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樹木を愛でる際、その樹木全体の姿を「樹形」(じゅけい) と言うが、それは幹,枝,根,のみならず、葉も含めた姿を指している だけれど、冬になると気づくのだ‥ 落葉樹が葉を落とし、枝だけと成っている時の姿の何と美しいことか 豊かに繁った葉の中に隠されていた枝が顕になり、地表にまで張り出している根,そして太い幹から枝先に至るラインの美しさは、再び新緑の季節となる前までしか味わえない その樹木の種ならではの葉の形で飾られた樹形も言うまでもなく美しいけれど、枝振りの美しさは、その樹がそれまで辿って来た年月で創り出した極めて芸術的な姿なのである 僅かな年月では築けない美しさ 雨が降ると、幹や枝が黒味を増して見える 基本となっている古い幹や太い枝は より黒く そしてモミジの木を眺めると、比較的新しく展開してきた枝は緑色を帯びているが、雨に濡れると 面白いことに その緑の枝の鮮やかさが増すのである 木肌は茶色いものだなんて思い込んではいけない 同じ樹が 黒と緑に色分けされている姿は、葉を落としている冬の間の雨の降っている日 限定の美しさ こういうのは、若い時には中々気づけないものだし、味わっている時間も持てないものだからね 程々に長めに生きてみるのも悪くない それで‥ 長い年月かけて表れている今の自分の枝振りは どうなっているかって話だ 雨が降って枝振りがより顕になっても、誰から見られても自信をもって堂々と御披露できる姿‥ そんな人生の軌跡でありたいものである |