あたしとそいつは向かい合って立っていた。
「あんたはどうして力を求める?」
そいつは肩を竦めた。
「何だと思う?」
あたしも肩を竦めた。
「ベタなとこで世界征服かな。
そうだったらお笑いね」
「笑うのか」
「笑うわよ」
「何故だ」
「世界はそんなに簡単にできてないから。あたしがあんたの前に立っているように」
そうか、と呟いて、そいつは訊いてきた。
「では、誰かを甦らせるためと言ったら?」
「笑うわよ」
「何故だ」
「あんたが甦らせたいと思う人間の該当者はとっくに転生してるから。でもあと十年は待った方がいいわね」
「何故?」
「今母親の腹の中だから」
そいつは少し笑った。そしてまた訊いた。
「なら、復讐はどうだ。笑うか?」
「………笑えないわ」
そいつはまた笑ったようだった。
「今あたしがここにいる理由が私怨でないと誰が言えるの」
「…そうか」
そいつはゆっくりと刃を晒した。
「なら、そういうことにしておこう」
鞘が床に落ちて、こつんと音を立てた。
一言言ってやる気のある方はどうぞ。