「オイ。」
その黒髪の男は気が付くと俺の前にたっていた。
サラサラの黒髪が風に吹かれ逆の方向へと流れる。
目元にきた髪を片手でかきわけると、ギッと俺を睨みつけ続けて口を開いた。
嗚呼、瞳孔がガンガン開いている…
「此処ってエリザベスホテルであってるよな。」
その男はクイッと親指でホテルを指すと問いかけてきた。
こんなところに用があるっつー事はどっかの財閥の御曹司ってところか、はたまた俺と同類か。
「そうだけど。」
「どうも」
その男は礼を言うとホテルの中には入らず、俺と同様に人の波に目を向けた。どうやら、さっきの問の答えは後者の方が正しかったようだ。
「誰か待ってんの?」
どっかの財閥の御曹司かと思ったよと言い、話をふっかけた。ぶっちゃけ、あのゴリラを何もせずに待っているのが飽きただけだけど。男は横目で此方を見たがすぐにまた視線を戻した。わぁ…シカト。
「実は俺も何だよねぇ。待ってんのは男だけど。あっ、別にホモじゃないから。」
少しシカトされたのが頭に来たが、此処でシカトされたままも負けたみたいで嫌なので話し掛け続ける。相変わらず、男はシカトを続けた、嫌、こんな事で諦める俺じゃないけどね。
綺麗なロビー、赤々とした絨毯、キラキラとしたシャンデリア。
如何にも金持ちが来そうな高級ホテルの一郭で近藤と待ち合わせた。
コレを見つめながらこんな高そうなところで食えるのかとか近藤にこんなところで食うの金がホントにあるのかとか考えていた。
「まぁ、いい。別に俺には関係ねぇや。」
そう、金は俺持ちではないのだから。
もう五月でほとんど桜も散りつつあるのに、夜になると未だ寒さが残る。
手がかじかんで携帯のキーを押すのもうまくできないだろう。
こんなに寒くても人の波は消えない。
家で温かい家族が待って居る者、急いで彼女との待ち合わせ場所に向かう者、その波と共にいろんな思いが交差する。
こーゆうところに独りで居ると自分だけ世界からはみ出てしまったような気分になる。
深い深い闇が覆う空を見上げながら俺は近藤が来るのを待った。
ふと再び人の波に目を落とすとこのホテルに近付いて来る男が目についた。
薄い色の服(色はあの位置だと暗くてよくわからない)の上に黒系のブレザーのような上着を着た男。
身長は俺と差ほど変わらずサラサラの髪が俺を釘付けにした。
格好良いというより、美人や綺麗という言葉の方がしっくりくるヤツだった。
「えぇぇぇ!?」
すっかり今が講義中だという事が頭から抜け落ちたのかはたまた元から馬鹿なのか近藤は大声で立ち上がった。
もちろんそんな近藤にというか俺達に視線は集る。
すみません、コイツ寝惚けてたんですよ〜と言いながら俺は近藤の服をグイッと引っ張り席に座らせた。
「なんでだよ!!!もうトシに言っちゃったよ!!!」
「はぁ!?知るか!!!二人で食えばいいじゃねーか。」
「多い方が楽しいだろ!!!」
ニコニコとこっちを見つめながら言う。
「だいたい今金がねぇんだ。」
「金なら安心しろ、俺の奢りだ」
俺の懐はホカホカなんだぜなんて言いながら此方にウィンクをしてきやがった。
このままだとコイツのいいなりになる気がする。
なんでコイツの言う事を聞かなきゃならないんだという苛立ちとこんな事を思っていても結局は行く事になるんだろうという俺への呆れがグルグル混ざりっている頭を俺は抱えこんだ。
「行かないか?イヤ、無理強いするつもりはないんだが…」
とどめに捨てられた子犬のような目。(外見はゴリラの癖に)
嗚呼…、俺って子供の頃捨てられた子犬を見つけるとすぐ拾って来ちゃうようなヤツだったっけ?
