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5分で読める!ひと駅ストーリー 降車編

『5分で読める!ひと駅ストーリー 降車編』
編集 「このミステリーがすごい!」編集部
発行元 宝島社
ISBN 978-4-8002-0086-0

【全裸刑事チャーリー 恐怖の全裸車両】七尾与史
全裸で外に出ても良いという社会になり、全裸でいるからこそ痴漢が増えてしまったという社会で、痴漢を捕まえる為、自ら全裸になり痴漢車両に乗った。おっさん同士で円になって痴漢をしてるという結末。なんか、勝手にやってろって感じなんだけど、馬鹿馬鹿しくて笑えた。

【緊急下車】林由美子
いつも同じ時間に会う女性に惹かれていた日雇いの男は、人身事故の為停車した電車内で女性に話しかける。そこで女性は連帯保証人になった借金を返す為、風俗で働いている事を知り、連絡先を渡す。
女性が男だと思って掛けた電話番号は警察の懸賞金がかかった犯人の通報電話で、日雇いの男は捕まる。

【二本早い電車で。】森川楓子
女子校に進学した私は、同じ中学だった男の子から誕生日前日に電話で、二本早い電車に乗れと言われる。翌日、その通りにすると反対方向の電車が丁度、自分の乗った電車と交差した。
窓ガラスに貼られた誕生日オメ!というメッセージを見た直後、私の乗った電車は事故に遭い、私は死んでしまう。
その後十年間ずっと、私と約束した日時に反対車両に乗る男に手を振り、恨んでなどいないよと思うのだが、伝わらないのだ。

【定年】塔山郁
会社を三年でやめた後、引きこもりとなった息子に、今年で定年するから年金だけでは暮らしていけない。頼むから働いてくれといった内容の手紙を息子に書いた父。
しばらくして職安の封筒を抱えて帰ってきた息子が父に渡したのは、父の再就職先の面接予定だったのだ。

【物騒な世の中】佐藤青南
私って妊婦に見えるのかな?突然、電車で隣に座るスーツ男に話しかける。男は君は妊婦の声じゃないと言い、君におばさんが席を譲ったのは、反対隣に座ったおじいさんの財布を盗んだからだと言い、おじいさんをおばさんが降りる前に起こせと言う。
男は君に、僕が盲目だから聞いたのかと尋ね、家出などせずに家に帰るよう諭すのだった。

編集ガール

出版社の経理職員である久美子は、ワンマンだが先見の明がある社長から出された、何でも良いから企画を出せという宿題で読んでいた女性誌をそのまま写した内容を書いたところ、社長の目に止まってしまう。

新雑誌を作るという企画を元に、やった事もない編集長に抜擢された久美子は、先輩社員で彼氏の学と共に、分からないなりに進めていくのだが、編集をやった事のある学のやり方は、女性目線ではなかった。
学との関係も上手くやりたい、何も分からない自分が前に立てば企画を前に進める事も出来ない。ジレンマを抱えていたが、やはり仕事を優先し、自分の思う通りにやる。

雑誌を無事に刊行し、さぁこれからだという時、久美子は学の子供を妊娠する。久美子の事を考え退職し子育てをするという学に応援され、久美子は編集長としてこれからも歩んでゆく。



『編集ガール』
著者 五十嵐貴久
発行元 祥伝社
ISBN 978-4-396-63397-4

不祥事

花咲舞が黙ってないの原作です。
融資課員だった相馬健は上司のミスを押し付けられ、本店の臨店班に飛ばされる。その後、女性行員もいた方が聞き込みなどがしやすいという判断の元、元窓口行員の花咲舞が相馬の部下としてやってくる。花咲舞はびっくりするほど美人だが、正義感の塊で相手が上司であろうとも物申す跳ねっ返りであった。彼女と共に仕事をする内に、相馬も波風が立つことも良いのかもと思い始める。

優秀な女子行員を人件費がかかるのを理由に退職に追い込んでいる支店。
客とグルで誤払いを起こさせ銀行から金を引き出そうとする支店長。
取引先の御曹司を行員として迎えたものの、個人的な恨みから融資を断り倒産させようとした御曹司行員。
女子ロッカーを金融庁検査と称して荒らす役人。
健康食品詐欺に誤払い。
そして、御曹司行員が銀行を辞めたいが為に起こした、実家の社員達の給料不払い。

