夕凪のスコップ





それはとても丈夫な何かで出来ている。人間の心も、それくらいの丈夫さを保てていれば、陥落なんてことにはならないはずである。小野寺でございます。





しかし、祝福。マノンの逢瀬に感激の涙を流した昨日とは打って変わって、両手を震わせながら夢を見たことでしょう。おめでとう、マイブラザー。





敷かれたレールの上を歩くのを拒否します。と、そう決意してダイヤを乱した刹那の出来事でありました。私には不要なそれも、場所を変えれば素敵なそれでありました。



三白眼で風よりも早く駆け抜けるあの兵士は、それでも人間。時間を止めることも、進めることも、それまた無為な事なのです。それ以前に時間に手を加えるなんて愚行も、人間の手には重すぎる罪なのであります。





さて、一つ謝罪を。
我、そう長くはここには居れないな、と無い頭を振り乱した結果、来年の夏に帰郷致す事をこの胸に硬く決意致しました。




さらば、その時までの自我よ。
やりたいことを、やればいいじゃないの。






マノン、誘惑の晩餐





ああ小指を綺麗に着飾って、マノン、君は仕合せそうに包帯を巻く。第一幕の始まりの舞台は何時だって夜明けだという。小野寺でございます。





最近の不埒な愚行の数々を、誰か止めてはくれないか。マノン、誘惑の晩餐に逃げ出せてしまえばもう他に何もいらないので御座います。手放してしまいたい、ただ、それだけなのです。




記憶の君は笑う
過去は余りに残酷で、私になにも残してはくれない。マノン、君を忘れてしまえたのなら、それ以上の仕合せは無いだろう。そしてそれ以上の不幸でさえも。




人間に腹を立ててしまえる内は、私もまだ人間なのだろう。そう実感してしまえば、とんだ三白眼の彼でも愛せてしまえるのでしょうね。もう、丑三つ時を過ぎてしまっている今なのです。







揺れる船は二人の逢瀬に
潮風にまかれて、マノン、弱々しく握られた両手に涙を流す



オペラで一曲
私の思惑、すべては世紀末の出来事でありました。





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