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更新が遅れています。






タイトルの通り、しばらく『名探偵ホー』の更新を遅らせています。もうすぐ復活する!
絶対!

今スランプじゃい!

第13話『名探偵ホー 悪魔との契約』

ホーは事務所に帰り、今日解決した事件の事を全て高橋に話した。

「ま、簡単な事件だったよ」

「すいませんホーさん、聞いてませんでした。もう一度、一からお願いします」

「えー!?もう一度って、これ13回目じゃん!!」

「13回?これは不吉な事が起こりそうですね」

「もう起きてるよ!!」




ホーは、ソファーに深く腰掛け、タバコに火をつけた。

「ところで高橋くん、今日は大統領の何かのお見舞いに行ってたんだろ?」

「はい。大統領の息子の知人の兄弟の友人が通っている学校の先生の他人の孫の友人の父親だと名乗る男が入院したと聞いたので、お見舞いに行ってきました。因に彼の口癖は『俺に子供はいない!!』です」

「そうか。それで彼と君はどういう関係なんだ?」

「他人という深い関係です」

「全部つっこんだら長くなるな」



時刻はもう夜の11時を過ぎていたので、ホーは寝る事にした。
実は明日、午後1時にSLと鈴木がホーの事務所に来る。
どうやらSLは、高橋と勝負をしたいらしい。
今朝、SLから高橋宛てに手紙が届いていた。
内容は、

『高橋、明日俺と勝負をしよう。とうとう決着をつける時がきた。時間は1時だ。Would you do me a favor?(お願いを聞いていただけますでしょうか)』


ホーはこれを読んで、SLがやっと悪役らしくなったと安心した。だが、高橋宛てという事に腹が立った。







翌日午後4時、ホーはソファーに座り新聞を読んでいた。
ホーの目の前で、高橋、鈴木、SLの3人がUNOをやっていた。どうやら勝負とはUNOの事だったらしい。
ホーは悲しくなった。

彼らがUNOを初めてから3時間が経つ。ずっと睨み合ったまんま、誰も動きを見せない。

しばらくして、鈴木が口を開く。

「あたしの勝ちね」

…!?

「アンタ達のカードは全てダミーよ。隙を見て取り換えたのよ。そして今、あたしの手元には107枚のカードがある。つまりあたしの勝ちってことよ。土下座しなさいよ!」
高橋は、鈴木のその言葉に対して不敵な笑みを浮かべ答えた。

「残念でしたね鈴木さん、全てお見通しですよ。UNOのカードは全部で108枚。つまり、鈴木さんが集めたカードは全部ではありません」

「なんですって?じゃあその1枚はどこなのよ」

高橋は、自分の内ポケットから1枚のカードを取り出した。

「これがそのカードです。これはSkipカードといって、これを1枚だけ持った人間が『That's a problem.』(困りましたね)と言った瞬間、その人間の勝ちが認められるのです」

そこでやっと、ずっと黙っていたホーが口を開く。

「お前らUNOのルール知らないんだったらやめろよ!」

ホーの言葉を聞かず、SLが喋る。

「そこまでだ高橋。俺はお前を勝たせない方法を知っている。お前が『That's a problem.』と言う前に俺が『新幹線』と叫べば叫ぶほど俺はいい男になる」

「残念ですが、それは僕の持っているカードがReverseカードだった時の場合です」

ホーがまた茶々を入れる。

「お前らそのルール絶対今考えてるだろ!!」

またホーがシカトされる。

「そんなー、じゃあ今回も?」

「僕の勝ちです」

すると突然、SLが笑い出す。

「ハッハッハッハ、アーハッハッハ!」

「何がおかしいんですか?」

「あ、すまん。思い出し笑いだ」




しばらくしてSLが帰る支度をし、カッパを来て玄関へ向かった。事務所を出る直前、SLは立ち止まり、高橋に言った。

「スズメバチの件、深く関わらない方がいい」

SLの真面目な声のトーンで事務所の空気が変わった。

「どういう事ですか?」

「お前にも、知ってはいけない真実があるんだ」



………。



SLはそのまま振り向かず、外に出た。

続けて鈴木も外に出ようとしたが、立ち止まり、ホーに言った。

「その帽子、似合ってますね」

「そうか?この帽子は…」

「しゃべらないで!」

「え?」

「あたしの心はそんなに広くないわ!」

Sな部分が出てしまった鈴木は、「やっちゃった」という顔をして、ホーの事務所を出て行った。


「なんだよこの終わり方!!」


次回をお楽しみにね!

