『格闘スタンプものに〇』
著者 三浦しをん
大学生の主人公は、政治家の家系だが出版社に勤めたいと思っている。
腹違いで高校生の弟も、政治家の地盤を継ぐつもりはないのだが、親族達はどちらかが継ぐものだと考えており、親族会議まで開かれる。
諦めてもらうため、家出した弟や、出版社の内定をもらえなかった私は、恋人であったおじいさんを見送りながら、自分を振り返る。
出版社の筆記試験で、該当するものに〇をという文章が読めなかった社員を見て引く姿とか、大学生とはいえバイトにサークルにと忙しくしていたわけでもない事とか、やけにリアルでした。
『追想五断章』
著者 米澤穂信
亡くなった父が残した、自筆の小説の最後の一行。その5篇の全容が知りたくて、父の蔵書が売られたという古本屋にやってきた女性。
父が亡くなり学費が払えない為に休学していた俺は、お金に目がくらみ店主である伯父に黙って、小説を探すことを引き受ける。
探していくうちに、女性は小説を探すことで何か別の目的があるのだと気づく俺は、作者が海外生活の中で妻を銃殺した疑いを持たれ、日本で話題となった人物だと知る。
どれも妻と子供が出てくるその小説は、女性の疑問、自分が母を殺してしまったのではないかという答えを隠すため、最後の一行が別々の物語に振られていたものだったのだ。
『705号室 ホテル奇談』
著者 塔山郁
おくだりさまという神様のような化け物を祀っていた旅館の悲劇から始まる怪談。
怖くて流し読みしてしまった。
『夏の名残りの薔薇』
著者 恩田陸
お金持ちの令嬢達が、毎年必ず屋敷に集まっては嘘のような本当の混じった話をする。
奇妙で悲しい話
『子どもたちは夜と遊ぶ』
著者 辻村深月
“なりたいものになるためには、きちんと生きていかなければならない。
簡単にはリタイアさせてもらえないのだから。”
きちんと生きるって難しい事を知ってるからこそ、より重みを感じた。いつか誰かの、大好きで泣かせたくない存在になれたらいいな。