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リンゴが杖と共に解き放ったホノオは、黒いぼうれいの顔面部に直撃! 「すごーいリンゴ! カッコいー!」 「そんな暇じゃないわリュウ! ひっくり返ってもがいてるんだから、今のうちにあたしが当てたところに攻撃よ!」 「あ、そだねー」 リュウは頭部へ走り出し、正面からの一撃を決めようと跳躍した! しかし黒いぼうれいはハエを叩くように、宙にいるリュウを払い落とす! 「リュウっ!!」 彼の落ちる音は、とんでもなく鈍いものであった。起き上がろうとする様子はない。 「もしかしたら、あたしもあんな目にあうのかも……」 リンゴはつい立ち退きそうになるのだったが、そうはいかないと、杖を強く握りしめた。 杖からは熱を感じる。 その熱はまるで、彼女に勇気を与えようとする柔らかなものだった。 「そうよね。今あたしがやらないでいつやるのか、よね!」 気を奮い立たせ、彼女はまたぼうれいと向き合う。ぼうれいは悠々とたたずんでいた。 「もう起き上がってるわ。どんどん攻めなきゃ!」 リンゴは当てずっぽうに魔法を唱え始めた。しかし、唱えるたびにホノオの威力が弱まり、終いには、相手に届かず消えていく程になってしまったのだった。 「魔法を使うって、こんなに疲れるものなのね……」 彼女はついに、片ひざをついて動けなくなってしまった! 黒いぼうれいはゆっくり、腕を上げながら彼女へ近づいてゆく! 「このままじゃあたし……!」 ついにぼうれいが腕を振り下ろす! 辺り一面に爆音が響き渡った! 「……えっ!?」 リンゴは立ち上がり目を丸くした。なんと、黒いぼうれいが仰向けにひっくり返っていたのだ! 「どうして、向こうが倒れてるの……!?」 「それは僕がやったからさ」 「 !! エンさん!」 「冷や冷やさせるんだから君はー。自分で弱点をついていたのに、まさか覚えていないなんてね」 「お前はとことん馬鹿だな」 「そう言うあんたが馬鹿な――!」 しゃんと立つ依頼人のエンを始め、ボール・マルー・リュウの姿もあったのだった。 「皆! ケガはないの?」 「そりゃああるに決まってんだろ」 「でも心配しないでー。師匠の塗り薬のおかげで、痛みはひいてるんだー」 「それなら良かったわ。マルーも――ちょっと、大丈夫?」 潤んだ瞳のマルーにリンゴが声をかけると突然、リンゴは抱き付かれたのだ。マルーはリンゴの横でわんわんとわめいている。 「どうしたのよ泣くなんて! マルーらしくないわよ?」 「だって私! ずっと……気付けなかったん、だもんんん――!」 「マルーったらおかしいわよ? 一体どうしちゃったのよ?」 「リンゴはもう、とっても強いんだって! すっかり……変わったんだって! なのに、私……!」 「――いきなりそんなこと言うなんて、マルー本当に大丈夫? あたしが強いだなんて、今更当たり前なことを言われてもねえ」 「当たり前か? それ」 「当たり前よ! だってマルーがいてくれるんだもの」 「……私?」 「ええ! あたしはマルーと一緒なら、いくらでも強いんだから!」 リンゴは誇らしげに語る。顔から自信もうかがえる。涙で景色をかすませるマルーでも、それが分かった。 「……うん。ありがとう、リンゴ!」 「よかった、泣き止んだわね。さあ行きましょ! 戦いはまだ終わっていないもの」 「あ、ちょっと待て魔法使い」 「何ですかエンさん? 今いいところだったのに」 「戦う前にこれを飲むんだ」とエンさんが、リンゴにガラスの小瓶を手渡す。中身は無色透明で、水に見える。 「これを飲めばたちまち魔力が復活する。この戦いは、君が要だからね」 「そうですか。じゃあ……」 リンゴはエンさんから渡された小瓶の栓を開け、一気に飲み干した。 「おっ、あぁ。一気飲みしちゃったようだね」 「え――あ、あ! 熱ーいっ!」 「やっぱり君は、炎の使い手だから体が燃えるほど暑くなるんだな。 だから様子をみながら飲むのが良いって言おうと思ったのに――」 「早く言って下さいよお! 口から火が出そうなんです!」 「じゃあ僕たち先行ってるよー」 「えっ!?」 「ヘマしねえ為にも、ちゃんと落ち着いた時に来いよ」 「ちょっと! 待ってよ!」 「リンゴなら大丈夫! 私、すぐに来てくれるって信じてるから!」 「え。そそんなマルーまで!」 「さあ! 攻めていくよーっ!」 「皆! 置いていかないでえっ!」 |
contents アースの風の戦士たち。 Flag:0(10) アースの風の戦士たち。 Flag:1(19) アースの風の戦士たち。 Flag:2(34) アースの風の戦士たち。 Flag:3(36) アースの風の戦士たち。 Flag:4(29) アースの風の戦士たち。 Flag:5(5) きゃらくたー絵。(0) そのた。(3) |
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