第12話『名探偵ホー 悪魔との契約』

アパートの一室で、包丁を2本、カチカチと鳴らすライブラリー松本。天井を見つめ、自分の出番を待ち続けている。

「殺す」

部屋中に包丁の音が響き続ける。


ライブラリー松本とは?

ライブラリー松本とは、小学生くらいの男の子で、分かっているのは性別だけ。その他は不明である。
ライブラリー松本が関わった事件は、必ずライブラリー松本が犯人になる、推理小説殺しのキャラクターだ。
なので、ホーはライブラリー松本がいない事をいつも願っている。






一方、H―ガスンデル探偵事務所では、今更冷やし中華を始めようか迷ってた。


この日、高橋が外出していたので、事務所にはホーしかいなかった。
ホーは一人で、一つの事件を解決していた。

それは、ホーがおいしいイチゴミルクを飲もうとした時だった。



プルルルルル、プルル〇ルル…。

事務所の電話が鳴る。
高橋がいなかったので、仕方なくホーが電話に出る。
あのいつもの警察からだった。

『どうしたんですか!?』

「どうしたんですかじゃないよ!君から電話してきたんでしょうが!今日はせっかく一人なんだから小ボケはやめてくれ!」

『さすがホーさん、話が早い。実は事件なんです。早く来てくださ…』

プツ…。



ホーは仕方なく出発の準備をした。
本当は今日一日ゆっくり乳製品を飲んでいたかったのに。


準備が整うと、

「今だ!!」

と、外に出た。
外は雨が降っており、ホーは一気にやる気を失った。早く帰ってイチゴミルクを飲みたい。

「よし!今日は省略して早く帰ろう!」

と、独り言を抜かし、カッパをきて、傘をさし、シャンプーハットをつけた。



なんやかんやあって、何とか現場に着いたホーは、何とか警察に出迎えられた。

「あ、ホーさん!待ってましたよ」

ホーは軽く手を上げた。
すると、警察は気になった事をホーに聞いた。

「あれ?何でホーさん傷だらけなんですか?」

「そこは凄く省略しているんだ。触れないでくれ」

「さすがホーさん、話が早い。今回殺害されたのは、バンドのヴォーカルです」

「バンド?」

「はい。ドラム、ベース、モンキータンバリン、ヴォーカルで結成されたバンドです」

「犯人の目星は?」

「バンドのメンバーにいると思います」

「なるほど。早く帰りたいから早くメンバーの所に早く案内してくれ、早く。」

「分かりました、遅く」

「早く」

………。


「おそ…」

「早く」

「フフッ」






警察は、ホーをテレビ局の楽屋の前に案内した。
ホーは警察に質問する。

「なぜ楽屋なんだ?」

「彼らはこの後、音楽番組に出るんです」

「ヴォーカルいないのに?」

「彼らはもともと口パクなんで大丈夫ですよ」

「いやダメだろ!いろんな事が問題になるよ!」


警察は楽屋のドアをノックした。すると中から『カモ〜ン』と聞こえたので、警察はドアを派手に蹴り開ける。中には3人がどや顔で立っていた。

そこでホーは、警察に質問する。

「死因はなんだ?」

「タオルで首を絞められ、窒息死です。被害者は怯えた表情でした。なので犯人は一回、銃で脅してからタオルで首を絞めたと思われます」

「なるほど」

「銃はまだ見つかっておらず、タオルには指紋はつかない。なので犯人が分かりません」

「よし。一回銃の事は忘れようか」


ここでようやく、警察がメンバーの存在に気付く。

「いつの間に現れたメンバー!!」

ホーはつっこまなかった。
警察は右足の靴下を脱ぎ、口を開いた。

「今からみなさん一人づつ、アリバイを聞かせて下さい」

ホーはそれを止めた。

「アリバイ?笑わせるな…。時間がないんだよ!!」

「じゃあどうするんですか?」