花咲舞と相馬は今日も不正を成敗する。

『不祥事』
著者 池井戸潤
発行元 実業之日本社
ISBN 4-408-53461-7

黄昏の百合の骨

連れ子同士の再婚だったおばあちゃんが、血の繋がらない娘二人と暮らしていた通称・白百合荘。おばあちゃんが階段から足を滑らせ亡くなり、遺書には孫の理瀬に、白百合荘を処分すら前に半年暮らすようにと書かれていた。遺書に従ってイギリスから留学を取りやめやって来た理瀬は、おばあちゃんは娘の梨南子か梨耶子のどちらかに殺されたのではないかと考えていた。

生前、おばあちゃんと手紙のやり取りをしていた理瀬は、おばあちゃんがジュピターと名付けたあるものを二人に気付かれないよう探していた。おばあちゃんの一周忌を間近に、従兄弟の稔による、ジュピターはこの家に災いをもたらすもので、家を処分する前に見つけ出し、極秘で処分しなければならないものだと聞かされる。

誰も信用できないと思った理瀬の周りでは、転入先の高校で仲良くなった隣の家の朋子や、その幼馴染み、朋子の弟により、白百合荘が魔女の家と呼ばれる所以や、二人の姉妹が怪しい事を知る。

信頼していた朋子に惚れていた男が、行方不明となってしまった事で、朋子は情緒不安定となり理瀬は更に一人になってしまう。そんな時、おばあちゃんの一周忌をお寺で終えて帰ってきた理瀬達が見たのは、ジュピターを金目のものだと勘違いした梨耶子が庭で事切れている姿だったのだ。

『黄昏の百合の骨』
著者 恩田陸
発行元 講談社
ISBN 4-06-212332-0

朋子に突然呼び出された理瀬は、朋子こそが付きまとっていた男を、白百合荘の井戸に突き落とし、その犯行を理瀬にみせかけようとしていた人物だと知り、驚愕する。幸い男は井戸の中で衰弱していたが生きていて、男と朋子の記憶は稔により改竄される。

朋子が井戸だと思い込んだ白百合荘のある場所には、金木犀が咲いていた。そこでジュピターは木星と金木犀をかけたヒントだったと気付いた稔達は、白百合荘がかつて軍を退官したと見せかけた軍人が作った諜報施設だと知る。

部屋の全てには盗聴システムがあり、かつてここを会談場所や娼婦を宛がい枕物語を聞き、用済みとあらば井戸で死体を溶かしていたのだ。
おばあちゃんはそれを知り、夫を軍人と同じように溶かして殺し、その臭いが分からぬよう、百合の花を沢山植えていたのだ。

全てを知った理瀬は、白百合荘を出る事となる。白百合荘を取り壊す事になり、梨南子と共にゆったりとした時間を過ごしていたはずの理瀬は、梨南子に殺されかける。そう、梨南子は理瀬の婚約者と相対する組織から雇われた人間で、理瀬を殺すよう依頼されていたのだ。
間一髪で稔と幼馴染みに助け出された理瀬は、飛び降り自殺をした梨南子を横目に、自分も魔女の顔をしている事に気付く。


白百合荘を取り巻く人々の中で唯一、明るい道だけを歩いてきた亘を、理瀬はこんな風に思う一文がある。

“人は同じ場所には留まれない。それぞれの歳月に連れ去られ、違う場所で別の人間になっていくのだ”

白百合荘の奇妙な一面に、亘だけはふれさせまいとした理瀬は、亘に良い思い出だけを作ってやる。それが優しくて残酷だった。

ヒポクラテスの誓い

単位の為、法医学教室に研修医として入った真琴は、死体フリークのキャシー准教授や、ミスター権威と呼ばれる光崎教授と共に、死体と向き合う事となる。今まで楽で綺麗な部署ばかりを渡り歩いてきた真琴は、光崎教授に全く相手にされず、見かねたキャシーは医学の父ヒポクラテスになぞり、患者を生者と死者で区別してはならないと説く。

酔い潰れて外で眠ってしまい死亡したと警察が判断した死体だったが、光崎教授は男の着ていた高級な服と、手に持っていたのであろう安価な酒を見て、事件性を主張し解剖する。初めての解剖に圧倒される真琴は、そこで警察が見落としていた、睡眠薬を盛られて殺されたという真実を導き出すのを目の当たりにする。

