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アリス殺し

夜眠っている間だけ、不思議の国にいる別人格になる有栖川あり。不思議の国で玉子が何者かに殺され、アリスがその犯人だと疑われてしまう。
ハートの女王が犯人捜しを三月兎達に依頼し、ハナからアリスを疑っているイカれた二人は、ろくに捜査もせずにアリスを犯人だと決めつける。不思議の国ではアリスだという有栖川ありは、地球と不思議の国を行ったり来たりしながら、真犯人を探し始める。

地球では冴えている同窓生がアリスの味方となり、一緒に調べてくれるのだが、不思議の国での彼は非常に覚えが悪く、真犯人を見ていた牡蠣を、証言を聴く前に食べてしまう。アリスを犯人に仕立てあげた事で、気が大きくなったのか、不思議の国ではどんどん殺人事件が起こる。
玉子を殺したとアリスが決めつけられている為、連続殺人犯のように、扱われてしまうアリス。しかし、殺人事件は不思議の国とリンクしており、地球でも殺人事件が起こる。

不思議の国で殺されると、地球でも死んでしまう。そしてそれは完全犯罪となる。

地球で嫌いな人を不思議の国で殺す事が出来る。それに気が付いたアリス達は、犯人に近付くが、やがてアリスの味方であった彼も殺されてしまう。
やがて真犯人・メアリーアンと対峙したアリスは、あと一歩というところでメアリーアンにより殺されてしまう。

大学での自分の位置を確立する為に、出世に邪魔だと思った人物を消す事を思い付く。
地球で殺したい人は一人だけだが、不思議の国では誰だか分からない。突き止める事もしないまま思い込みで次々と不思議の国の住民を殺してきたメアリーアンは、有栖川ありがアリスであると正体を偽った様に、正体を隠してメアリーアンを油断させた女王と公爵夫人により、真犯人だとバレ、不思議の国で初めての首をはねられる死刑囚となった。

アリスのフリをしていた眠り鼠の有栖川ありは、可愛がっていたハムスターであったアリスの死を悲しむ。
メアリーアンにより不思議の国の住人がどんどん殺されてしまった事で、眠り続けて不思議の国の平穏を保っていた赤の王様が起きてしまい、不思議の国とそれに付随した地球も新しく変化するのだった。

『アリス殺し』
     ヤスミ
著者 小林泰三
発行元 株式会社東京創元社
ISBN 978-4-488-02546-5

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