「私に任せろ」

ホーはドラム担当の人を指差した。

「犯人はお前だ!凶器からはお前の指紋が検出されている!」

ドラム担当の人はそれに対して答える。

「そんなはずはない。なぜならその日、肉が安売りだったからスーパーに行っていたんだ」

ホーは何も言わず、ベース担当の人を指差した。
「犯人はお前だ!凶器からはお前の指紋が検出されている!」

「そんなはずはない。なぜならその日、特に意味もなくペットショップに行っていたんだ」

「本当に?」

「うん」


ホーはどや顔でモンキータンバリン担当の人を指差した。

「犯人はお前だ!」

すると、モンキータンバリン担当の人は笑った。

「ちょっと待ってくれよ。なぜ俺が犯人だと?」

「そんなの簡単さ。ベース担当の人が犯人じゃないと言った時から、私はお前が犯人だと分かっていたんだ」

「さすが名探偵だぜ。こんなにあっさり俺が犯人だと分かるなんて…」

「認めろ!このモンキータンバリンの村上!」

「デビューした時から、俺はアイツが憎かった」

「村上、私の勝ちだね?」

「俺はヴォーカルがやりたかったのに、アイツは一人で勝手に決めやがった」

「私の勝ちだ!!」

「そして魔が差したんだ」

「お前の一番の計算ミスは私が来てしまった事だ!付け上がるな!この村上が!」

「名推理だったぜ。だがホーさん、一つだけ間違っていたことがあるぜ?」

「いい加減にしろ!」

「俺の名前は村上じゃなくて…、石川だ…」

「それは違う!」


こうしてホーは事件を解決した。


第11話『名探偵ホー 凶悪の四天王』

「じゃあ早く考えてください」

「いやいや話し合おうよ!」

「では、選択肢は二つです。爆発まで待つか、飛び降りるかです」

「結果死ぬじゃねーか!!」


ホーは考える。何かいい方法はないか。
だが、まったくいい案が出てこない。このまま死んでしまうのか…。
え!?死んでしまうの!?
うそ!?最終回!?

その時、


ゴトゴ〇ゴトゴト!!


ヘリコプターが降りてきたのだ。
中には鈴木が乗っていた。
鈴木に向かって高橋が、

「待ってましたよ。SLさんはどうしたんです?」

「あたしがヘリコプターを盗んだ時、あの人は飛行機を盗んだわ。そしてさっき無線で『わりぃ、飛行機じゃ屋上に着陸出来ないみたいだ。つーわけで俺はこのデカイ鳥を巣に戻してくる』とかかっこつけた事言って、どっか飛んで行ったわ」

「そうですか」

「助かりたいなら、あたしの気が変わる前にさっさと乗るがいいわ」

ホーは何も言わず、真顔でヘリコプターに乗り込んだ。

高橋はリン岡田のもとに駆け寄った。

「早く乗りましょう」

「いや乗らない」

「どうしてですか?」

「なんで私を助けようとするの?私はあなたを殺そうとしたのよ?」

「ですが僕は死んでません」

「そうね!」

リン岡田はさっさとヘリコプターに乗り込んだ。
最後に高橋も乗る。
こうしてこの事件は幕を下ろしたかのように思えた。
しかし、ヘリコプターが動く直前でホーがヘリコプターを降りたのだ。

「何してるんですかホーさん!?」

「まだ仕事が残ってたみたいだ。先に帰っててくれ」

「何を言ってるんですか!」

「私はここに残ると言ったんだ」

「何を言ってるんですか!ヘリコプターの音でまったく聞こえないです!」

鈴木はホーが降りた事に気付かず、ヘリコプターを飛ばした。

屋上に残ったホー、何も考えず降りてしまったが、何をしたらいいんだろう。
ホーは爆弾を見つめる。


残り5分。


どうしよう!
あ!どうしよう!
いざこうなるとテンパる。
ホーはとりあえずSLに電話をするこにした。
携帯を手に取り、電話を掛けた。


電話越しにコールがなる。

早く出ろ!早く!


