なんてことだろう。
こんなに面白いゲームに、20代も終わりに近付いてから出会うとは。いったい何年ぶりだろうか。
何時間も没頭し、やりこみたくなるゲームがまだあったのか。

初めて起動したとき、いくら面白いと言われていたとしても、また子供の頃のように打ち込めるゲームだという期待なんかしていなかった。
リンクが服を着て、祠を出た瞬間、飛び込んできた美しい景色に、なるほどグラフィックは進化したんだな、と思ったくらいで。

どのあたりからだろうか。マ・オーヌの祠をクリアしたあたりからか。
武器を集めたり、料理をしたり、ゲームの中にもうひとつ自分の世界が出来てきた。
そして、パラセールを手にして、始まりの大地を飛び立ったとき。まさに、胸が熱くなるという感覚を経験した。

神獣を解放し、マスターソードを手にし、どうやって倒せるのかと考えていたガーディアンやライネルに勝てるようになった頃、不安感を抱き始める。
もう、厄災ガノンには余裕で勝てるだろう。しかし、ハイラルの平和が戻るとき、それは、私がこのゲームを終えるときだ。
やりこんでもやりこんでもいつか終わりが来る。

7月4日。私はハイラル城へ乗り込んだ。
想像以上にあっけなくガノンは敗れ、ハイラルから厄災は去った。

いまは放心状態。
だけど、清々しい。それだけ、この世界は良くできていた。
終わることすら、嬉しかった。

まだまだ。世界には面白いものがある。

ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド。
傑作です。