はっきりとそう言ったリヴァイに、ハンジは瞬きを繰り返す。
リヴァイ「何だ、クソメガネ。」
瞬きを繰り返しながら、じっと見つめるハンジにリヴァイは顔をしかめた。
ハンジ「・・・・今、何てった?」
リヴァイ「ああ?だから、俺はエレンが好きだと言った。」
ハンジ「ああ、良かった。聞き間違いじゃなかったんだね。」
リヴァイ「てめえが聞くから、答えてやったんだろうが。」
ハンジ「いや、さ・・・・・」
ハンジが驚いているのは、リヴァイの恋の相手がエレンだからではない。リヴァイがそれを認めている事に、驚いているのだ。リヴァイは基本、思った事をハッキリ言うタイプだ。だが、それは間違った事や、部下を指導する時の事であって、人に対する好意を簡単に口にするタイプではない。
ハンジ「やけに、素直だね。悪いものでも食べた?」
リヴァイ「失礼な奴だな。好きだから、好きだと言ったまでだ。何か、悪いか。」
ハンジ「うん、あのさ、好きな子の話してるんだから、少しは照れたりしないの?」
リヴァイ「お前相手に、照れたりするか。体力の無駄だ。」
ハンジ「ひどっ、」
そう言うハンジは、笑顔だった。口が悪く、分かりづらいが、リヴァイなりに相談しているのだ。それ程、本気なのだろう。リヴァイは戦いに関しても、滅多に相談しない。と言うか、人にあまり頼らないのだ。
ハンジ(そんな、あんたが、こうやって相談するんだから・・・・・これは、)
無視する訳には、いかないじゃないか。
ハンジ「まずはさ、優しくしたら?」
リヴァイ「・・・・・・」
ハンジ「それができるなら、苦労はしねえよ、クソメガネ・・・・・って、顔してるね。最っ高♪」
言いながら笑うハンジを、リヴァイは睨んだ。
ハンジ「ごめん、ごめん。いきなり優しくするのは無理だから、些細な事からやってみれば?」
リヴァイ「些細な事?」
ハンジ「何でもいいからさ。例えば、エレンが何かやってあげたり、上達してたりしたら、褒めるとかさ。喜ぶと思うよ?」
リヴァイは考える。確かに、喜ぶだろう。エレンがありがとうございますと、笑う姿が目に浮かぶ。
ハンジ「あのさ、リヴァイ?褒める事で伸びるってのも、あるよ。」
リヴァイ「褒める、か。」
ハンジ「後、応援とかかな?」
リヴァイ「応援?」
ハンジ「頑張れと言う、一言で、頑張れる場合もあると思うよ。」
リヴァイはただ、黙って聞いていた。自分に出来るだろうかと、思いながら。