妄想に囚われて…
妄想女が見たものは…
2012/2/11
01:40 Sat
耳に残る衣擦れの音は不思議な事に、まるで催眠術に掛けられた様な感覚を与えていた。
今まで軽くひきつる様な感覚だった目隠しが少しゆとりを持ち始めると、妙な緊張感が体を覆っていた…。
目隠しが緩んだのを確認して、閉じていた目蓋を開けようとした。
…その時だった。
は「あっ!yasuちょっと待って?」
『えっ!!?』
目隠しは外しかけていたのだから、目蓋を開けてしまえば犯人の顔が拝めたのかもしれない…。
…が、この自称yasuは反応が良いらしく、即座に目隠しをシュッと鳴らして締めてしまった…
状況が全く飲み込めず、やっとの思いで目隠しを取ってもらえるといった状況からの振り出しは、いとも簡単に彼女の心を乱してしまった…
『どーなってんだよっくっそーっ!!偽名は使うは、はいでぃーとyasuぴーのファンとか言っといていたいけなファンを大事にせんとかっヲタをなめんなっ!!!』
緊張と恐怖と苛立ちが入り雑じり、もはや何とも言えない感覚であった…。
は「せっかくだからコレしとこっかぁ♪」
hydeを彷彿とさせる様なそのユルッとした喋り方は、その場の空気をも緩めてしまう様な印象だった…。
その空気感に呆けてしまった瞬間…
−−−ガシャン…チャリ、ガチャッ
気付けば手首に冷たいモノ…
私「っひゃっ、な、何っ?」
ゾッとして慌てて腕を動かすと体の前で手首を拘束されていた…
おそらく手錠だろうが、付けられた手錠の冷たさよりも、腕に触れた指先の冷たさの方に不思議と意識は向いていた…。
は「…ふふっ君、元気だからね…。一応やからあんまし怖がらんでいいよ?」
いっぱい食わされた気分になってしまい、精一杯口をへの字に曲げてから口を開けた…。
私「もう何にも言わないから怖いのは無しにしてよっ。生死に関わらず心臓持たないからっ!」
や「っくく♪変な女。そこは“痛くしないで”ってゆーとこやろ。
hydeさん…ほしたら目隠し取っちゃいますよっ♪」
は「うんっお任せっ♪」
そして、今度こそ…。
さっきよりもスムーズに目隠しをしていた布が外された…。
ゆっくりと目蓋を開けると…
自分が座っている目線の高さに合わせる様に、hydeとyasuがしゃがみこんでこちらをのぞいていた…。
『…。ああ…いい夢だ…目覚めたく無いなぁ…。ドリームワールド万歳。』
夢オチなのか妄想なのか…。
小さな探偵の言葉を借りるなら…
“真実はいつも一つ…。”
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