20/02/26 00:18 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ドウデモイイハナシ 傍観
話題:妄想を語ろう

気紛れに 花を手向ける鬼畜さん

「気紛れとは失礼な」

季節によって花を

様々な花を手向ける

「彼女の好きな花?知らないんだ」

既に 天に昇った女性は

「別に、いつも通りにしようとしただけ」

いつも通りとは

出会い 親切を施す事

鬼畜さんの親切

「でも突然逝ってしまってね」

穏やかな散歩道に散らばる菊

墓参りの途中 あの世に引かれた

「実は‥息、あったんだよね」

虫の息 風前の灯火

珍しく逡巡した鬼畜さん

「‥不思議なんだ。彼女の死は曲げたくないって思った、だから」


手が出せなかった

菊の香る

髪の懐かしい匂い

彼は か細い息の彼女が

その存在こそ愛しいと考え

命の炎が消えるまでそばに座り

髪や手に触れる

「瀕死の彼女を異形にするのは容易い」

だけど‥

どうしても出来なかった


「だからまぁ彼女の分まで他の人間を幸せにしようと思ったんだよね」

そう言うと無邪気に笑い
姿を少年に変えて走り去る

「向こうに困っている人がいるから!じゃーね!」

黙って聞いていた鳥は

ピィと鳴き


天高く舞い飛んだ







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