ようやくSLが電話に出る。

『もしもし、ホーか?すまんすまん、ハムスターにご飯あげてた。どうした?ヘリに乗らなかったのか?』

「ああ。あれは3人乗りだったからな。爆弾はどうやって解除するんだ?」

『それ言われると思ってその爆弾調べたぞ。それはちょっと複雑でな。まずはフタを開けろ』

ホーはフタを開けた。すると中はコードだらけだ。

「どうしたらいい?」

『まず黒のコードを全部切るんだ』

言われた通り、ホーは黒のコードを全部切った。

「そしたら?」

『左側の黄色いコード二本と右側の緑色のコードを切れ』

言われた通りにする。

「で?」

『時間が表示されてる所に繋がってる白のコードを切れ』

ホーは白のコードを切った。すると時間が止まった。

「止まった!」

『いや、止まったのは表示されてた数字だけだ』

「時間が分からなくなっただけか!?」

『そうだ。そのコードは別に切らなくてよかったコードだ』

「じゃ何で切らしたんだよ!」

『その方が安心だろ』

「いやいや!めちゃくちゃ不安だよ!」

『まあいい、そうすると残るコードは赤と青と紫の3本だ』

「どれを切ればいい?」

『それが分からないんだ。確率は3分の1だ。つまり正解は1つ、それ以外は爆発だ』

「そうか。お前だったらどれを切る?」

『全部切るね』

「聞いた私がバカだったよ!」

ホーは電話を切った。

「さて、どうするか」

コードを切っても、爆発する確率の方が高い。だったらあと3分くらいを生きるのも悪くない。
ホーは、持っていたタバコに火をつけた。ホープ(希望)の煙が空へ消えていった。








一方高橋は、リン岡田を家に帰し、事務所で鈴木と二人きりになっていた。

しばらく沈黙が続くと、鈴木の携帯電話が鳴り出した。どうやらSLかららしい。
鈴木は電話をしに、外へ出る。

事務所に一人になったパンツ一丁の高橋はテレビをつける。


『…以上、どうでもいいニュースでした。

続いてのどうでもいいニュースです。
昨夜12時頃、六本竹ヒルズで原因不明の爆発事故がありました。警察は何らかのガスに火が引火したのではないかと見て捜査を続けています。
詳しい情報はまだ入ってきていません。情報が入り次第お伝えします。

続いてはスポーツです。
猛暑の中、嶋崎選手が見事な野外プレイを見せてくれました…』


高橋はテレビを消した。


考えろ、考えるんだ。
まさかの計算ミス、情けない。
何が間違っていた?
全て計算通りに進んでいたのに。


でもホーさんは生きてるはずだ。僕の頭の中で何かが引っ掛かっている、何か見落としている事があるんだ。

高橋は屋上での事を細かく思いだす。

するとそこに、電話が終わったのか鈴木がやってきた。
高橋に声をかける。

「SLさんが高橋君に『ホーはガルネランのようだった』と伝えてくれと」

ガルネラン?

