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後悔と真実の色

「後悔と真実の色」
著者 貫井徳郎


こちらに刺激を与えてくれない人間とは、時間を共有する価値がない。
そんな考えを持ち常に犯罪者を捕まえることだけに時間を費やしてきた西條は、そのために同僚に無茶を強いり、家族を顧みず、冷たくなった家庭から逃げ愛人を作った。多分、世の中には結構ある話だが、西條は敵を作りすぎた。
ある殺人が起こった時駆けつけた交番の警察官は、幼い頃、父親の不倫相手に自分の目の前で母親を滅多刺しにされ殺された過去を思い出し、殺人を引き継いで指蒐集家となって不倫をしてる女を相手に連続殺人を起こす。
やがて西條は捜査の過程で浮かんできた官僚の娘を、上層部から止められているにも関わらず追いかけ、警察を退職することになるが、それからも事件を追い続ける。
西條に暴力を振るわれたことで逆上した指蒐集家は、西條の不倫相手を殺し、西條の娘までも殺そうとした。かつての警察のツテで娘を助けた西條は、元妻から妻の人生を奪い愛人の命を奪い娘の命までも危険に晒す疫病神だと言い渡されてしまう。

最初はよくある警察小説だと思ったし、家庭を顧みなかった事で妻から冷たくされて愛人を作るなんてただの馬鹿野郎の話だと思っていたけれど、なんか引き込まれて、どんどんこの馬鹿野郎を応援してる自分がいた。

神のふたつの貌

神父である父に育てられた俺は、常に親ではなく神父でいる父に違和感を感じつつ、なんと言葉にしたら良いかわからないまま生きていた。
ヤクザの女に手を出し追われ、教会に匿ってほしいとやってきた朝倉を、神父として当然に匿った父に激昂する母。そんな母の疎外感を埋めたのは、朝倉だった。朝倉と共に事故で亡くなった母を、父は神父として弔い、俺を育て続けた。

やがて俺は稼業を継ぎ、神父となり結婚するが、父と同じその歪んだ感覚を断ち切る事が出来ず、妻を亡くしてしまう。
息子がアルバイトするコンビニで、家出したまま戻ってこない息子を待ちつつ、店長と二人三脚で頑張ってきた。だが、突如帰ってきた息子が跡を継ぐと聞き、失踪する。店長の事を気にする息子に神の代わりに制裁を加える。

神父になった父は、息子が人殺しであると知り、真相に辿り着いた男を殺す。

       カオ
『神のふたつの貌』
著者 貫井徳郎
発行元 文藝春秋
ISBN 4-16-320320-6

プリズム

小学校教諭のミツコ先生が、自宅で亡くなっていた。
同僚の南条先生が、バレンタインデーのお返しに睡眠薬入りのチョコレートを宅急便で送ったらしい。ミツコ先生の部屋の窓が、鍵の部分だけ切り取られており、ミツコ先生はアンティーク時計で殴られて殺されていた。

南条先生が睡眠薬入りのチョコレートを送っている事から、南条先生が女子児童に睡眠薬を飲ませ、わいせつ行為をはたらいていた事から、ミツコ先生にもそのつもりで送ったのではないかと思い、南条先生を犯人に仕立てようとする児童達。

児童からは子供目線に立ち、物事を考えてくれる良い先生だったが、友人からは違う評価があった。
ミツコ先生が亡くなった日、友人達と飲み会をしていたミツコ先生は、元彼と好きな人をミツコ先生に取られた親友とも再会していた。

最後まで犯人がわからないまま終わり、いつまでも誰が犯人か考えられる楽しさがあった。

『プリズム』
著者 貫井徳郎
発行元 株式会社東京創元社
ISBN 4-488-42500-X
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