「……なに」
やばい。
ずっと見つめてたら、目が合ってしまった。まさかこっち見るとは思わなくて、焦る。
「えっ、と、これわかんないです」
「どれ?」
とりあえず、わかんない問題があることにした。ワークを指差すと先生が近づいてくる。
目の前に来た瞬間、ふわり、いい匂いがした。やばい好きだ。やばいやばい。
「生きてる?」
「はい、はい、これです」
だめだ別世界に飛んでた、危ない。
「はぁ?お前これさっきやったばっかじゃん」
「忘れちゃいました」
「体罰が許されていれば殴った」
「ひどい!」
そんなこと言いながらも、ちゃんと教えてくれる先生。今わたしは、先生を独り占めしてる。幸せー。まつげながー。鼻たかー。かっこいいなー。
「聞いてる?」
「ばっちり聞いております」
「じゃあなんでこれこうなんの?」
「……なんやかんやで」
「あと1回だけ言うから全神経集中させて聞け」
「はい」
今度はちゃんと聞いた。わかりやすかった。あぁ、そっか、って納得した。さすが先生。
「こうですか?」
「ん。正解」
あー声もかっこいいわー。名前呼ばれたいなー。耳元で囁かれたいなー。はぁー。好きー。
「じゃあ時間なんで今日は終わりっす、お疲れ様でしたー」
先生を眺めてたら、授業なんてあっという間に終わっちゃう。もっと長くてもいいのに。離れたくないよ。
「お前はちょっと残れ」
「え」
ちょーうれしい何事?!やばい、ドキドキしてきた、2人っきりとか、やばい、死ぬ、
「田嶋も残れ。お前ら今日の小テスト悪すぎだから再テスト」
「まじすかぁ」
なんで田嶋いんだよ帰れよ!!!
ふたりきりは難しいようです。ちゃんちゃん。