訓練する度に確実に強くなっているエレンは、リヴァイ班のメンバーに追いつけるようになっていた。最初は早すぎる先輩達の動きや、言葉なしの伝達に戸惑いを隠せなかったエレンだが、次第に分かるようになっていた。その姿を、リヴァイは満足そうに見ていた。

その一方で・・・・・エレンが同期やハンジなどに、柔らかな笑顔を向けているのを見ると、不愉快な気持ちになった。自分に対しては、緊張し強張った表情しか、見せないのだ。
リヴァイ「・・・・・ちっ、」
ハンジ「なぁに?人類最強は、ご機嫌斜め?」
ハンジがニヤニヤしながら、リヴァイの隣に立つ。
リヴァイ「何のようだ、クソメガネ。」
ハンジ「いやぁ、別にぃ。」
リヴァイ「語尾を伸ばすな。可愛くもなんともないぞ。」
ハンジ「ひでぇな、おい。」
口が悪いリヴァイに、ハンジは気にしてない様子でそう言った。
リヴァイ「・・・・・クソメガネ。」
ハンジ「ん?」
リヴァイ「エレンの奴は、お前やエルヴィンには、笑顔を向けるな?」
ハンジ「え?あ、まあ、うん。」
リヴァイの言いたいことが分からず、ハンジの答えは途切れ途切れになる。
リヴァイ「俺に対しては、向けた事がない。」
ハンジはリヴァイを、まじまじと見た。笑顔を向けた事がない・・・そう言ったリヴァイの声が、寂しそうに聞こえのだ。
ハンジ「・・・・リヴァイ?どうしたの?いつもは、気にしない癖に。」
リヴァイ「・・・・・」
答えないリヴァイに、ハンジは茶化すような口調で言った。
ハンジ「ああ、そっか!リヴァイ、ヤキモチ焼いてるんだねぇ。」
リヴァイ「はあ?ヤキモチ?俺が?」
ハンジ「だって、そうでしょう?笑顔を他の人に向けてるのが、気に食わないんだよね?」
ハンジに言われ、リヴァイは考える。自分には向けない笑顔を、他の人に向けるのははっきり言って、面白くない。ハンジの言うとおり、これはヤキモチなのだろうか。
ハンジ「もしかして、リヴァイさぁ・・・・エレンの事、好きなの?」
問いかけるハンジはもう、茶化してはいなかった。そうだ。その通りだ。自分は、好きなのだ、エレンの事が。

自分を見て欲しい、笑顔を向けて欲しい、話しかけて欲しい、誰よりも自分に全てを向けて欲しい・・・・リヴァイは、そう思った。
リヴァイ「・・・・ああ。てめえの言うとおりだ。」
ハンジ「え?」
リヴァイ「俺は、あいつが、エレンの事が好きだ。」