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▽ ふたりきり希望



「……なに」

やばい。
ずっと見つめてたら、目が合ってしまった。まさかこっち見るとは思わなくて、焦る。


「えっ、と、これわかんないです」
「どれ?」

とりあえず、わかんない問題があることにした。ワークを指差すと先生が近づいてくる。

目の前に来た瞬間、ふわり、いい匂いがした。やばい好きだ。やばいやばい。

「生きてる?」
「はい、はい、これです」

だめだ別世界に飛んでた、危ない。

「はぁ?お前これさっきやったばっかじゃん」
「忘れちゃいました」
「体罰が許されていれば殴った」
「ひどい!」

そんなこと言いながらも、ちゃんと教えてくれる先生。今わたしは、先生を独り占めしてる。幸せー。まつげながー。鼻たかー。かっこいいなー。

「聞いてる?」
「ばっちり聞いております」
「じゃあなんでこれこうなんの?」
「……なんやかんやで」
「あと1回だけ言うから全神経集中させて聞け」
「はい」

今度はちゃんと聞いた。わかりやすかった。あぁ、そっか、って納得した。さすが先生。

「こうですか?」
「ん。正解」

あー声もかっこいいわー。名前呼ばれたいなー。耳元で囁かれたいなー。はぁー。好きー。

「じゃあ時間なんで今日は終わりっす、お疲れ様でしたー」

先生を眺めてたら、授業なんてあっという間に終わっちゃう。もっと長くてもいいのに。離れたくないよ。

「お前はちょっと残れ」
「え」

ちょーうれしい何事?!やばい、ドキドキしてきた、2人っきりとか、やばい、死ぬ、

「田嶋も残れ。お前ら今日の小テスト悪すぎだから再テスト」
「まじすかぁ」

なんで田嶋いんだよ帰れよ!!!

ふたりきりは難しいようです。ちゃんちゃん。



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