「たっく、その『トシ』って子は美人なんだろーなぁ…」
「ああ!!すっげー美人だ!!」
「…」
結局俺はハイと言わざる終えなくなった。
さっき置いた鞄に頭を埋めた。
アイツに連れられてくる『トシ』という子がゴリラの美人ではなく人間の美人なレディが来る事を祈りつつ俺は夢の中へダイブした。
「でっ、今日の事なんだけどさぁ…」
そろそろ寝ようと枕代わりに机にあげ鞄を頭にひいた時、近藤がコソッと話し掛けた。
さっきまで真面目に受けろだの寝るなだの言っていた癖に。
「はぁ?今日何かあったっけ?合コン?」
眠いと言っているのにこの男はと思いつつ、夢の世界に旅立とうとしている頭を無理矢理起こし近藤の方を見て口を開いた。
近藤はやっぱり忘れてたかと頬を膨らましてすねてみる。
いや、可愛い女の子がやるならともかく男でしかも動物園に行ったら子供にゴリラだと間違えられそうな面の奴がそんな事してもきしょいだけだから。
「今日は友達を紹介するから空けとけよって言ったじゃん!!」
そんな事言われただろうかと寝惚けた頭を回転させてみたが記憶の欠片も出てこない。
「言ったっけ?」
「言った!!!」
「何時何分何秒地球が何回回った時?」
お決まりのフレーズを出してみると近藤は指を折りながら今地球ができて46億年だから…と真面目に計算し始めた。
本気で計算し始めんなよ、俺だって今日で何回地球が回ったのかなんて知らねーよ。
「で、何?一緒に飯でも食いに行けと?」
「うん!!!そうそ「パス」
俺は近藤が言い終わる前に断った。
「銀時、紹介するよ。幼馴染みのトシっとじゃなくて、土方十四郎だ。」
大学でダチになった近藤に紹介されたのが俺と彼奴の出会いだった。第一印象は、目付きは悪いし愛想笑いもしないし、おまけに睨んでくるしまつとても良いとは言えないような印象だった。でもすごく綺麗な整った顔をしているなと思った。
「あ〜あ、なんかかったりーな。寝ようかな。」
俺は坂田銀時。○△大学の経済学部の生徒。別に好きで通ってるわけではなく、親に大学ぐらい出ておいてと泣かれたからだ。ぶっちゃけると、高卒でフリーターで生活した方が楽なんじゃねーかとか思ってた。
友人関係は幅広く浅くといった感じでいつも笑いの中心にいたが深く付き合う奴は彼奴に会うまでいなかった。彼女は居ないときはないくらいで、常に抱き合うくらいの奴は隣にいた。別に本気で好きとゆう訳じゃなくてただ自分の欲求を満たしてくれる奴が欲しかっただけだ。まぁ、敵を作る事もあったがこんな生活のお陰で俺は
彼奴と出会った。
「おいおい、銀時!声でかいから!!!寝るんだったら、バレないくらいの配慮をしろよ。つーか寝るな!」
彼奴と言うのはこの男、近藤勲。明るくてお人好しで笑顔が眩しい男のようなゴリラ。あっ間違えた、ゴリラのような男、まぁ同じようなものか。女にはモテないが男からは慕われる奴。
「だってさ、昨日俺寝てないの。夜の営みでオールナイトだったの。」
近藤と出会ったのは大学2年の春。大学に入って何人目かの彼女に「体だけの関係なんて嫌だ。」と言われフラレた時だ。あの女、公衆の面前でビンタしやがって、だいたい体だけの関係なんて嫌だとか言っておいて俺以外にも彼氏が居たくせによ。まぁ、俺も人の事をとやかく言える程の立場ではないけどな。
ビンタをくらった俺に誰も見向きもしなかったが(寧ろ皆関わりたくなかったのだろう。)コイツ近藤だけは濡らしたハンカチを俺に渡して来たのだ。ほっておけばいいもののお人好しと言うのはまったく損な性格だ。
それをきっかけに俺達はよくつるむようになった。と言っても最初の頃は近藤が勝手に絡んでくるだけだったが。
「また女か?女遊びは辞めろって言ってんだろ。」
「へいへい。わかりましたよ。」
まぁ、世話やき女房みたいな奴だ。(こんなゴリラのような女房は欲しくないが(笑))
あとがき
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やっと書いたぜ2ページ目(笑)出たしって中々難しいねぇ〜(汗)てか俺の文才の無さにロックオン(馬鹿
銀時が女ったらしだよ・・・本誌ではモテないとかいってたけど絶対モテると思うね銀時は!!!絶対モテる、うん!!!
たらしにしたのは流れ的にその方がやりやすいから☆一応ラストは考えてあるんだ!!!其処までもってくのが大変そうだけど。まぁ、頑張るvV応援よろしくお願いします。
あっ、初日と今日は更新履歴に載せましたが一応日文と言うことで今後は更新履歴には載せません。更新不定期な上に@ページずつだからね。