「なるほど!」

忘れていた。屋上にいた時に、リュックのような物が落ちてきた。あれはリュックじゃない。

「何が分かったの?」

「屋上にいた時、変な物が落ちてきました。そこには『守る』『落ちる』と書いてありました。フランス語で守るはpara、落ちるはchute、それを組み合わせた言葉がParachuteです」

「パラシュート?」

「ええ。そしてガルネランという人物。彼は人類初のパラシュートを成功させています」

「なるほど。つまりホーさんは…」

「生きています。ホーさんは昔、フランスのストラスブールで暮らしていました」

それを聞いて、鈴木は目を輝かせながら言った。

「じゃあホーさんは、その暗号がすぐに分かったからヘリを降りたのね!」

「……」


ちょうどその時、事務所のドアが開いた。

「遅かったですねホーさん」

「コーヒーを選んでいてね」

しばらく間をおいてホーがまた口を開く。

「危険な所に命がけで助けに来てくれてありがとな」

「いいえ。まだ最終回は早いので」

「理由が!!」


まぁどんな理由であれ、みんなに感謝しなくてはな。


「高橋くん、気になっていたんだが、さっき屋上で途中『ダイジョブ?』って入ってきた奴。
あいつ誰だよ!!」

「知りません」








それより、パラシュートの件!
あの暗号はなんだ!
分かりずらいよ!!

爆発ギリギリでSLが電話して教えてくれなかったら…。




第10話『名探偵ホー 凶悪の四天王』


カチャ


「クソッ!あいついつの間に!
俺の銃の弾を全て抜いて行きやがった!!」

「まったく、大胆な事するぜ!!」



高橋は非常階段の扉を蹴り開け、エレベーターのボタンを押し、エレベーターが来るのを待った。

しばらく待つと、エレベーターのドアが開いた。中に入り、エレベーターガールに言う。

「54階までお願いします」

「分かりました」

エレベーターは上にあがって行く、密室の空間にエレベーターガールと二人きり。

「見事な変装ですね鈴木さん」

「やっぱりバレてたか」

「ここは1階です。それなのに僕はエレベーターが来るのを待った。エレベーターガールは乗客がいなければ1階で待機しているのが普通。このエレベーターはハッピーフェイスの人間しか使用しない。今は非常事態、素人集団は非常事態にエレベーターは使いませんから」

