ユズ子さまへ/土沖/雨の日の二人





梅雨の季節がやって来た。外は土砂降りだ。そして屯所の中には奴が見つからない。こんな時に仕事に集中しろと言うのが無理な話だ。



雨の日のふたり






「おい、総悟まだか?」
「沖田さんですか?いえ…まだみたいですけど」


山崎の言葉を聞いて俺の胸には更に不安が募る。柄にもなく、落ち着きのない俺に隊士達は不審な視線を送りつけてくる。
まさか外出中に何かあったのではないか、とか何者かに襲われたのではないか、とか気が気ではない。全く何をやっているのだか。またアイツの事だから遊び歩いてて、そのうちひょこっと戻ってくるだろうとも思ったがこの雨じゃあ心配するなと言う方が無理だ。総悟が出掛けた時は快晴であった。傘を持って行ってるはずもあるまい。思考を広げ始めたらあまりにキリがなく、考えれば考えるほど不安は募るばかりである。
仕方ない探しに行くか、と外へ向かえばばったりと出会った一人の男は俺の待ちわびた総悟だった。


「おっお前…何やってんだこんな遅くまで!」
「すいやせん」


目の前の総悟は全身びしょ濡れだった。話を聞けば、ちょっと遊びに遠出したら思いっきり降られてちょくちょく雨宿りしながら帰ってたら遅くなりついでにびしょ濡れになったとか。
ふざけた話だ。やはり心配して損した。コイツの事を心配するだけ時間の無駄と言うことがよーく理解できた。いや、分かっていたが。
久々のオフで浮かれるのは別にいいが、こういうことであまり心配をかけさせないで欲しいものだ。おかげで仕事もまるで進んでいないと言うのに、コイツは人の気も知らずに。
あからさまに溜め息を一つ吐いて、ちょっと待ってろとだけ言ってタオルを取りに行く。あんなびしょ濡れのまま部屋に入られたらたまったもんじゃない。屯所中びしょびしょだ。


「ほら」
「ん」
「お前なあ…ほんとふざけんなよ」
「心配しやしたかィ?」
「アホ抜かせ」
「またまたあ」


びしょびしょの総悟の頭をわしゃわしゃと拭いてやると総悟は楽しそうに目を瞑って笑った。
そんな総悟が可愛くて思わず抱き締めてしまった。


「こんなに冷たくなりやがってばかやろう」
「土方さんに暖めてもらうからいいんでさァ」


総悟のそんな言葉を聞いた途端胸の内が凄く熱くなった。そしてより一層強く抱き締めると俺の胸に擦り寄ってくる総悟が愛しくて愛しくてたまらなかった。総悟は濡れちまいますぜ、と俺の腕の中でもごもご喋っているがどうでもいい。自分も濡れるとかもうそんな事はほんとにどうでもよくてただ今は総悟を抱き締めていたかった。コイツがあまりにも可愛い言動ばっかりとるものだから。


「服もびしょ濡れだな」
「体に張り付いて気持ちわりィでさァ」


総悟のシャツは濡れたせいで透けている。俺の目はついつい総悟の体に。
あ、やばい。なんか


「ひ、土方さん。何か…目ェ怖いですぜ」
「…総悟」
「へい」
「俺が着替えさしてやる」



ムラムラしてきた。





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ユズ子さまへ捧げます!
雨の日の土沖で総悟びしょ濡れとのリクエストで!とりあえず…ムラムラします(←)な土方さんいいんじゃないでしょうか(笑)
素敵なリクエストでしたのに残念な出来上がりですみません…!
こんなで良ければ貰ってやって下さい!
総悟ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!











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