17/11/13 23:01 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。15
話題:妄想を語ろう
澄んだ青空に暗闇

ヌワリと現れる月人

「こんな早くから」

呆然と呟くルチル


その存在に気付かず草花に 夢中の
〈にんげん〉


「危険です!此方へ」

ルチルの緊迫感を帯びた声に漸く空を見上げる


「ルチル逃げて!私は人間だから大丈夫」

月人達に背を向け

叫ぶ〈にんげん〉


月人達が矢を放つ 刹那


「違う!」


叫び駆けるルチル

無数の矢が
〈にんげん〉に向く

その背後、金剛先生の振りかざした手に月人は霧散する。


しかし
放たれた一本の矢が
〈にんげん〉の右頬を傷付け消えた。

「貴方を守れなくて済みません‥」


「い、いえ‥私は大丈夫です」


頬に伝わる血


初めて目にした血は
医療的興味よりも、心に何とも言えない痛々しさを残した


呆然と立ち尽くす
〈にんげん〉に寄り添う
ルチル


「貴方は月人と何か因縁でも‥」

金剛先生の目は身体を射抜く様に


鋭く、静かに問う


「‥はっきり見たのは今が 初めてです」

「と言う事は、以前何処かで遭遇したのですか‥?」


ルチルの疑問


「‥!もしかして」


浜で倒れていた、その前に


「‥ごめんなさい‥はっきりとは思い出せません」



ポタリと腕に落ちる

「理由が分からない内は外に出す訳には行かない」


金剛先生の言葉に

落胆する
〈にんげん〉


「さ‥行きましょう」


背中に置く
ルチルの手が優しい

「ルチルごめんね‥ありがとう」


頬の血は赤々と

ルチルをかき乱す

0




*#

[top]
-エムブロ-