18/01/21 21:41 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。37
話題:妄想を語ろう
「空気が綺麗‥」


夜明け前

少し歩きたくて外に出る。


冷たい空気


葉を揺らすと無数の露がフルフルと零れ落ちる。


「どうしよう‥」


あれから雨が降らない。晴れている日に暗い穴は見えない


「雨が降らなくてもあるのかしら‥」


暗い穴


考え込み天を仰ぐ


「おい!貴様っ」


突然背後から突き刺さる鋭い声に驚き


駆け出す にんげん


「待て!」


声より速く


声の主が彼女の背後に立つ


怪しい者を逃すまいと、
うねり


行く手を阻む
漆黒の髪


「お前は誰だ」


振り向けない、怖い

「顔を見せろ」


砕かれる‥!!


ボルツが強引に彼女の肩を掴む


ミシリ‥


宝石になりたての身体は簡単に悲鳴を上げる


「なんだこの感触‥お前」


服を掴み
振り向かせる

「‥‥なんだ?」


象牙に似た宝石

ただし層は薄く脆い

そして

その大半は見た事も無い物だった


初めて目にする存在
異形のモノを凝視するボルツ

「あ、あの‥私」


粉々に砕かれる恐怖

動揺し、今まで存在を沈めていた心臓までも早鐘を打つ


射抜く様な視線は疑念に満ち


即座に打ち砕くか

‥恐らく金剛先生に指示を仰ぐか
決めかねている様に見えた


「お前は」


訝しむ口調のまま 詰め寄るボルツ


「此処で何をしていた‥!? お前は何者だ」

異物、異形


此処でも、彼処でも

微細に砕けた肩を庇いながら座り込む


見なくても分かる


鋭く冷たい瞳に
射抜かれている


見られない砕け散る

頭上で剣の抜かれる音がする


見られない、怖い


でも

砕けたら‥もう悩まなくて良いのかな。

耳に痛い程の音


「良く斬れる剣だ‥。痛みは多分、ない」

ダイヤモンドに

また挨拶出来なかったなぁ‥ ルチルにも、なにも

もう上は見ない

中は今も完全には宝石化していないから‥この世界を汚してしまうのは悪い気がするな


剣を構える気配

目を瞑り静かに受け入れる


フォン‥ッ


遠くでダイヤモンドの声が聞こえる


叫び声と
自身から聞こえる


宝石と肉体の叫び声

象牙質の滑らかな色に

生々しい人間の赤々とした色が混じり流れる。

0




*#

[top]
-エムブロ-