穏やかな風が吹く。柔らかなそれは室内へ入り込み鷺草の花をくるりと揺らした。

膝の上で眠る竜王に、知らず微笑みが溢れる。どんな夢を見ているのか知らないが、普段表情の固い彼が僅かに口角を上げていることから、きっと幸せな夢なのだろう。

不意に身動ぎ眠りから覚めた彼の頭を撫で、アーカンジェルは訊ねた。


「おはよう、ウランボルグ。幸せそうに眠っていたけれど」

「……幸せそう、だったか?」


うん、すごく。頷いたアーカンジェルにウランボルグは目を細めた。


「アーカンジェルがいたんだ」

「私が?」

「そう。アーカンジェルが笑っていたから、俺も嬉しかった」


アーカンジェルの幸せが、自分の幸せ。そう豪語する竜王に、アーカンジェルは小さく感謝の言葉を呟いて、その愛しい伴侶に啄むような口付けを落とした。










夢でも貴方を想う。
(それは一途な恋のシルシ)




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