蝶々日和

2012/04/28 00:57 :夢追(ブンジロ長編)
夢追6

「そういえばジローは中等部卒業しても高等部でテニス続けんの?」


ケーキを美味しそうに食べるジローを横目に前々から気になってた事を問いただしてみた。
ジローは「そのつもりー」と呑気に答えながらまたケーキを食べた。


「丸井くんは?」

「……まあ今ほどじゃねーけど続ける。部活がありゃ入ろうとも思うし。…ただ将来の夢もあるからガッツリは出来ねぇなぁ。勉強しねーとだからな」

「丸井からそんな真面目な話が聞けるとは明日は雨降るかもしれんのう…」

「仁王君、口を慎みなさい」


それを聞いてた仁王はクスクス笑いながらつぶやくが俺よりも早く突っ込みを入れる柳生。
こんなやり取りももうすぐ出来ないと思うとなんだか寂しくなる。

テニスをまだ続ける理由は、純粋にテニスがまだしたいってのが大半、僅かな希望を抱いてるのはまたいつか皆と試合する機会があるかもという甘い考えがあった。

そして、ジローとも”テニス“という繋がりがもてるような気がしていた。


「……そっかあ………俺、将来何も考えてねえや…。なんか、ずっと寝れたらなーなんていうのが俺の夢って感じだCー」

「ジロちゃんらしいのう。じゃが、寝すぎはあかんぜよ」


全く仁王の言うとおりだ。
ホントにジローはこのままずっと寝るんじゃないかというくらい寝ることがある。
現に、今も眠そうにしている。


「………あ、でも…出来るならテニス関係で働けたらE〜なあって思ってるよー」

「それはそれで立派な夢です。頑張って突き進んで下さい」

「ありがとう柳生君!あと丸井くん!」

「んあ?」

「そーゆーことだから、また試合してほCーなーって思って…卒業しても…会ってくれる?」


なんだろう、この告白されてるみたいな感じは。
内心凄くウズウズしてるのが自分で解る。可愛くて、なんだか抱きしめたいという感情が沸々と膨れ上がってきている。
だけどそこを我慢し、ジローの頭を撫でた


「当たり前だろぃ。お前のその夢、俺の天才的妙技でガッツリ教育してやらあ!」

「おー、丸井くんマジマジすっげー!俺に出来ないことを平然とやってのける!」

「そこにシビレる憧れるプリ」

「いえーい」


この二人は何処かで打ち合わせしてたのかと疑うくらい息が合ってる。
まぁそれは良いとして、ジローとはまた会えると思うとつい笑顔がこぼれそうになった。




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