「さすがね」

「いいえ。どうしてここにいるんですか?」

「やっぱり一人じゃ危険だからとSLさんがこれを渡してって」

鈴木は高橋にスイッチらしき物を渡した。

「なんのスイッチですか?」

「知らない、SLさんが危なくなったら押してって」

高橋はすぐにスイッチを押した。すると、スイッチの裏のスピーカーから、

『ガンバレ!ガンバレ!ココロノササエ。ニッポンノオイシイタベモノオイシイ。イジョウ、牧田祐太郎デシタ』



………。



途中、エレベーターが33階で止まる。ドアが開くと、赤と青のヒーローっぽい人が立っていた。

「俺達は、悪の組織をぶっ倒す、勝ち組戦隊π勝ち組レンジャーだよ!」

「そうですか」

「勝ち組パワーを炎に変える!勝ち組レッド」

「水!勝ち組ブルー!」

「そうですか」

「毎週日曜日朝7時から放送しているよ!見ないと切り刻んで豚肉と一緒に料理屋さんで提供するよ!更には…」

勝ち組レッドが喋ってる最中に鈴木がエレベーターの【閉】を押す。
ドアが閉まり、また動き出す。


次は45階でエレベーターが止まり、ドアが開く。
そこにはまた、先程の二人が立っていた。

「やっと追い付いたよ!さすがにヒーローも階段をダッシュするのはキツイとこあるよ!」

「そうですか」

「俺達は勝ち組な感じで悪をこてんぱんに倒すよ!」

「色は二色だけですか?」

「いいや!違うよ!あと55色がいるよ!でも今日はみんな勝ち組な理由があって来れないよ!他にも…」

勝ち組レッドが喋ってる最中に鈴木がエレベーターの【閉】を押す。
ドアが閉まり、またまた動き出す。



54階に着きドアが開く。
高橋は、エレベーターを降りて、ちょっと階段を上がった所にドアを見つけた。きっとここを開ければ屋上だ。

高橋がドアを開けようとしたその時、

「待て!!」

後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこにはヨボヨボのおじいちゃんが立っていた。

「あなたは?」

「ワシは四天王の一人、ポールだ」

「あとの3人は?」

「さっき寿命で死んだ。そこから先は行かせんぞ!!お前を行かせたら、死んだ仲間に申し訳ねぇ」

「そうですか」

高橋が帰ろうとすると、

「うっ!!う゛…くっ…、寿命が…。ワシの負けじゃ、行くんだ若僧…」

「分かりました」

高橋は、ドアノブに手をやる。

SLさんの言うように、このドアを開ければもう後戻りは出来ないでしょう。だったら前に進むだけです。


高橋はドアを開け、屋上に出る。そして、ドアが閉まる。

ガチャン

この音、オートロックか。犯人は自分も死ぬつもりなのだろう。

屋上には、ロープでぐるぐる巻きにされているホーの隣に、セミロングの女性が立っていた。


「やっぱりお姉さんでしたか」

「そうよ。よく来たね高橋」

「ホーさん、紹介します。この人は僕の姉で、名前はリン岡田です」

ホーは高橋の言葉に驚く。

「君達姉弟だったの!?それと今紹介されても困る!!あと名前おかしいだろ!!」

「お姉さん、何故こんなことを?」

「お前を殺すため」

「理由を聞かせてください」

「いいわ。幼い頃父が死んで、私達は母に育てられた。
高橋は生まれた頃から何でも普通に出来ていた。そんな高橋に母は優しかった。
それなのに、私には愛情を一切注がなかった。リン岡田なんか死ねばいい、そう思ってたはずよ。
小さい頃、私が頑張ってキュウリを鼻に入れようとしていた時も、母は頑張れの一言もなかった。それどころか、どや顔で3匹のウサギを鼻に入れていた。
そんな母を、私は許せなかった。
そして大きくなった私は、夢を追っかけ家を出て行こうとした時、母は何も言わなかった。
一人暮らしを始めても一切連絡などなかった。
いつしか私は母を殺す事を考えていた。だが、帰ってきたら母はすでに死んでいた。
だから私は、母の息子である高橋を殺そうと思った」

「そうですか。ではその前に、これを読んでください」

高橋はパンツの中から一通の手紙を取り出すと、リン岡田に渡した。
リン岡田はその手紙に目を通した。

『リン岡田へ
一人の生活は慣れた?元気にしてる?ちゃんとご飯、もしくはパン食べてる?
今さらそんなこと聞いてもしょうがないわよね。もう大人だものね。思えば母さん、一度もあなたにお母さんらしい事してなかったわよね。会って謝りたい。

たまには顔を見せにおいで。そしたら』


「手紙はそこで終わりです。途中で、今さら送れないと諦めたのでしょう。その手紙は病室のゴミ箱に入っていました」

「病室?」

「ええ。母は昔から心臓が弱かったんです。あなたが家を出ていってすぐに入院しました。
母が親らしくなかったのは、あなたが一人で生きていけるようになってほしかったんだと思います。
母は、当時から自分が死ぬ事を分かっていたのでしょう。だから夢を追っかけて家を出ていったあなたに何も言わなかったんです。いや、何も言えなかったんです」

「じゃあ私が勝手に…」

「その手紙の他にも、似たような手紙が何枚も捨てられていました」

リン岡田は膝から崩れ落ち、泣いた。

「ダイジョブ?」

「母はあなたの小さい頃の作文や、なんやかんやを抱き抱え、亡くなっていました」

リン岡田が泣き崩れていると、やたら低空飛行している飛行機が、ビルの上を通過した。
その時、上から何かリュックのような物が落ちてきた。
そこには『守る』『落ちる』と書かれていた。


「そんな事より爆弾はどうする!!爆弾どうすんのよ!!」

ホーは、そう叫ぶと自分でロープをほどき、爆弾を覗いた。
爆弾には、残り20分と書いてある。

「中途半端!!もっとなんか残り5分とかならストーリー的にも面白いのに!!」

「そんなに早く死にたいのですか?」

「違うよ!残り5分という緊迫した状況で脱出方法を考えたいの!20分あったら全然緊迫してないじゃん!むしろ生かさず殺さずだわ!つらいわ!」
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