18/01/14 23:13 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。36
話題:妄想を語ろう
雑踏


朝の通勤ラッシュ


灰色の世界


沢山の靴の音

その騒がしさに
心がざわめく


カッチリしたスーツに身を包む〈私〉


匂いの無い世界で‥忙しなく動き回る


心削れる感覚はある

『だけど』


その細かな出来事は思い出せない


ただ、嫌な感覚


不快感‥
身体中を巡る悪意


その思いを強く抱いたまま浮上する


目を開け


生々しい感覚が薄く
存在感が無くなる


「‥寝てたんだ」


戻り方も確定せず


この世界でも稀で、中途半端な存在だという自覚


「‥はぁ」


太陽は燦々と

「さっきの太陽とは違うなー‥でもあの太陽が」


私の世界のモノ


「灰色の世界に見えていたんだ‥」


もしかしたら
あれは希望の道‥?


その道が彼方に繋がらないのも


私がルチルの目の前に落ちたのも


「‥うーん」


想いの強さ
彼方への拒否


考え込む彼女の耳に柔らかい声


「ごめんね。ノックしたけど返事が無かったから‥」


眩い光を零しながら ダイヤモンドが微笑む。


「指、もう大丈夫?」

彼女の手を取り

触れてチェックする

「良かった。もう‥心配したんだから!」

肩を抱き安堵の表情

「ご、ごめんね‥」

ほとんど挨拶も無しに消えた事


戻って来たと思ったら穴から落ちて怪我

「ホント‥ごめん」

「ううん、無事ならいいの」


ダイヤモンドの髪を風が揺らす


虹色に反射する光


「‥あの世界は輝いていなかったな‥」

ぼんやり呟く


「あの世界?」


諦めた表情で頷く

不完全な
〈にんげん〉


「前に説明してくれた、貴方の世界の事よね?」


「‥前、説明って私したっけ」


「うん。してくれたわよ」


「‥‥?」


彼女の様子に目を見開く
ダイヤモンド

「記憶無くしているじゃない‥全然覚えてないの?」


「うーん‥あ、夢で断片的なのを見た」

「それってハッキリ覚えてる?」


考え込む彼女
「ルチルはこの事?」

「ううん‥バタバタしてたから言っていない‥というか私、自覚が無かった」


彼女の告白に困惑する
ダイヤモンド‥


2人の落胆と不安に 対し
安穏と輝く太陽

花は咲き鳥は舞う

平和な1日

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