相変わらず真琴など虫けらの様に扱う光崎教授だったが、公開していない法医学教室の電話番号を調べ、父の無実を証明してほしいという9歳の少女に付き合ってこいと、真琴とキャシーを放り出す。
身内を交通事故で亡くして以来、慎重すぎるほど慎重な運転を心掛けている父が、自転車の女性を轢き殺したとして、警察に捕まっていた。解剖を警察がすると決めない限り、かかる費用は全て被害者持ちである。人手もお金も不足しているので、お金を費やし解剖したとしても、日本人の感情をおもんばかっているとは言えない状態での作業となると知っていた被害者遺族は反対したが、検視官の見立てを読んだ光崎教授は、Aiをすると嘘をついてまで解剖をする。その甲斐あり、女性は交通事故の前に病死しており、そのまま車の前に飛び出したので、ブレーキ痕がなかったのだとわかる。光崎教授の絶対的な見立てに驚く真琴は、法医学の一員として自分を捉えているのに驚く。

ボートレース中に事故死したレーサーについて、ボートが大破し事故の様子のビデオもあった事から、検視担当の医師は解剖せずに解剖した記録を作った。光崎教授の意向でまたもや派遣されたキャシーと真琴は、解剖の必要があるか判断に向かい、光崎教授が解剖すると、目に異変があった。
視力を失なう事を知ったレーサーは、レース中に事故死すれば退職金が跳ね、死亡保険金も満額出ると分かっていた為、自殺した疑いが出てきた。解剖したと偽装した医師は処罰される。

真琴はマイコプラズマ肺炎にかかってしまった親友を、見舞いついでに経過を見に通っていた。マイコプラズマ肺炎はペニシリンが効かず、普通の肺炎との見分けが付きにくい厄介な病気であり、親友がマイコプラズマ肺炎だと分かった頃には大分進行してしまっていた。
母子家庭で満足な収入とは言えない家庭環境では長期入院は難しく、自宅療養をしているのだが、中々改善しないまま年月だけが過ぎ、とうとう急変して亡くなってしまう。親友の死を前に悲壮感漂う真琴に光崎教授は、親友を解剖するから承諾をとってこいと言い、真琴は医師としてではなく反論してしまう。医師として考えられていないと判断された真琴は、光崎教授にはずされキャシーが承諾を取りに向かうが、日本人ではない彼女はこういう事にあまり向いてはいないようで、承諾をとれずに帰ってくる。
その後、キャシーや光崎教授の法医学に対する覚悟を知った真琴は、親友の家に向かい、そこでとっくに飲みきっているはずの薬を見つける。自分に関心を引き寄せる詐病・代理ミュンヒハウゼン症候群に、親友の母は当たるのではないかと考えたキャシーは警察に連絡し、火葬場に遺体が送られる前に抑える事が出来た。
解剖の結果、マイコプラズマ肺炎ではなかった事が分かるが、やはり代理ミュンヒハウゼン症候群の母により意図的に死期を早められていたのだ。

大学病院内で死亡した患者について、不審な点があると感じた真琴は光崎教授の様にアウトローなやり方で遺体から血液を抜き検査する。するとやっぱりおかしな点があり、光崎教授に解剖をしてみたいと伝える。
順番もセオリーも越えたやり方であり、警察と大学病院を巻き込んで揉めるが、光崎教授が警察に恩をうっていたお陰で解剖をする運びとなる。そして光崎教授は最近取り入れられた新薬が、組み合わせに寄っては死亡するリスクがある事を突き止める。

元々、単位が足りないからとやってきたはずの真琴は、津久場教授のスパイとしてやってきて、光崎教授の動向を逐一報告していた。津久場教授も使っていた新薬の危険性にいち早く気付いていた光崎教授は、確証を持てたら津久場教授に使用を止めるよう忠告するつもりだったのだ。
スパイであった事を白状した真琴は、光崎教授の元にまだおいてほしいと頼む。すると光崎教授は勝手にし給えと言い去っていくのだった。法医学の道に真琴が改めて進むのだろう、スッキリとした最後でした。

『ヒポクラテスの誓い』
著者 中山七里
発行元 祥伝社
ISBN 978-4-396-63467-4
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