”ボタンを、後に続く私と老人のために押して。

優しい人だと思った。