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あかいろどろっぷ
「総悟、口開けろ」
そう言ってさしだされたのは赤いドロップ。
さっきまで忙しいと仕事していたはずなのに、いったいなんだというのだ。
「いったいこれは何の罠ですかィ?」
心外だというように土方さんが憮然とする。
「さっき、もらったの忘れてたんだよ。俺はいらねぇから、お前が食べろ。」
甘いものはあまり得意ではない土方さんがこういうのをもらうのは珍しい。
もらったとしても机の隅に置かれたままほったらかしにしていれので、俺が食べている。
土方さんにしてみれば、弟におやつを与えてる感じなのかもしれない。
けど、いくらなんでも『あ〜ん』はないだろう。
「ほら、溶けてくるからさっさとしろ。」
じわり、とドロップが溶けてきたのだろう、土方さんが急かす。
ここは腹くくるしかない。
「しょーがねェですねィ。」
指ごと口に含んで舐める。
指についた溶けたドロップもしっかりと。
「っ!そーご!」
「なんですかィ。あんたの言うとーりアメは食べましたぜィ。」
耳まで真っ赤になった土方さんがにらんでくる。
そんな顔でにらんでも可愛いだけだって言うのに。
しかも、何この敗北感。
すごくしてやられたような気がする。
今度絶対仕返ししてやろう。
いちご味らしきドロップはなんだかいつもよりも甘かった。
END